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18歳成人にした意味に疑問しかない。成人年齢は、むしろ引き上げるべきでは?

はじめに

この4月に、成人年齢が引き下げられ、これまで20歳で成人となったところを、18歳成人となりました。

これにより、18歳に達すれば、親の同意を得ずに、様々な契約をすることができるようになりました。

しかし、私は以前から何度か似たようなことを書いてきましたが、社会的にアンバランスを感じています。



18歳に成人年齢を引き下げた理由


どうして民法の成年年齢を18歳に引き下げるのですか?

法務省のHPに、『民法(成年年齢関係)改正 Q&A』があり、こちらによれば、引き下げの理由は以下のとおりです。

Q1 どうして民法の成年年齢を18歳に引き下げるのですか?

A 我が国における成年年齢は,明治9年以来,20歳とされています。
  近年,憲法改正国民投票の投票権年齢や,公職選挙法の選挙権年齢などが18歳と定められ,国政上の重要な事項の判断に関して,18歳,19歳の方を大人として扱うという政策が進められてきました。こうした政策を踏まえ,市民生活に関する基本法である民法においても,18歳以上の人を大人として取り扱うのが適当ではないかという議論がされるようになりました。世界的にも,成年年齢を18歳とするのが主流です。  成年年齢を18歳に引き下げることは,18歳,19歳の若者の自己決定権を尊重するものであり,その積極的な社会参加を促すことになると考えられます。

引用先:法務省 『民法(成年年齢関係)改正 Q&A』https://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00238.html#1



20歳成人の背景

法務省の説明資料と思われるものを見つけました。

成年年齢の引下げの意義として若者に伝えたいこと
法務省民事局周藤崇久 https://www.moj.go.jp/content/001359511.pdf

この資料の中に以下の説明が有ります。

法務省資料 『成年年齢の引下げの意義として若者に伝えたいこと』https://www.moj.go.jp/content/001359511.pdf  より 一部抜粋

20歳成人にした背景と現在の状況を考えた時に、大きく矛盾を感じます。

現在日本人の平均寿命が著しく伸びており、80歳を超えています。
一方で、これまで20歳成人ではありましたが、日本では高等教育の修了年齢が高く、とても、日本人の精神的な成熟が早まったとは思えません。

なぜ、18歳に成人年齢を下げる必要があったのでしょうか?

現在の社会背景から、むしろ、成人年齢を引き上げでもおかしくないほど、日本の若者は未熟であるとした考えの方が正当性があると考えます。


18歳の実情

年齢を引き下げたからと、すぐに自立心が芽生えるわけではない。

しかも、高校3年生での成人は、多くの子どもが進学を控えた時期であり、成人を祝ったり、家族や社会が大人になる責任についてしっかり伝えることが難しい時期であり、ついつい、進学が決まってからと後回しになると考えられる。

よって、20歳成人の方がまだ良かったのかもしれないと思うと同時に、成人により安心して暮らせる方もいるわけで、何とも複雑です。


大人になるための試験は無い

18歳になれば自動的に成人します。
大人になるために試験は無いですし、淡々と成人という資格が与えられるわけです。

しかし、現代の日本では18歳と言えば多くが保護の元で生活しています。
学生であることが多く、制度上自立できると言っても、生活的な自立はすぐにできません。

高校を卒業すれば、就職や大学へ進学し、徐々に大人としての芽生えが始まる時期です。しかし、制度上大人になるというのは、助走期間が無く、不安要素が大きくなっただけのように感じます。


日弁連も心配していたのでは!?

日本弁護士連合会では『⺠法改正・・・そんなに急いでどこへ⾏く︕︖』https://www.nichibenren.or.jp/library/ja/publication/booklet/data/seinennenrei.pdf という資料を作っています。

この中には、5つの疑問について書いてあるのですが、法律家が心配するようなことがなぜこうも進んでしまったのか疑問で仕方ありません。

少年法の問題が本筋なのだとすれば、少年法について、改正すべきだったのではないかと思うからです。


若者の周り

私たち親世代が18歳だった頃はありました。
進学や就職により、少し大人になったような気がしていたころだと思います。
私が18歳、19歳だった頃、宗教やマルチ商法などの勧誘が問題となっていました。
当時は、スマートフォンや携帯電話は無く、家に電話をかけたり、手紙など送らなければ個人的な連絡手段は無く、それが不便でもあり、防波堤になっていたと思います。
また、何か商材を購入してしまったとしても、未成年であれは、解約ができることが多く、問題が大きくなる前に止めることが出来たと思います。

しかし、今はそれが難しくなってします。



家庭の責任

一方で、近年は、家族や家庭の在り方に対する責任論が大きくなってきている気がします。

親はいつまでも子どもの親であることは変わりありませんが、子どもを育てた責任をいつまでも引きずらなければならない、社会的な責任のようなものが付きまといます。


最後に

18歳成人になることで、未熟な若者を家庭から無理やり自立させることになったように思います。

自立の準備を、18歳に合わせてやってきた場合はそれでも問題となることは少ないのかもしれませんが、現在の日本の就学の様子から、18歳になる以前から、自立の準備を進めてきた家庭は少ないのではないでしょうか?
大学を卒業するまで親が面倒を見ることが前提の日本のシステムからすれば、成人年齢はむしろ引き上げて、多くの者が大学を卒業する年齢22歳であってもおかしくないのではないかとさえ感じます。

18歳成人に正当性があるのなら、以前から私のnoteにも書いていますが、学生の家庭の収入による奨学金などの制度は廃止すべきです。
18歳に自立を促すのであれば、全ての18歳に需給の資格がなければいけないと思います。

家庭(保護者)にいつまでも責任を課すのであれば、前記した通り、成人年齢は18歳では無く、22歳程度に引き上げるべきと思います。



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