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日本唯一の人口土地、坂出人工土地

塩田で盛んだった坂出地区だったが、時代の流れとともに塩田業が下火になり。それと引き換えに商人が増え、爆発的な人口増加が問題に。
限られた土地で増えていく人口をどのように住まわせるか。そうして、更なる人口増加を踏まえて考え出された案が「1階に商店、2階以上に住居空間を設ける」と言う、人工的に土地を作り出す人工土地土地である。
日本各地において人口増加に悩まされていた当時、人工土地土地の構想は各地で練られたものの、実現したのはこの坂出だけなんだそう。

そんな歴史背景を知って、いちど訪れたかった場所。

そして実際に訪れたら、想像以上にとても素敵なところ…!
周囲と違和感なく調和しており、そっと存在している。あ、これか!となるくらいに馴染んでいる。実際に足を踏み入れてみると、こんなに不思議な違和感だらけなのに。一見、何の違和感もないところがまず凄い。そして建物のランダム性。何か新しいことに出会えるような、ワクワクする期待がそこにある。

そして、ものすごく、つながりを感じる場所。
「公共」というか、「シェアリングスペース」というか…。ここに集まってください!とお膳立てするわけでもなく。そっと、自然と、気がつけば、そこにある。気がつけば、共有スペースが生まれている。そういう、温かい優しさがある場所に思えて仕方なくて。
立体的なコミュニティがある場所。
散歩できるような入り組んだ小路。会話が生まれるような、知らない人とも知り合える工夫。そんな交流が想像できる、ゆとりのある空間。

もっと、現代にこそ、こんな場所が欲しい。
心からそう思う。

これといった用途のないスペースや遊びがあって、大人まで夢中になって超難易度隠れんぼだってできそうなくらい複雑な構造で。でも、だからこそ団地っていう良さが最大限に生きてて。しかも、コンクリートの中にだって、ちゃんと自然もある。生活もある。ヒトがいる。
商店・飲食店、自治会館、文化ホール…ヒトが集まる理由はいつだって、すぐそこにある。

あぁ、なんて素敵。本当に素敵。
こんな素敵なコンセプトを持った人工土地が日本に1つしかないと言うのも驚きだし、時代と共に、老いてきてしまっている事実が切ない…。

言葉のとおり、「一見の価値」があった。
見られて本当に良かった。

建物は、可能性を広げることもできるし、つながりを生むこともできる。逆に、建物は、可能性を狭めることもできるし、つながりを殺すこともできる。そんなことを感じた。

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※現在も住居として使われている場所となります。現地訪問・撮影の際には住民の方へのご配慮をお願いします。



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