私だけの特別な朝#虎吉の毎月note
吐く息がまだ白い、朝の静寂。
目覚めの一瞬、まだ眠りの余韻が残る中、私は静かに目を開けた。外の世界はまだ暗く、家の中には私の存在だけが感じられる。この特別な時間は、私だけのもの。
カーテンを開けると、朝日が差し込んできて、小鳥のさえずりがかわいらしく、新しい一日の始まりを告げている。
コーヒーを淹れ、温かいマグカップを片手に窓辺に座り、一口飲めば、香ばしい香りと共に身体が目覚めていく。
この静かな時間に、一日の計画を立てる。やるべきこと、会うべき人、挑戦すべき課題。でも今はまだ、何も始まっていない。可能性に満ちた、真っ白なキャンバスのよう。
時間が経つにつれ、世界は動き出す。遠くから車の音が聞こえ始め、隣人が新聞を取りに出る。私の一人の時間は、少しずつ終わりに近づく。
ふと、子供の頃、家族と過ごした朝食の時間を思い出した。みんなで食卓を囲み、一日の始まりを祝うように笑顔で話していた日々。今はもう、あの頃のようにはいかない。それぞれの生活があり、一緒に過ごす時間は限られているから。
この一人の朝の時間だけが、喧騒から離れ、自分らしさを取り戻せる時間。この静寂の中でこそ、私は自分自身でいられるのだ。
しかし、時は無情に流れ、1日が始まろうとしている。私は最後の一口のコーヒーを飲み干し、マグカップを洗う。心の中で、この一人の時間にさよならを告げた。また明日、この静かな朝が訪れることを信じて。
今日も、私は一人の時間を終え、世界との関わりの中で生きていく。でも心のどこかで、明日の朝を待ち望んでいる。あの特別な時間、私だけの大切な時間を、もう一度過ごせることを願いながら。
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