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79.チームつくば(3)

池田くんたちの後を追いながら、駐屯地内の広い舗装路を渡る。周回コースから分かれて駐屯地の正門に向かう道だ。この道路と周回コースとの間の細長い芝生ゾーンに、観衆が続々と集まりはじめていた。
(参考のため、今回も警視庁発行の交通規制図貼っておきます)

前回はスタート直前に現地到着したので、この道路の手前にすら黒山の人だかりができていて、何も見えない状態だった。その反省を踏まえ、今回は1時間以上も早く家を出た。
周回コースは、もともと飛行機の離着陸用の滑走路である。1周約2.6km、長辺の直線距離は1km以上、コース自体の道路幅も数十メートルはあろうかという、巨大な周回路だ。
その内側に、各大学の応援団が集結していた。集団応援はあらかじめ申請が必要とのことで、一般の人は立ち入れないようになっている。

その応援団エリアに、最強のチームつくばがいた。

筑波大学応援部WINS。


つくばから立川まで、はるばる来てくれていたのだ。しかも、ほぼフルメンバーの大応援団である。
どこから得た情報か記憶があいまいなのだが、箱根駅伝予選会に筑波大学の応援団が参加するのは、久しぶりだったはずだ。少なくとも、私が応援に来た前年の予選会では、レース後に集合したみんなの原っぱに応援団はいなかった。
WINSさんの公式tweetで、私は彼らの参加を事前に知っていたので、どこで応援するのか気になっていた。無事見つけられたので嬉しくなって、周回コースを挟んだ向かい側に駆け寄った。


筑波大学応援部WINSは、フレッシュで元気なパフォーマンスに定評がある。

応援部・応援団というと、『前時代的』『厳しい上下関係』といったイメージがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
しかし、応援部WINSは『既成観念に囚われることなく、応援とは何かを模索し、より効果的な応援のスタイルを創造していく』ことを前提に、 それぞれの代で年間目標を掲げ、達成に向けて励んでいます。

筑波大学応援部WINS公式HPより

WINSを見たとき、多くの人が最初に驚くのは、リーダー(一般的に、学ラン等を着て応援指導をする人たち)部門に女性がいることだ。しかも、年度によってはリーダー部門トップが女性のときもある。

筑波大学が26年ぶりに箱根駅伝に出場した第96回箱根駅伝でも、WINSは大手町や芦ノ湖で応援エールを送った。
当日、現地で筑波の応援団をご覧になった方の中には、女性リーダーがいることにビックリした方もいるだろう。

早稲田大学などに代表される、伝統的な「バンカラ」応援も魅力的だが、WINSの一所懸命感あふれるパフォーマンスは、WINSそのものを応援してしまいたくなる、不思議な魅力がある。
何より、彼ら自身が応援することを心から楽しんでいる雰囲気が伝わってくるのが素晴らしい。

第96回箱根駅伝予選会当日の応援風景がYoutubeに投稿されているので、ご紹介しよう。

私のそばにいた人々が、WINSの演奏する応援歌に合わせて歌ったり、応援コールに大声で合いの手を入れていた。筑波大生か、その卒業生に違いない。「いけいけ筑波!」の大声援に心が湧きたった。

初めて予選会を訪れた2年前に私が思い描いていたもの。
「チームつくば」の姿が、そこにはあった。

関係者じゃないから、こういうとき応援歌を一緒に歌えないのは残念だ。つぎは一緒に歌えるよう、筑波大の応援歌を覚えよう!
…と奮起したのに、その後コロナ禍になってしまい、私の自己満足でしかない、この謎の努力を発揮する機会が3年間も奪われてしまうとは…いったいどういうことでしょうか?(笑)

しばらくすると、各大学の応援が一斉に止んだ。
スマホで時間を確認する。9時30分になろうとしていた。
ざわざわする群衆。
広大な駐屯地いっぱいに、熱っぽい、緊張した空気が漂った。

予選会スタートまで、あと5分。



***

【今回のおまけ】
応援団は通常、リーダー部門、チア部門、吹奏楽部門の3つに分かれますが、筑波大学応援部WINSの応援は、この3部門が完全に融合しているところがユニークです。
野球のときの応援や、アメリカンフットボールの試合などで披露される、ハーフタイムショー用のパフォーマンス、ぜひご覧ください♪


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