「アルケミスト」

パウロ・コエーリョのこの作品は昔なんの気なしに購入した。「マジかい」と思いながらも童話のように楽しく読んだ。しかし、上手く言えないのだが、「書かれていることは真実だ」とどこかで感じていたことも事実だ。

主人公の少年は自身の夢を叶えるため困難な旅に出る。そしてその過程で様々な「前兆」に出会う。その都度彼はその前兆を信じることの重要性、疑わずに「見る前に跳」ぶことの必要性を学習していく。時に失敗し、時に困難さを伴いながらも彼は徐々に跳び方が上手くなり、ついに一番の夢に辿り着く。冒険後の清々しいハッピーエンドがある。
私の稚拙な表現では微妙に悪臭を帯びてしまうように思え悲しいが、私自身の実感としても上手く行くときは大抵「前兆」に際し素直に跳んでいたように思えるのだ。謂わば「人生とはこうだ」といった実感がこの作品にはあった。

俳優のウィル・スミスがインタビューで同様のことを語っていた。細部は忘れてしまったが、彼はこの「アルケミスト」を愛しており、おそらく信仰する程だった。
この作品に書かれていることは真実である。誰でも自分が生きたい世界を選ぶことができる、だから自分の夢は叶っている。そういう主旨だったと思う。


オカルトやスピリチュアル、童話として一蹴するのは容易い。しかし自分の実感を信じてやることは人生において最も重要なのではないか。最近そう思っている。
自分の能力や周り(世界)の支えに対して猜疑心を抱いてしまうときや、「前兆」に際しながらも上手く跳べないときもあるだろう。そういうときはこの「アルケミスト」を読み、元気づけられるといい。跳ぶ勇気を醸成するには「トリトン」だ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?