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120個書き溜めたアイディアの99%が通用しなかった! 1ヶ月温めたアイディアが儚く散った時の話

こんにちは👋
地域おこし協力隊員のおだぎりです🍙

こちらの記事は、土地や建物の活用のルールついて、初心者目線で書いております。自分の勉強も兼ねて書いている記事なので、あまり面白くはないかもしれませんが、自分の住んでいる町について調べてみるきっかけになるかもしれません!


アイディアが儚く散った

来月から埼玉県にある小川町で、地域おこし協力隊としての活動が始まります。
自分は「UECHU」という廃校になった校舎の利活用に携わります。

まだ町のことについて右も左も分からないので、まずは「UECHU」ができた経緯や周辺の住環境を調べながら、やりたいことを思いつくままに、iPhoneのメモに書き留めています。(現在120個を超えました)

そして町の方とお話しをする機会があった時は、「今こんなことをやってみたいんです」と相談させていただいております。

すると自分の知らなかった町の課題や、新しい視点を教えてくださるので、その情報をもとに自分のアイディアをアップデートしています。

メモを書くのが好きです

そんな風に過ごしながら、アイディアを丁寧に磨いていたところ、ある時、町の方から耳寄り情報を教えていただきました。というよりも120個近く思いついたアイディアの99%が通用しなくなるという事実を叩きつけられました。

それが『用途地域』と『補助事業の目的』による制限でした。

この2つの制限によって、これまでのアイディアが通用しないことを知ったのです。

この事実を知った時は、顔面にストレートを喰らって一発KOで失神し、儚く倒れるような気持ちになりました。(ボクシングはやったことはありません)


用途地域とは

僕のアイディアをいとも簡単に崩した『用途地域』について簡単に説明をすると、「住みやすい町づくりのために、建物の種類や大きさを制限しよう」というものです。

例えば学校や住居が立ち並ぶ落ち着いた町に、工場や風俗店などが乱立してしまうと大変になってしまうので、そうならないように建物の用途や種類を整理しているのです。

「用途地域」は13種類に分けられていて、主に「住居系・商業系・工業系」の3つに分類されます。

千葉市のHPから引用した用途地域12種類の表。現在は「田園住居地域」が追加されて13種類になっているけれど、こちらの表が分かりやすかったの引用しています

「UECHU」が位置する場所は『第一種低層住居専用地域』に分類されています。

「第一種低層住居専用地域」とは、低い住宅が立ち並び、静かな住環境が広がる地域です。

建てられる建物の高さが最高12mに制限されており、戸建、分譲住宅、低層マンションが建てられます。

一方店舗は床面積の合計が50㎡以下であれば建設可能なので小さな事務所は建てられますが、この規模ではコンビニは建てられません(50㎡=約30畳で、一般的なコンビニの大きさは50〜60畳だそうです)。

一戸建て住宅や低層マンションのほかには、小中学校が建てられます。(以上Wikipedia、SUMOから引用・改変)

このように土地の使い道が限られており、UECHUは「第一種低層住居専用地域」に位置するため、店舗や旅館などの目的として利用することはできないのです。

「UECHU」がある用途地域

僕は「UECHU」の宿泊施設化やDIYの工房化、プールにバーやカフェを設置したりして利活用したいと目論んでいたため、このようなアイディアは一瞬にして散りました。


補助事業の目的

僕のアイディアをなし崩しにしたもう一つの理由が「補助事業の目的」でした。

「UECHU」は元々は校舎だったので、当たり前ですが以前は「学校」として利用されていました。このように文教用として建てられた建物は、実は廃校になった後も、原則として学校以外の利用目的は許可されません。

しかし、現在は廃校は改修されて「サテライトオフィス」「コワーキングスペース・レンタルキッチン」「カフェ」として利用されています。

あれ?学校としての利用ではない。

そう、建物の使い道を変更したのです。
これを「用途変更」といいます。

UECHUでは建物の用途を「学校」から「サテライトオフィス」「コワーキングスペース・レンタルキッチン」「カフェ」へ変更を行いました。

その際には、大規模な設備の改修が必要になりました(廃校が上記の施設に生まれ変わるには◯億円近くの費用がかかるそうです)。

小川町の自治体には、このような大規模な予算は残されていなかったので、補助金の制度を利用することにしました。国や埼玉県の補助事業として廃校の改修を進めることにしたのです。

補助金の申請の際には補助事業の目的が明確であり、補助金を使って改修をした後も、その目的通りに使用されなければなりません。

反対に、その目的に反して利用すると、補助金の返還を求められることがあります。

そのため、「サテライトオフィス」「コワーキングスペース・レンタルキッチン」「カフェ」以外の活用方法はNG。

このルールによって僕のアイディアは水の泡となりました。

しかし、これは僕の事例、そして小川町の事例に限ったことではありません。

補助金で整備された校舎を用途変更する際に生じる「補助金返還」は日本全国の地方自治体の問題になっているそうです。

廃校の改修には巨額な予算がかかるうえに、補助金を利用して改修をした後は用途転用が難しいことは、廃校の利活用が進まない原因になっていることを知りました。

少子高齢化で廃校は毎年500校弱 増える続けているそうで、問題はかなり深刻です。

このような状況から、最近は用途変更に伴い補助金を返還しなくてもいいように、ルールが緩くなってきています。

しかし、僕調べでは「UECHU」を用途変更する際には補助金返還が必要になるため、制限された利用目的の中で、もっと多くの方に利用していただけるよう、施設の活用に携わりたいと思います。


面白い書籍たちに出会った

少し話は変わりますが、小川町には面白い方たちが集まると噂される『NESTo』という施設があります。コワーキングスペースとカフェが併設された居心地の良い空間には、小川町の農家さん、町づくりを行なっている方、企業の社長など、多彩な方が集まっています。

築100年の石蔵を改装したコワーキングロビー「NESTo」

先日、「NESTo」でお会いした面白い方に、面白い書籍をご紹介していただいたのですが、内容がとても面白かったのです(小学生みたいな感想ですみません)

国内外の町づくりの事例をケースバイケースで掲載されている書籍で、おもしろポイントは、「抜け道」が解説されていること。

「道路」や「公園」、「河川」などの公共の施設の民間的な使い方において、国や地方自治体の厳しい制限をどのように潜り抜けて町づくりを行なったか、「合法的な裏ルート」みたいことが記載されている点が非常に面白かったのです。

公共R不動産さんのおもしろ書籍

こちらの書籍に出会い、国や地方自治体のルールにはどこかに抜け道が存在することを知ったので、「UECHU」の活用方法にも裏ルートがあるはず。

ただいまお先真っ暗ですが、そんな裏ルートを見つけてみたいです。

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