ポーランド口承文学 ~黒猫には塩気のない蕎麦の実の粥を~
ノートで、猫がテーマだというので、猫テーマで探してみました。やっぱり悪魔の猫?といえば黒猫ですね。ちなみに、我が家には悪魔も魔女もいませんが(多分)、黒猫はいます。
それでは はじまり はじまり~
ある男が、屋根裏で黒猫を飼っていたんだ。あそこには、いつでも黒猫がいたんだよ。
蕎麦の実の粥を与えていたのさ。牛の乳でたっぷりと煮込んだやつ。ただし塩を入れるのはダメだったんだ。塩の味付けはダメだ。
ある日この男はChełm(ヘウム 現ポーランド東部)に用事があって出かけなければならなかった。
嫁さんを呼んで言ったんだ。
「カシカ(奥さんの名前)、我が主には粥を」
でな、嫁さんは粥をゆでたのさ。そして、塩をいれちまった。
猫はこの粥を屋根裏から嫁さんに投げつけたのさ。皿は割れちまった。もう、嫁さんは怖くなって隣の家に逃げ込んだんだ。
男が帰ってきて、嫁さんが何があったのか全て話し終わると男は言ったのさ。
「だって、何やってくれるんだ、お前、塩を入れたんだろう!俺は塩を入れるなって言っただろうが。だからあの黒猫はお前を殺しにかかったんだろうよ」
嫁さんは家を出ていったさ。もう、怖かったんだよ。男が屋根裏に悪魔を飼いならしていたからね。
蕎麦の実の粥を与えていたのさ。
ただ、塩抜きでな。
おしまい
蕎麦の実の粥、共産時代を記憶している世代は『貧しい食べ物』というイメージがこびりついているようですが、最近は健康ブームなどで見直されています。でも、やっぱり塩味がないと食べにくいですね~。この類のものは、ベーコンやソーセージと一緒に炒めたりすると食べやすい(つまり、塩味よね)のです。
で、塩は聖なるものという位置づけですので、悪魔は塩を嫌がります。日本でもお払いに塩をつかいますね。
ちなみに、猫に関する迷信では東欧地域では猫は子孫繁栄のシンボルで、新婚さんの家に猫を連れて行きゆりかごに入れ、ゆらしていたとか。そうすると精力がつく、と信じられていたそうです。
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