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『太陽の末裔』 を駆け足で完走して思うこと

先月加入したU-NEXTトライアル無料期間がもうすぐ終わる。

U-NEXTは新作がバンバン投入されるし、コンテンツがすごく豊富で気に入っていたのだが、フリーズ&エラーが多発。(Amazon PrimeやNetflixでは起きない現象なので原因は不明。。)

なので、残念だけどU-NEXTからは撤退しようと決めた。
新作映画をポイント購入して何本か観たので許してね。

さて、そうと決めたらU-NEXTで独占配信されている作品を今のうちに鑑賞しなければ。そこで「太陽の末裔」を寝る時間を惜しんで完走。

「愛の不時着」以上のドラマには相変わらず出会えていないけど(というか殿堂入りだな)、このドラマが人気だったであろうことはよく理解できる。なぜなら、韓ドラ王道を行く女子ときめき系の要素がふんだんに盛り込まれているからだ。



「太陽の末裔」は韓国陸軍特殊戦司令部大尉ユ・シジンと医師カン・モヨンの恋を軸としたラブストーリー。

演じるのは人気俳優のソン・ジュンギとソン・ヘギョ。
シーンの2/3程度は海外ロケと思われ、きっと制作費も潤沢だったはず(つまり力が入っている)。


そもそも軍人がらみのラブストーリーというのは最強だ。
理由は3つ。

1)死と隣り合わせの職業軍人との恋ゆえに、「命をかける」場面が多く、視聴者の心を揺さぶる
2)軍人の戦う姿がカッコよく、「強い男→女を守る」という視聴者がときめく構図が自然に出来上がる
3)多くの女子は軍服姿に弱い


「太陽の末裔」がこの1)〜3)の全てを備えているのはもちろんだが、特に1)の要素を盛り上げるべく、二人が派遣された紛争地域ウルクでは、地震や感染症、犯罪組織との対立など、生死が関わる危機が次々と訪れる。

そして有事の下、主人公たちの恋は盛り上がっていくのだ。

ソン・ジュンギ演じるユ・シジン大尉は優秀&賢くユーモアセンスのある美男。
好きな女にはストレートに「好き」と伝える率直さも清々しい。
一方、ソン・ヘギョ演じる女医カン・モヨンはユ・シジンに惹かれながらも、軍事規定上秘密だらけで、つかみどころのない彼を受け入れることができるかどうかで葛藤する。

そんな二人がウルクに軍人、そして医者として派遣され再会し、恋に落ちるというのがこのドラマのメインストーリー。そして、もうひとつの恋物語がユ・シジンの部下で相棒でもある上士ソ・デヨンと軍医ユン・ミョンジュとの身分(階級)違いの恋。

この二つのカップルはそれぞれに乗り越えるべき問題を抱えているが、ひとたび有事が発生すれば、喧嘩中であろうがなんだろうが、恋のあれこれは吹っ飛び、使命のために行動する。そして任務が一息つくと真っ先に恋の相手の身の安全を案ずるという行動パターンを繰り返す。

また、常に危険と隣り合わせで生きている彼らの恋は、非日常の下燃え上がりやすい。死と隣り合わせなのでグダグダしている暇もなく、恋の相手に伝えたい感情がストレートに表現されるのも特徴だ。少なくとも、恋愛ドラマにありがちなすれ違いシチュエーションが物語を展開していく流れではない。


一方で、カン・モヨンからすれば、ユ・シジンがいつ危険な任務に招集されるかわからないという緊張に常に晒されている。つまり心休まる暇がない。

実際に、韓国に帰国した後も、彼らが恋人らしい時間を楽しむ時間はごくわずかだ。平和な日々も束の間、ある日突然前触れもなく、ユ・シジンの部隊は危険地帯への3ヶ月間の任務を急遽命じられる。

それをユ・シジンから伝えられたカン・モヨンは動揺を隠せない。
彼女は、泣くべきでないと思いながらも涙を堪えきれずに言う。

「早く戻ってね ケガをせず、遅くならないで」

短い言葉。
でも、他に何が言えるだろう。

「ケガもせず 死にません。 必ず戻る 約束します」


そう言ってユ・シジンは彼女の元を去り、でも、彼女の元に帰ってこなかった。


第22話では、ユ・シジンとソ・デヨンの戦死を告げられたカン・モヨンとユン・ミョンジュの悲しみが描かれるが、このエピソードは涙なしでは観られない。

恋人の死を覚悟するなどそうそうできるものではないし、実際にそれが起きてしまったとしても信じたくないし、受け入れられない。


しかし、ユ・シジンが戦死が正式に認定されたことにより、彼が書いた遺書がカン・モヨンの元に届く。

軍人は作戦に出発する前、大切な人に向けて必ず遺書を書く。それが愛する人に届かないことを祈りながら。でもその思いも虚しく、遺書は彼女に渡された。

言う資格はないけど、あまり長く泣かないでほしい。
誰よりも明るく 元気に過ごして

そして、早いうちに僕を忘れて


常に死と隣り合わせの任務に就く男に恋をするのは、辛すぎる。



さて、この物語の軸が恋愛であることには間違いないが、背景にあるのは「国民を守る、または、患者を救う」という使命を背負った軍人と医師の高尚な志だ。

「あるべき平和を守りたい」


そう恋人であるカン・モヨンに話すユ・シジン。
誰かを助けることを使命とした彼らの高潔さみたいなものが、彼らの恋愛をも価値あるものに変化させている。


祖国とか、愛国心とかそう言うことを日頃考えることもなく生活している私にとっては遠い世界の話ではあるけれど、拠り所としての祖国、そして使命がある人生にはブレがない。だからこそ、戦争や軍人がらみの恋愛物語には説得力があり、人々の心を動かすのだと思う。



さて、この話はここでは終わらない。
遺体が発見されなかったという時点で想像はできたが、「実はユ・シジン、ソ・デヨンは生きていた」という視聴者が幸せな気持ちになる結末が用意されている。恋人たちが再会する幸せなエンディングだ。

その結末にほっこりする一方で、個人的にこのドラマで一番心に残った場面は、カッコいい軍人との恋物語よりも、愛する男を失った時に流された女達の涙だった。



ところで、ソン・ジュンギとソン・ヘギョはこのドラマがきっかけで結婚。
しかし、既に短い結婚生活に終止符を打ったとか。

人生はイロイロ。。

(day 97)

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