君が纏ってたその香水の匂いは世の中にありふれている匂いだった。
ふと思う。
満員電車で偶然隣になった人の匂い。
なんだか懐かしいな。
今この瞬間すれ違った人の匂い。
なんだか懐かしいな。
居酒屋の店員さんの匂い。
なんだか懐かしいな。
とあるホテルの受付の人の匂い。
なんだか懐かしいな。
どうしてだろう。
顔も知らない。名前も知らない。何も知らない。
なのに知ってるこの匂い。
初めて会った人を初めてだと思えないのは
その香水のせい。
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