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音楽に対する日常的思考

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音楽と言えども、理論的に専門性を持って取り組んでいる人もいれば、趣味として楽しんで取り組んでいる人もいる。そんな中で私が考え方のひとつとして、音楽を難しく考えずもっとニュートラル…
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#日常

【9】グラデーションに学ぶ「音の移ろい」

随分と久しぶりの更新となりました…大変お待たせ致しました。 番外編も含め、現在までの8項目で基礎的なポイントは書いていたこともあり、新しい観点を探すのに少々苦戦していました。今回はグラデーションからアイディアを得たいと思います。 グラデーションと言えば、どんなものを想像するでしょうか。空、木の葉、虫、グラス…などなど。水彩画のように、色の境目が曖昧で柔らかな印象を受けます。音で置き換えた場合、どのような点がグラデーションぽく感じられるでしょうか。 音の性格そのものをグラデ

【8】水槽に学ぶ「音のレイアウト」

この前の連休中、観光に訪れた地域が運営している小さな水族館に足を運んだ時のこと。手作りの案内板や綺麗に整備された水槽、小学校の理科室のような少し懐かしさのある部屋に設けられたふれあいの場…どれも親しみのある空間で居心地が良かった。今回はそこから何となく感じたことを記していこうと思う。 世に流れている音楽と定義づけるものの殆どには「形式」といった枠の中で成り立っています。古典的なものだとソナタ形式や三部形式、J-POPでは典型的なAメロBメロそしてサビ等。限られた枠の中で音は

【7】天麩羅に学ぶ「質感」

昨日、天麩羅を食べていた時に考えていたこと。 どういうものが天麩羅で、どういう食感だから美味しく感じるのか。 揚げたての衣のパリパリ感、ふわっとした具、大根おろしを混ぜたつゆに付けたり、抹茶塩で食べたり…今まで食べたことのある天麩羅はこのような印象。衣が油でギトギトしていたり、具が硬かったりすると、途端に美味しさは半減。出来立てが美味しいことは間違いないのですが、冷めていてもパリふわが保たれていればおおよそ美味しく感じるかと思います。 この「パリパリ」と「ふわふわ」は、天

【日常的思考・番外編】音楽が外部との関わりを持つとき

ずっと頭の中で考えていたことがようやく言語化できた(普段余程アウトプットしてないんだなというのが手に取るようにわかりますね…)ので、今回は私が幼少期から共にあったゲームを主な題材として考えていこうと思います。 いつもの楽曲制作の話とは少し違ったものになり、若干商業的な観点も含めています(少々長いことと、文体も文章の長さ軽減のため、ですます調からである調にしています)ので、もし興味があれば読み進めていただけると嬉しいです。 とある土曜日の朝、家族が「DARK SOULS」とい

【6】樹木に学ぶ「一貫性」

公園でベンチに座って何気なく空を見上げると、高く伸びている樹木が目に入ったので今日はそこからアイディアを得たいと思う。樹木の幹は根をしっかりと張り巡らせ、頂点に至るまで無数の枝葉を四方八方に伸ばしている。 私が楽曲制作において重視している「一貫性」も、これに通ずるものがあります。楽曲のイメージや対象をひとつ決めて、そこに関連する事項を足していき、バランスを整えていくというもの。 例えば、雨のイメージから連想できるものは、青、水色、灰色といった色合いや、絶え間なく降る雨、途切

【5】食事に学ぶ「要素」

栄養バランスのとれた食事とは主食、副菜、主菜に加えて汁物や果物、乳製品等と言われています。 楽曲の構成についても半ば同じような事が言えるひとつに、トニック、ドミナント、サブドミナントというものがあります。これらは主にコード進行の理論においてクラシック、ジャズに限らず現代における邦楽まで、様々なジャンルで和音の属性や関係性を説明する際に用いられます。 食卓に欠かせないご飯をトニックとして、ご飯と結合力の高い主菜である肉や魚をドミナント、彩り的にもあるといい副菜をサブドミナン

【4】散歩に学ぶ「反復」

いつも同じ道を通っていても、その日によって違う景色だったり、何か落ちていたり、ちょっとした変化がある。 ループを軸に作られる音楽も、一貫したものでありながら時間経過によって様々な変化が起こります。ドラムがリズムを刻み始め、何となくベースが乗ってくる、ちょっといい感じのコードをシンセが乗せてきて、ノッてきたなと思ったらボーカルがフェードイン、そのままギターがリフでノリを強化したり…その「何となく」が音楽にも変化をもたらします。 散歩をする時、好きな音楽を聴きながら歩こうとか

【3】おにぎりに学ぶ「細分化」

この世の全てがそうであるように、ひとつの大きなものは塵のような細かいものが集まって出来ている…こんな話をし出すと示しがつかないので、今回はおにぎりに着目してみます。 おにぎり(塩むすび)に含まれるものは何かを分析してみる。米、塩、水…更に米に含まれる成分を細分化すると、脂質、糖質、カリウム…と一見単純なおにぎりですらも、その中に含まれるものは多くあります。 楽曲制作において、例えばピアノ曲にしてもバス(ベース)、内声(ハーモニー)、旋律(メロディー)から成り立ち、更にコー

【2】どら焼きに学ぶ「二面性」

突然ですが、どら焼きから小豆餡を取り除いたら?もはやそれはどら焼きとは言えないでしょう。小豆餡が円盤状のカステラ風の生地に挟まれていることでどら焼きを名乗れ、小豆餡と生地があるからこそ、互いの良さを味わうことが出来るのです。 音楽も同じく、始終一貫した曲もありますが、意図的なものでない限りは少々物足りなさを感じると思います。そこで、ちょっとしたスパイスとして「二面性」を取り入れてみてもいいかもしれません。 形式としてはABA'というもの(音楽理論上では三部形式と言う)。A

【1】一日に学ぶ「起伏」

曲を作っていて、何だかパッとしないなあ…と思った時、足りない部分は何かと考えた時にわりと多いのが「起伏(抑揚)」。単調で平坦だとどこか無機質で、心ここに在らず…に聴こえたり。ここでいう抑揚はボーカルのピッチ調整のような細かい部分ではなく、楽曲全体を通して起伏があるかどうか、という観点から日常に置き換えてみたいと思います。 一日を過ごす中で、その日のピークはどこだったか、少し思い出してみる。朝は眠くて頭がぼんやりしていた、何となくパソコンを開いて調べ物をしていたら何だか面白い

はじめに

こちらのマガジンに興味を持っていただきありがとうございます。作編曲家として活動しているtohma(トウマ)と申します。ここでは、理論的な話ではなく私が日々を過ごす中で感じたことや見つけたこと、日常的観点から楽曲制作におけるヒントを得ようというコンセプトをベースに書いていきます。 ここで、私の考えとして以下のことを重視しているので、それも踏まえて読んでいただけるとより読み進めやすいかなと思います。 ・生命性 ・ストーリー性 ・明暗等、表と裏の関係性 現在、理論で行き詰まっ