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【新一年生と声を出して読みたい】詩の絵本「いちねんせい」

絵本界のゴールデンコンビ、谷川俊太郎さん×和田誠さんによる詩の絵本です。このお二人の作品はたくさんありますが、なかでも新一年生にオススメの1冊です。1988発行のロングセラー絵本。

私は自分の子どもが新一年生になったときには、詩の絵本はほとんど読んであげていませんでした。
理由その1:起承転結がある物語や、知識を得られる科学絵本などを読み始めた子どもにとっては、詩はおもしろくないのではないか、と勝手に思ってしまった。
理由その2:学生時代の俳句や短歌の勉強のイメージで、詩を読むときには言葉の裏に込められている意味を考えながら読まなければ!と思ってしまっていた。
後付けですが、こんな理由があったのかも、と思います。なんだか詩って難しそうで。

でも、数年前に小学校の読み聞かせボランティアのメンバーの1人が詩の絵本を選んでいたのを見て、私も読んでみようかなと。正直、最初は『詩を聞いて子どもたちは面白いのかな~?』とも思ったのですが、実際何冊か読んでみるとこれがなかなか面白い。特に、谷川俊太郎さんの詩集は子ども向けに書かれているものでも、大人の心をギュッとつかんでくる詩が必ず入っていて、何度も読み返したくなります。

わたしは たかしくんが すき
たかしくんは かおが いい
めが おおきくて
ほっぺたが やさしい

~中略~

わたしは たかしくんが すき
でも どうすればいいか わからない
てがみを かきたくても
まだ じが みっつしか かけないの

「たかしくん」より(「いちねんせい」に収録)

「いちねんせい」の中の私のお気に入りの詩「たかしくん」。
1年生っておしゃべりな子でも、そんなに長い文章が書けなかったりするので、手紙書くのって難しいですよね。ほんとうにまだ文章がうまく書けない1年生が書いているんじゃないかって思うようなかわいい詩。谷川俊太郎さん、すごいですね。
そして、もう高学年になった娘にも詩は響いたようで、

あったことのないこに あった
そのこのほっぺた ほくろが あった

~中略~

あったことのないこに あった
そのこのにんぎょう おへそが なかった

~後略~

「あたらしいこ」より(「いちねんせい」に収録)

この「あたらしいこ」という詩が好きだそうです。子どもって、ほくろとか、大人が見ていないところを見てたりしますよね。
読んだことのない方はぜひ、最初から最後まで読んでほしいです。

で、詩の絵本を読んでみた結果、思ったのは…。

詩は声に出して読む。
そして、「読み聞かせる」のではなく、リズムよく「音読」すべし。

大人になってからほとんど詩に触れてこなかった私は、自分の子どもが1年生になったとき、国語の教科書に載っている詩を音読をするのを聞いて、あれ?すごく新鮮!と感じました。詩って、目で見て読むのと、耳からだけ聞いて入ってくる詩は別物だったんですよね。
耳から入ってくる詩は、集中して考えようとしない限り、意味はそんなに入ってこないので、リズムを楽しむようなところがあって。読んでいる方も、毎日音読するうちに暗唱してだんだん自分なりのリズムを作って読むようになり、だんだん歌っている感じになってきて。
言葉の意味とか描かれている風景をじっくり想像するのもいいけれど、詩には音楽のような味わい方もあるんだ、と思いました。
大人が読む場合も、子どもに「読み聞かせる」感覚で読むのではなく、「音読する」感覚で読んだ方がリズムカルに読めて、いいような気がします。
親子で1篇ずつ読みあうのもいいですね。物語とはまた違う文学体験ができるはず。

「いちねんせい」には、他にもキュンとなったり、ほっこりしたりする詩や、リズムカルな言葉で楽しくなる詩など全23編が収録されています。


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