名前に、気持ちをのせて呼ぶ。
日本語教師が、新人であっても、
極力はやく覚えなければならないもの。
それは学生の名前です。
1クラスに50人近くいようが、
オンラインで顔が見えなかろうが、
1学期に担当する学生が
300人を超えようが、
例えば、
(敬称略)
アシャン、イシャン、ウシャン、エシャン、
オシャン、ハシャン、二シャン、リシャンが
かたまって座っていて、
あるいはグェンティチャンと
グェンティトゥチャンが
隣同士で、
週によって微妙に席を移動されていても、
必ず全員分、絶対に覚えるべき
最優先事項です。
(私の勤務校は自由席です)
オンラインで顔が見えないなら
耳で声を覚える努力をします。
対面なら座席表を描いて
じっと顔を見て覚えます。
覚え次第、連発します。
本人と直接は関係のない例文や
ビジネスの説明にも登場させます。
「サットルさんがコンビニ店長です。
アウンさんが顧客です。」
と言った感じです。
これだけで学生の盛り上がりは
だいぶ違って来ます。
名前を呼ぶって魔法みたいです。
「はい、次の人」じゃなくて
「ガーミンダさん、読みましょうか」
これで空気が柔らかくなります。
学生たちは
親近感を持ってくれます。
時々、間違えて、
しまった!と思います。
先日はジャホンギルさん、と呼んだら
「先生、私はジャムシドベクです!」と
言われ、謝り倒しました。
だけど、名前を呼ぶ時に
「私はあなたのことを気にしてるよ。
ちゃんと見てるよ」
という気持ちを、ことばに乗せる。
これって大事だと思うんです。
今日は朝、1年生のクラスに
早く行っていたら、
昨年度教えた2年生の学生が
遊びに来ました。
就職活動はしているけど
コロナでなかなか無くて大変だ。
彼女は国にいて、もう27歳だから
結婚してあげないといけないし、
お母さんが重い病気にかかって
危ないけど帰れない。
2月にビザが切れるけど
最近は更新が厳しいから心配だ。
大学進学もしたいけど
これ以上寝ないで仕事と勉強を
続けられる自信がない。
こんなに大変な想いをかかえて、
アルバイトしながら、
高い学費をたった一人で払いながら、
孤独を感じながら、
勉強する。
日本人の学生が
あまりアルバイトに入らないで
勉強に集中できているのを、
または遊んでいるのを
横目で見て
「日本に産まれていたら私だって!」
と思いながら、
大変に忙しくて
眠る時間さえ満足に取れない中を
必死で生きている。
大したことは出来ないけど
少しでも寄り添ってあげたい。
だから、距離感のある授業はしない。
それには、当たり前のことだけど
学生の名前を呼ぶ。
毎年たくさんいる学生の一人、
じゃなくて
ここにしかいないあなた、
として大切にする。
愚痴が言いたかったら言えるように、
孤独を少しでも感じなくなるように、
距離を縮める。
それには簡単なことだけど、
まずは、名前を呼ぶ。
そんなことが大事だなって、思います。
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