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紙屋がZINEをつくることの意味、そしてこれから。

こんにちは!
中庄の未来をつくる部 刑部渉です。

今回は僕自身が作ってるZINE(自主制作雑誌のことです。)についてとこれからみたいなお話し。

現在、「PAPER STORE TIMES」という名前で年に2回程ZINEを作っています。作っているといっても、このnoteに掲載したものを再編集して紙に印刷し直したもの。何気にこのnoteのTOP画像にも使っています。 

PAPER STORE TIMES

なぜ紙屋である僕がZINEなるものを作っているのか?というのは会社で「文学フリマ」に出展することがきっかけでした。


会社の本好きの方が文学フリマというのがあるらしいということを知り、勢いで申し込んでいました。そこへ僕も最初はよく理解もせずに参加してみたのがことの発端です。

初出展の際は、よくわからず付き添い程度で、出展の準備と出展当日の午前中だけ店番をしていました。その頃はnoteはもちろんTwitterなどもはじめていなかったので、中庄のことなんて誰も知る由もありません。弊社としては、申し込みをした社員が作ったZINEと束見本(書籍を作成する際に見本として使われる本番と同様の紙で作られた本のこと)ノートを販売していました。

「文学」のぶの字も知らずにただただ参加した僕ですが、世の中にはこんな世界があるのかと衝撃的でした。

そこから月日が流れ、第2回目の出展の際「どうせ出るなら自分も何か作ってみたいな」と考え、完成したのが「PAPER STORE TIMES」です。正直ZINEなんて今まで作ったこともなかったし、何をどう作ればいいのかもよくわからなかったけど、気になる方へインタビューを行った内容や紙についてのコラムをnoteに書き溜めていたので、それを違った形で伝えたいなと思い、改めて紙に印刷し直してみました。

とにかく作り方がわからなかったので、製本する必要もなく(製本の技術はないですし、予算もかけれない)、ページの割り方もシンプルにできる(専用のソフトなどももちろん使えない)新聞のようなものにしようと考え、試行錯誤を重ねてなんとか完成しました。

紙だけはおかげさまで紙屋なので日々その辺に沢山転がっていて、一番質感や風合いの良い「クリームドルチェ※中庄オリジナル書籍用紙」に印刷してみました。

会社のコピー機で夜な夜な印刷をかけてます。

そんな素人が作ったものですからvol.1については見開きを逆に作っていることに後で気がついて(しかもvol.2作成中に気が付く)、紙に関わるものとしてお恥ずかしいかぎり。見開きって縦書きと横書きで違うんですね…という事をこの時はじめて知りました。

なんとか完成したZINEですが、紙に印刷してみると、不思議となんとも言えない愛着のようなものが生まれてきて「これは大切に伝えたいぞ」という気持ちがムクムクと芽生えてきます。「これぞ紙の良さじゃー。」とかただの自己満足でしかないですが、準備をしながらいつもワクワクしています。

ZINE事態は完成したものの、noteの内容だけであれば情報としての価値は既にネット上にあるわけですし、現物としての紙の質量感や目に見えない大切な何か…みたいなものをもっと伝える方法はないかな?を考えた結果、内容に合わせた紙を見本としてセットすることにしました。

また、その紙選びも楽しいのです。

vol.1ではドイツの展示会で見てきた世界各国の紙。
vol.2では、日本の伝統的な技法を用いたあらゆる手漉き紙。
vol.3では、和紙界のタント「民藝紙」と民藝紙の原点出雲民藝紙。


内容に合わせた紙をセットにすることで、紙に込められたオモイを実際に紙を触れながら感じてもらえますし、文学フリマで販売しているときも、「この紙なんですかー?」とか「素敵ですね!」とお客さんに言ってもらえることが嬉しくて、ついつい紙に込められたストーリーとか自分の推しポイントをお話ししてしまいます。

そんなこんなで楽しく続けているZINE制作を今後も変わらずやっていけたら良いなと考えているのですが、現在アトリエヤマダさんと進めている紙の遊園地プロジェクトの新しい試みとして「紙屋とアトリエと、未来をつくろう」というインタビュー企画が2/16からスタートすることとなりました。

こんな素敵なものまで、作っていただきました。

インタビューの内容はこのnoteでも紹介していきますし、毎回のZINEへも盛り込んでいけたらなと考えています。第1回目としては、紙の遊園地イベントにて「風景を写す和紙の見本帖」というインスタレーションを出展、現在開発中のボードゲームのデザインを担当していただいている高畑さんをお招きし、いろいろなお話をお伺いいたしました。

すでに初の公開インタビューは終了したのですが、「もっとお話し聞きたかったー。」というのが率直な感想です。公開インタビューって難しいですね…。

お伺いしきれなかったところはnoteで紹介できるようにしていこうと思います。

風景を映す和紙の見本帖

今後もイベントやアトラクション制作、一緒に何かやりましょうと言っていただいた方々をお招きして色んなお話をお伺いしていこうと考えています。

僕自身がこの「未来をつくる部」を立ち上げてから何ができるかも分からず、SNSを始めて、気になる方をインタビューしたり、紙の勉強したり、産地に行ってみたりしながら、自分のできる範囲の中で、何かを作ったり、販売したりしていました。でもいまは一緒に考えてくれたり、一緒になって楽しんで何かを作ってくれる専門的な方々がいっぱいいてくれる事が嬉しくてなりません。そんな方々の中で、「紙屋にできることって何だろう?」を考えながら、一緒に更に面白いものを作っていけたらいいなと思います。

これを機にZINEの形を変えてみることなんかもありかな?と色々構想中ですので、ぜひぜひお楽しみに。

インタビュー企画のアーカイブは下記URLからご確認できますので、宜しければご覧ください。
※音声が乱れて聞き取りづらい箇所が多々あるかと思います。今後は一つずつ改善していきますので、ご了承下さいm(__)m

色んな活動がきっかけとなって、また新しい企画が立ち上がる。239年間の紙屋の歴史の中でもあったであろう素敵な連鎖をこれからも作っていけるようにこれからも活動し続けます。

ではでは、次回以降もお楽しみに!


第1回目「紙屋とアトリエと、未来をつくろう」のインタビュー記事は下記よりご覧下さい。

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