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10 帰れない⁉ ドラマのような大事件!


バラコア からサンティアゴへ戻り、一泊。

そして、いよいよサンティアゴともサヨナラの時が。

バスに乗り再び17時間の旅が始まりました。


初めは順調。

バラコアからサンティアゴに帰るときには、バスが何度も止まって、運転手が道で肉やオウムを買ったり(オウムの売買は違法らしい)と、散々でしたが、今回は問題なさそう。

行きと同様、「あとは帰るだけだ♪」そう思っていました。


① 事件発生


3分の1ほど進んだあたりで事件は起きました。


急になんだか前の方の座席が騒がしくなる。

ふたりの女性が、口論しています。

さっきまで仲良くお喋りしていたのに。


しばらくして、運転手が私たちに説明し始めました。


「みなさん、大変申し訳ありません。今までこんなこと一度もなかったので私たちも驚いています」

(嘘やろ)


「こちらにいらっしゃる女性のカメラが無くなったのです」


出たー! 取られたんか! 何で肌身離さず持っていいなかったんだ! 


「大変申し訳ありませんが、盗まれたとなると、今から警察とイミグレーションを呼ばなければなりません。なので、ハバナへの到着がかなり遅れることになります」


「ええ!!そんな!!!」

目の前の女性が頭を抱えています。

「今日の夕方の便で帰らなくちゃいけないのよ!!」


これは最悪。

私たちは特に予定がなかったので、警察沙汰に巻き込まれるのは御免でしたが、時間的な問題はありませんでした。

目の前の女性は慌てふためいてどうしたらよいのか分からないと、落ち込んでいます。

何でそんなギリギリの便を取ったんだよ、というのが正直な気持ち(笑)


しかし、とにかく面倒なことになってしまいました。

警察にイミグレ。

イミグレーションは、入国管理局のこと。外国人が関わっているので、外国人を管理するイミグレにも来てもらうということでしょう。

怖いなぁ。

何もしていないけど怖い。


②犯人を知っている


すると後ろの方に座っていたキューバ人女性が、

「じゃあ私たちのカバンの中を彼女に見てもらえばいいじゃない!」と提案。

運転手が「みなさん、それでも大丈夫ですか?」と聞くと、全員首を縦に振りました。

その口論の相手の女性以外。


カメラを取られた女性は、前から順番に乗車している人のカバンの中をチェックしていきます。

私のカバンを見た時、不思議に思いました。

彼女はカバンに少し手を入れて動かしただけで、笑顔で「ありがとう」と言って次の人のところへ。

ちゃんとチェックしていなかったのです。

彼女は口論の相手となっている女性が犯人だと確信していたのでしょう。


この疑われていた女性、確かに様子は変でした。

私たちが乗っていたバスは大型で、後ろにトイレが付いています。

そのトイレを利用しなくても、定期的にトイレ休憩を取ってくれるのでそれで十分でしたが、その女性は何度も何度も頻繁にトイレに行っていたのです。

まあ、でもお腹の調子が悪いということもあるだろう、と深くは考えていませんでした。

しかし、こういう問題が起きると、それまでの彼女の行動が怪しかったように思えてきます。

全員のカバンのチェックをしましたが、結局、カメラは見つからず。


しかし、警察やイミグレを呼ぶこともなくバスは走り続けました。


③女の殴り合い合戦


途中で昼食休憩が入りました。

食べ物の注文を友人にお願いし、私はトイレへ。

帰ってくると友人が、私がいない間にすごいことが起きた!
と興奮気味に話してくれました。


カウンターで食べ物や飲み物を頼むのですが、カメラを取られた女性が注文したものを受け取り、後ろを振り返り前に進もうとした瞬間、

疑われている女性が彼女の足を引っかけたのです!

転ばずに済んだのですが、それに腹を立て、今度は被害女性が相手の女性を後ろからグーで殴ったといいます。

それも転びそうになってすぐ、反射的に殴ったようだったとか。


女の争いは怖い。

是非見てみたかったですねぇ。


口論になるところを、一部始終を目撃していた友人が、

「(疑われている女性が)足を引っかけた」

と証言したので大ごとにはならなかったそう。


③ もう一つの罪


再びバスに乗りハバナへ向かうなか、不安が押し寄せます。

何も解決していない密室の中で何時間も過ごさなければなりません。

「もしナイフとか持ってたらどうしよう。」

そんなことが頭をよぎりました。


しかし、そんな私の心配をよそに、バスは何事もなくハバナに到着。

時間も大幅に遅れず、前に座っていた女性もおそらく飛行機に間に合ったでしょう。

一件落着。


そう思いましたが、やっぱり気になる。


結局あの事件はどうなったのでしょう。

バスを降りてから、運転手さんに聞いてみると、驚きの返事が。


「すみません。結局どうなったんですか? カメラは見つかったんですか?」

「いいや。どうやらあの女性がトイレに行った時に、カメラをトイレから外へ捨てたと思われる。」

「え! じゃあ彼女はどうなるんですか?」

「彼女はドラッグをやっていたんだ。」


うえええ⁉ ドラッグ⁉ まじか!

だからなんか変だったのか。様子も変だったけど何回もトイレに行っていたし。


全ての疑問が解明された瞬間でした。


まさかこの国でドラッグをやっている外国人に出会うとは。

無事に帰ってこれたから言えることですが、めったに経験できないことなので、今となっては面白い経験をしたなあ、と思います。



こう振り返ると、この旅の間に色んなことがありました。

けが、詐欺、事件。

でも出会いもあったし、学びも沢山ありました。

この旅の間に、私はキューバでの暮らし方を覚えはじめ、そして強くなり始めたと思います。


今度はもっともっと充実した旅をしたいですね! 

何周年という記念の年は避けて、そして夏に行くのも避けたい(笑)



おわり



サンティアゴ・バラコア 旅にお付き合いいただき、ありがとうございました!

全10話! まだ読んでいないチャプターがあったら、ぜひ読んでみてください♡

(後ほどマガジンにまとめる予定です!)

Muchas gracias!

Chaooo


写真:パレードが始まるのを待つキッズたちと、見守る警官。



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