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これを読んで書きました 3

こんばんは。みおさんです。

文学フリマ東京で販売する本を書くために読んだ本シリーズ、第三弾。

拙作「硝子レンズは無色透明」はメガネオタクの若い学者と眼鏡職人のおはなしです。
今年3月に開催されたJ.GARDENにて特設ジャンル「メガネ」が設置され、せっかくだから一冊作ろうと思ったのがきっかけで誕生した物語です。

眼鏡ユーザーですが眼鏡をよく知らなかった己を思い知りつつ勉強しました。眼鏡について。



「〔フォトグラフィー〕メガネの歴史」
ジェシカ・グラスコック・著、黒木章人・訳、原書房

 タイトル通り、発明から現代まで、メガネの歩みが多数の図録と共に紹介されています。
 メガネは視力矯正器具であり、ファッションアイテムであり、知性の象徴であり、時代を表すアイコンでもある。ということがよく分かります。
 ぼくは主に前半部分、近代までのメガネの変遷を参考にしました。十八世紀は世界にメガネが普及しましたが、鼻あてがないし、つるが変な形してるし、実用的なものは野暮ったい。上流階級が粋なファッションアイテムとして持ち歩いたものは、今度はアクセサリーとしての特性が強く、近眼のぼくから見るとまったく意味をなさなそう。
 そんな感想を抱きながらも、実際に眼鏡を使っていた人たちを想像しました。
 活版印刷が広まり、印刷物の文字が細かくて読むのが大変だった頃。学者は本を読むのに眼鏡が欠かせなかったとか。画家や文人は眼鏡をかけているもの、というイメージがあり、肖像画に眼鏡が必ず描き込まれたとか。
 そんな情報から、アンリの憧れの人であるジャンの人物像が少しずつできていきました。

「メガネの歴史」には、さら現代までの変遷も記されています。歴史を踏まえて説明されると、ファッションコレクションで披露される奇抜なデザインにもその下地があるのだなと納得できる。
 視力矯正器具だけではないメガネの多様性も可視化されます。単純に図録として見応えがありますので、ファッション好きさんにもおすすめの一冊です。



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~あらすじ~
ブルジョワ学者の息子・ジャンが、眼鏡職人アンリにおかしな注文をした。
「君の眼鏡を作ってほしい」
その眼鏡をかけると、アンリの周りに不可思議な現象が起きる。透明レンズのはずが、視界が急に色づいて見えて――非科学的なものを嫌悪するアンリが次第に「魔術に」巻き込まれていく――ハートフルメガネオタクラブコメです。
巻末の資料紹介では、メガネの歴史本・錬金術・18世紀フランスの資料などを掲載。

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