券売機を使えない人生って。

　ホームで電車を待ってたら、30代ぐらいの男女が淡々とケンカをしてました。
　飯が松屋なのはいい、食券の券売機の使い方が分からないというのはどういうことなのかと、今までどうしてきたのかと問い詰める女。
　店員さんを呼んでオーダーしていたとリーマン風の男。
　いや、券売機を使えるようになれ、と淡々と女は話し、同じ電車に乗らずにホームのベンチに座っていました。
　京都は大きな街で全国チェーンの店もたくさんあるのに、あの男性は、券売機の使い方をマスターしようとせず過ごしてきたのだろう。
　そのことが、女性がお付き合いを考えてしまうできごとだったんだろう。

　券売機を使わないことが悪いわけではなく、これから先、食券機も使えない男と過ごすのは無理だと判断したと思われる。
　券売機を使えばすむことを店員にオーダーを取らせるわけだから。
　飲食店で働いてみるとわかるが、高齢の方や海外の方が券売機の使い方がわからず、店員が対応することはある。しかし、30代の男性がそれでは、女性が腹を立てても無理はないと思うのです。
　これから先、こいつの食券を、私が買わないといけないのか?　と思うことでしょう。
　今まで誰も指摘してこなかったのか、困ったことがなかったのか…。
　券売機が使えないようでは、セルフレジも無理だろう。
　それでは結婚は難しいのではないか……。
　電車を見送って缶コーヒーを飲み出した彼女の横顔を見て、私も缶コーヒーを買いました。