紙屋とアトリエと、未来をつくろう。#1
私たちは生活の中で、
あらゆる質感の紙に触れている。
ノートや手紙、コピー用紙など、
書いたり印刷したりするものから、
ティッシュやトイレットペーパー、
ペーパータオルなど、
生活の中で自然に使っているもの。
紙の厚さや、加工の仕方、
原料の違いによって、
カタチを変える紙という素材。
今回は、紙の遊園地にてそんな紙の新たな見せ方を教えてくれたデザイナーの高畑慧さんをお招きして色々なお話をお伺いしました。
―まずは高畑さんが今までやられてきた事などをお伺いできますでしょうか?
大学では建築を学んでいて、大学院はIAMAS(情報科学芸術大学院大学)に行きました。2年で辞めてしまったんですが、その中でデザインの仕事を請け負ったり、インスタレーションなんかも始めました。
岐阜県の美濃市で、実際の街を小さな模型のような形で再構成して、そこに映像を当てた作品を作りました。写真の展示では実際に岐阜県美濃市の古民家を使わせていただきました。
大学時代に友人の影響でボードゲームの世界を知って、就職をせずにボードゲームカフェ「コロコロ堂」を始めることにしました。
http://korokorodou.com/
コロコロ堂ではカフェ運営はもちろん、デザイン担当としてボードゲームの制作や海外のボードゲームの輸入・販売を行ってます。ただ大学時代に展示なども行ってきた関係もあって、お店を運営しながら何かを作り続けていきたいなと考えていました。そこへ、ボードゲームのイベント「これはゲームなのか展」でアトリエヤマダの山田さんと出会いました。
「これはゲームなのか展」
https://note.com/isthisagame/n/n4907bcad6718
「なのか展」はボードゲームとアートの可能性を模索するようなイベントで、ボードゲームとしては珍しくギャラリーを借りての展示などもおこない、今までの枠組みを変えるようなものでしたね。この後くらいに、山田さんからお声がけいただいて、「紙の遊園地」構想を聞いたような感じです。
―紙の遊園地に出展してみていかがでしたか?
中庄さんとしてもとてもチャレンジングな企画だと思いますし、イベントとしての自由度が高くて、自分としても普段のクライアントワークではできないようなことへチャレンジできたと思います。
―「風景を映す紙の見本帖」はどのようなきっかけから考えついたんですか?
紙の種類の豊富さというところも紙の魅力のひとつだと僕は思っていて、それをどのように伝えるか?みたいなところから考えました。昔の画家が絵を描くときに用いたカメラオブスキュラという方法があるんですが、そういったものからもヒントを得ています。
今回、和紙や世界各国の紙を中庄さんに用意してもらって、中には野草が漉き込まれた紙なんかもあったりして、紙ごとに違った表情を映し出すとても面白い作品になったんじゃないかと思います。
―次回のイベントで挑戦してみたいことなんかはありますか?
展示を行ったギャラリーが、問屋街の一角にひっそりあるようなところで、街歩きのイベントとしても楽しめるような形でした。次回は色んな場所に設置して風景が変わることで、紙の見え方も変わってくるような形も面白いかもしれませんし、それを映像でつなぐようなこともしてみたいです。
―続いて現在開発中ボードゲーム「サカッソ」についてお伺いしたいのですが、改めてどのようなボードゲームなんでしょうか?(開発経緯なども含めて)
ゲームが進むごとに色とりどりの紙を張り付けた花びらを指していって、最終的には美しい花が咲くというようなインテリアにもなるボードゲームです。この形になるまでに何パターンも試作品やアイディア(古典的なボードゲームの和紙版、紙のビンゴのような形で花が散っていくようなモチーフのもの…etc)を出しましたが、山田さんの反応が厳しくて…笑。
あと、刑部さんこだわりの「手触り感」もなかなか悩まされましたね。笑
―色々と言いたいことを言ってしまいすみませんでした…。
ですが、そういったことを重ねていくことでボードゲームとしての楽しさとインテリアとしての美しさを兼ね備えた、今の「サカッソ」が生まれていったと思っています。あと、色んな紙を使うことで、普通の印刷では表現できないような白は白でもそれぞれ違った白を表現するような、それこそ「手触り感」の伝わるものができると思っています。
―SNSなんかでも色んな反応をいただいていましたね?
お寺の住職をしながら、ボードゲームを作っている方から「お寺にぴったり」といった反応なんかもいただきました。「サカッソ」が色んな方とコラボできるようなきっかけになってくれたら嬉しいですね。
―今後高畑さんがやっていきたいことはあったりしますか?
紙を使ったプロダクトみたいなことは常に考えています。あとは、子どもたちと一緒に何かを作るようなこともしてみたいですね。チョキぺタスでできた子どもたちの作品をプロジェクションマッピングを用いて動かすとかも面白そうだし、端材の持つストーリーを何かしらで伝えていけるような作品もありかもしれません。
―世界中の素材や端材を集めてくるとかも面白そうですね。まだまだ聞き足りないところですが、最後に今後の抱負的なことを一言お願いいたします。
まずはボードゲーム「サカッソ」の完成ですね。今はルールデザイナーさんにも加わっていただきルールを形にしている段階です。ボードゲームが好きな方はもちろん、そうではない方や色々な方に見ていただけるような作品にしていきたいと考えています。
―今までボードゲームを販売していなかったような先にも置いてもらえるような作品にしていきたいですね。本日は有難う御座いました!
\質問コーナー/
今回の公開インタビューに寄せられた質問にお答えいたします!ご質問いただいた方々有難う御座いました。
【 質問① 】
●洋紙(主に出版・印刷用紙)
大元の紙の原料となる木材は、約70%ほどを輸入しています。また、木材を「パルプ(木材から繊維だけを取り出したもの)」と呼ばれる木材と紙の間に位置する素材へと加工するわけですが、パルプの状態で輸入するものも約20%ほどあるようです。詳しくは下記URLよりご確認下さい。
●和紙
コウゾ、ミツマタ、ガンピを原料とした昔ながらの手漉き和紙についても和紙の需要の減少に伴う、生産者の減少により輸入原料に頼っている状況です。手漉き和紙と機械抄き和紙でも状況に違いがあったりもします。
【 質問② 】
私たちも紙の新たな可能性を信じて、模索するために「紙の遊園地プロジェクト」を立ち上げました。ぜひ機会がありましたら、弊社ショールームへもお越し下さい。
今回YouTubeを見てくださった方々、noteをお読みいただきました方々本当に有難う御座います。初の生放送ということもあり、色々といたらなかった点があったかと思います。YouTubeは下記のリンクよりご覧下さい。声が途切れ途切れだったりするかと思いますがご了承ください…。
https://m.youtube.com/watch?v=FtrB0z4rMdc
「日本橋の地に新たな創造拠点となる発信地をつくる!」ためにこれからも尽力いたします。
ではでは、次回の「紙屋とアトリエと、未来をつくろう」をお楽しみに!
企画 : 山田 龍太(アトリエヤマダ)
編集 : 刑部 渉(中庄株式会社)
撮影 : 深瀬 雅央
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