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日本が世界で生きていくためのビジョン 

「沈みゆく国」の「ゆでガエル」

日本は1990年のバブル崩壊から30年、先進国の中で、唯一成長できなかったため経済的にも軍事力でも、食料・エネルギーの安全保障さえも米国・中国と大きく引き離され、安全保障上の危機に瀕している。この危機的な現実を日本のマスメディアは積極的に報じることはなく、多くの日本人は「沈みゆく国」で「ゆでガエル」となっている。

 今の日本は、まだまだ過去の経済大国であった幻想を引きずり、高齢化した世代が令和になっても、未だ「昭和」の成功体験を引きずりデジタル化を拒み続けている。その結果日本の労働生産性は先進国で最下位になり、賃金も30年間上がらず、2021年の日本の一人当たりのGDPはOECD38か国中23位と後進国になってしまった。

 また、日本は地政学的にロシア、中国、北朝鮮に近くて軍事力的な脅威に囲まれているにも拘わらず、安全保障を米国に依存すると共に、食料・エネルギー・先端技術に関する危機対応が不十分で、経済力の低下と共に更に安全リスクが高まってきた。

 危機を招いてしまった原因

 このような危機を招いてしまった原因はどこにあるのであろうか。IMD(国際経営開発研究所)の世界競争力ランキングの分析では、日本はビジネスを推進していく上で重要な税制やビジネス環境、開放性・積極性で評価を落とし、政府の競争力が問題視されている。質の高いインフラや人的資本の質的部分(高い教育水準、熟練労働力)を活かすことがバブル崩壊後に出来ていないことが根本的な問題として挙げられている。

 なぜ、質の高いインフラや人的資本を日本はバブル崩壊後に活かすことが出来なかったのであろうか。その本質的な原因は、グローバル化、デジタル化により世界が大きく変わっているのに拘わらず、日本は国内政治論争に明け暮れ、企業も社内政治抗争を繰り返し世界のグローバル化に目を向けてこなかったことにある。

 日本が世界に目を向けてこなかった根本的な原因

 日本が世界に目を向けてこなかった根本的な原因は、日本は1990年を頂点として、日本国は成長期から衰退期へ歴史的な転換を迎えてしまったことにある。その歴史的な転換とは、戦前に生まれ、戦後、日本の復興を牽引した世代が高齢化したため、その昭和を生きた世代が日本の保守派となり、既得権益を守る粘土層になり、戦後に生まれた世代にバトンを渡さなかったことにある。

 なぜ日本の高度経済成長を支えた世代が既得権益を守り、次世代にバトンを渡さないのであろうか。その原因は、長らく日本は島国的な国家観から抜け出せず、日本は今なお、グローバル化出来ずにいるためである。それは日本人自身が移民を拒否し、多様性を受け入れず、今なお世界に目を向けていないからである。

日本が世界で生きていくためのビジョン

 しかし、21世紀になり世界が分断化し、地政学的な脅威が増してきた現在、日本は今までの過去を引きずり、いつまでも家族的な国家観の世界で生きることはもはや出来なくなったことを自覚しなければならない。そのためには、今世界で起きているファクトフルネスを受け入れ、日本が世界で生きていくための展望、ビジョンを持たなければならない。

その日本が世界で生きていくためのビジョンこそ、グローバル教育の目指すところである。


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