マイン

とりあえずまだ見ぬ息子に向けて書いてみます

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最近の記事

「太陽の子」

これは小学校低学年の頃、ひいばあちゃんから貰った本だ。児童文学とはいえ当時の私は幼な過ぎ、作中の漢字が読めなかった。物語には完全に置いて行かれたが何度も読み返し、おそらく主人公の女の子「ふうちゃん」と同じ高学年になる頃、ようやく物語を理解できるようになった。漢字が読めない間も読めるようになってからも何回も読み返した作品だ。 ある程度大人になり、灰谷健次郎の思想について友人と喧嘩した。喧嘩というか、私の主張は「そんなん知るか、細かいこと言うな」だった。 教員だったその友人には

    • 「春日狂想」

      大切なひとやものを失うこともあるだろう。その喪失感から生きていくことがしんどくなったら、この詩を読んでみるといい。 この詩は中原中也が息子を亡くした後に書かれたものだ。その喪失感と絶望は冒頭の「愛するものが死んだ時には、自殺しなけあなりません。」という言葉として突き刺さってくる。愛するものはもういないのだから、それしかない。 しかしそれでも人生は続いてしまう、愛するものが死んでも業があるだろう自分は生き長らえていくしかない。では、どう生きれば良いのか。 中原は「奉仕の気持

      • 「少々おむづかりのご様子」

        これは竹中直人のエッセイ集だ。映画への愛情、それ以上に自己愛に満ちておるのだが、潔く格好良い。 このエッセイ集では著者が活躍し始めた当時の著名人、そうそうたる人物との思い出や彼らへの憧れ、そして彼自身の青春時代が紹介されている。登場する人間たちそして彼自身がとても愛らしく描写されており、竹中直人が自身の人生を愛おしくつないできたことが良く分かる。 作中に竹中直人らしい、素晴らしい一節がある。現在のこのブログで引用がどこまで許されるのか分からないが、是非紹介したい。怒られた

        • 「青空、ひとりきり」

          世界が広がったためか世界(社会)が変わってきたためか、最近の私は身の回りの環境のネガティブな側面に目がいく。ニュースもそうだ、ネガティブな事柄が世の中にどんどん増えてはいまいか。 「そういう部分にフォーカスしたいからフォーカスしているのだ」と言えるかもしれない、世界を読解するリテラシーの問題だと言えるのかもしれない。つまり社会的な話ではなく、私の個人的な話だということだ。 井上陽水に「青空、ひとりきり」という曲がある。歌い出しはこうだ。 楽しい事なら 何でもやりたい 笑え

        「太陽の子」

          「春秋の名君」

          宮城谷昌光のこの本は、昔知人のじいちゃんにプレゼントされた。彼は引退こそしていたがべらぼうな成功者だった。偶々大学の同窓であり、私の病気がきっかけで面倒を見てくれた方だ。 一時期、このじいちゃんと良く飲んだ。場所は毎度彼の馴染みの蕎麦屋だった。毎度蕎麦を食べず、毎度二人で日本酒を飲み過ぎ、毎度私の性根の悪さについて説教された。可愛がってくれた。 じいちゃんは和歌山出身であり、父親を自殺で亡くしている。父親の仕事は林業だった。彼自身は家業を継がず大学から上京し、別の仕事で成

          「春秋の名君」

          「アルケミスト」

          パウロ・コエーリョのこの作品は昔なんの気なしに購入した。「マジかい」と思いながらも童話のように楽しく読んだ。しかし、上手く言えないのだが、「書かれていることは真実だ」とどこかで感じていたことも事実だ。 主人公の少年は自身の夢を叶えるため困難な旅に出る。そしてその過程で様々な「前兆」に出会う。その都度彼はその前兆を信じることの重要性、疑わずに「見る前に跳」ぶことの必要性を学習していく。時に失敗し、時に困難さを伴いながらも彼は徐々に跳び方が上手くなり、ついに一番の夢に辿り着く。

          「アルケミスト」

          「海のトリトン」

          「海のトリトン」がどんな作品なのかは全く知るところがないのだが、先輩のカラオケを聞き、主題歌が大好きになった。なんだか、啄木の「さいはての駅に下り立ち 雪あかり さびしき町にあゆみ入りにき」に近い孤独と覚悟を感じるのだ。 同様のシリーズ(世代ではないためよく分からんが少年の孤独と覚悟っぽいシリーズ)としては、「母をたずねて三千里」の「草原のマルコ」が挙げられるだろう。この主題歌も素晴らしい。 「さあ、出発だ!」というサビに向け、覚悟を決めた少年の涙のように曲が盛り上がってい

          「海のトリトン」

          「エイリアンズ」

          この曲は歌詞が特に素晴らしい。キリンジの作品としては藤井隆「わたしの青い空」(PVのダンスも素晴らしい)と「つよがり魂」を知るくらいだった。いずれも大好きではあった。 この曲は謂わば当時憧れていた方に教えていただいた。描かれているのは現代の都市部の恋愛だ。曲中に現れる「ボーイング」「公団」「バイパス」などは私たちにとって馴染みのあるイメージを喚起し、距離の遠さと夜の孤独さ、しかしかろうじて繋がっている相手との距離感そして違和感、そういったものが描かれている。今聞いても涙が出

          「エイリアンズ」

          合っているのかは分からないがまずは呟こうと思う。 はじめまして

          合っているのかは分からないがまずは呟こうと思う。 はじめまして