見出し画像

69.メイキング・オブ・けしからん(前編)

チームつくばタイトル

企みの発端は、2018年秋までさかのぼる。

私が2回目の現地応援に行き、初めて弘山さんに「クラファン支援者です」と挨拶をした、第95回箱根駅伝予選会。
その3週間後、NumberWebに弘山さんのインタビュー記事が載った。
予選会後に取材が入っていたのである。

記事の最後に書かれていた弘山さんの言葉に、私は柄にもなく感傷的な気持ちになった。

"来年の予選会はちょうど自分の誕生日なんです"
(上記記事より引用)

そうか…弘山さん、誕生日なんだ。
自分の誕生日に予選会突破できたら、最高だよね。
でも、現実はそんなに甘くないだろう。
タイム差は10分を切ったとはいえ今回は17位、他の大学さんだって必死だ。かつての常連校さんでさえ、予選落ちする時代なんだもの。

「まぁ、本気といっても…まだね、甘いところがあるんですよ…」

あのとき、ふっと漏らしたであろう弘山さんの言葉が、再び脳裏をよぎった。
コーチ就任から4年め。アシスタントコーチも付き、何とか体制は整ってきたけれど、しょせんは、当事者である学生さん達の気持ち次第だ。
それに、陸上競技部の卒業生はたくさんいるはずなのに、予選会の会場には一握りの方しかいらしていなかった。プロジェクトのHPに寄稿くださっている卒業生の方々の気持ちはとても熱いけれど、関係者全員が諸手を上げて応援という風潮ではないのだろう。
弘山さんの孤高の歩みに思いを馳せると、胸にこみ上げるものがあった。

できることなら、来年の予選会(誕生日)に合わせて、何か弘山さんの激励になるようなものを差し上げたい。予選を突破してもしなくても、応援していることをお伝えしたい。

それから8か月後の2019年7月。部内改革をきっかけに、弘山さんにメールを送ったことでつながったご縁。
弘山さんから相馬くんの絵の制作許可をいただいたとき、私の心の中で、次のターゲットはとっくに決まっていた。
弘山さんのお誕生日に合わせて、keikaさんに似顔絵を描いてもらおう。
それを予選会会場に持って行って、当日差し上げるのだ。
考えただけでワクワクした。

keikaさんが相馬くんに相談して、弘山さんの写真を送ってもらえることになった。写真は児玉くんが(それとはわからないように)撮影してくれた。
その過程で、児玉くんの誕生日が10月1日だということを知った。
「写真撮ってもらったお礼に、だまちゃんの絵も描いてお誕生日サプライズにしよう!」と二人で悪だくみを思いつく。
相馬くんに無理を言って、だまちゃんの写真もこっそり入手した。(ミイラ取りがミイラに(笑))
そんな経緯で、児玉くんの絵は急ピッチで制作が進められたが、10月に入ろうという頃、keikaさんが「何かがおかしい」と気づいたらしい。

ke「弘山さんの絵、どうする?お誕生日合わせだよね。」
う「急がなくてもいいですよ。予選会までに間に合えばいいし。」
ke「予選会っていつ?」
う「10月26日。弘山さんの誕生日なの。」
ke「でも、弘山さんの誕生日、10月12日ってなってるよ?」

は?なんですと!?


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?