しばっちゃん

博士(工学)、 技術士(電気電子部門)、 第一級陸上無線技術士、 専門分野:誤り訂正符…

しばっちゃん

博士(工学)、 技術士(電気電子部門)、 第一級陸上無線技術士、 専門分野:誤り訂正符号、ディジタル信号処理、ディジタル変復調、 勤務先:某国内無線通信機器メーカ、 趣味:家電修理、電子工作、お菓子作り、料理、つくる(作る、創る、造る)ことが大好き、

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小学5年生が理解する「誤り訂正符号」(デジタル社会を支えるテクノロジー:誤り訂正符号って何?その44)

私:「話しが外れてしまったけど、『畳込み符号』の復号法として紹介した『ビタビ復号法』は、『ターボ符号』の復号でも使う。但し、『対数尤度比(たいすうゆうどひ)』と言う、0と1のそれぞれの値にどれだけ近い値か?という数を比較した値を『ハミング距離』の代わりに使う。」 息子:「なんだか難しそうだね。」 私:「確かに計算する量も増えて面倒ではあるけど、比較する時に使う物差しが『ハミング距離』から『対数尤度比』に代わるだけで、考え方は変わらないので、それほど難しくないんだ。」 息

    • 小学5年生が理解する「誤り訂正符号」(デジタル社会を支えるテクノロジー:誤り訂正符号って何?その43)

      私:「『LDPC符号』のように優れた発明であっても、その当時は実現に必要な関連技術が十分でなかったために、暫く忘れ去られてたような技術は他にもあるんだ。」 息子:「そんなにあるの?」 私:「デジタル技術の基本技術である『フーリエ変換』なんかもそうなんだ。当時はコンピュータ技術が無かったから暫く忘れ去られていたんだ。『LDPC符号』の場合は当時のコンピュータ技術がまだ未熟で計算量が多過ぎて実現できないと考えられていたから、50年位忘れられていた技術なんだ。でも、驚くべきこと

      • 小学5年生が理解する「誤り訂正符号」(デジタル社会を支えるテクノロジー:誤り訂正符号って何?その42)

        前回まででは『畳込み符号』の代表的な復号法『ビタビ復号法』を紹介した。また『ビタビ復号法』の発明者のビタビ氏が、第3世代携帯電話の基本方式や、その技術を実装したLSIを作っているQualcomm社の創業者であることも紹介した。 私:「『畳込み符号』と、その復号法である『ビタビ復号法』はどうだった?」 息子:「何か『ブロック符号』の時よりも、簡単だった。」 私:「おっ!凄いね。ちなみにパパは『ブロック符号』を先に覚えたことや、『有限体』を先に学んだこともあって、逆に『畳込

        • 小学5年生が理解する「誤り訂正符号」(デジタル社会を支えるテクノロジー:誤り訂正符号って何?その41)

          私:「ハハハッ!!そうだね.確かにテトリスみたいだね.『トレリス線図』を書くと次のようになる.」 息子:「これをどうやって使うの?」 私:「前回,タクムが考えてくれたことを言うぞ.その言葉を聞きながら,お父さんが書いた『トレリス線図』を見て.まずは状態00からスタートして,元のデータ0の時は状態00で連続した3ビットの合計は0で、連続した3ビットの間を除いた合計も0なので、『符号語』の要素は00で『受信語』との『ハミング距離』は0。元のデータ1の時は状態10で連続した3ビ

        小学5年生が理解する「誤り訂正符号」(デジタル社会を支えるテクノロジー:誤り訂正符号って何?その44)

        • 小学5年生が理解する「誤り訂正符号」(デジタル社会を支えるテクノロジー:誤り訂正符号って何?その43)

        • 小学5年生が理解する「誤り訂正符号」(デジタル社会を支えるテクノロジー:誤り訂正符号って何?その42)

        • 小学5年生が理解する「誤り訂正符号」(デジタル社会を支えるテクノロジー:誤り訂正符号って何?その41)

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        • 夏休みの自由研究
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          小学5年生が理解する「誤り訂正符号」(デジタル社会を支えるテクノロジー:誤り訂正符号って何?その40)

          私:「では、ここまでのことを整理しよう『畳込み符号』の『符号語』は 00,11,01,01,00,10,11、 途中で加える誤りは 00,10,01,00,00,01,00、 『符号語』に『誤り』が加わって、受け手が受け取る『受信語』は 00,01,00,01,00,11,11 となる。」 息子:「うん。で、誤り訂正はどうやるの?」 私:「慌てるでない。考えられる全てのビットの並び、つまり考えられる全ての『符号語』と、受け取ったビット、つまり『受信語』とを比較

          小学5年生が理解する「誤り訂正符号」(デジタル社会を支えるテクノロジー:誤り訂正符号って何?その40)

          小学5年生が理解する「誤り訂正符号」(デジタル社会を支えるテクノロジー:誤り訂正符号って何?その39)

          私:「さて、前回話しをしようと思っていたことに話しを戻そう。『畳込み符号』で誤り訂正する場合を説明する。元々のデータを01101とする。『畳込み符号』の作り方は昨日と同じで、データを縦に並べたとしたら左側には3つの連続したデータの合計、つまり足し算を、右側には3つの連続したデータのうち真ん中を除いた2つの足し算を計算する。ここでは、そうして計算した合計だけを順番並べていく。つまり2つの計算結果だけを2ビットずつ並べて、元のデータは並べない。」 息子:「元のデータを並べな

          小学5年生が理解する「誤り訂正符号」(デジタル社会を支えるテクノロジー:誤り訂正符号って何?その39)

          小学5年生が理解する「誤り訂正符号」(デジタル社会を支えるテクノロジー:誤り訂正符号って何?その38)

          私:「『畳込み符号』で誤り訂正する場合を説明するには、0と1だけで表した方が便利なので、前回は実際の生活の中での例としてレシートを使って話しをしたけど、今日は0と1のデータに対して考えてみよう。」 息子:「簡単な方で良いよ。」 私:「悪いね〜っ!で、本題。元々のデータを01101とする。『畳込み込み符号』の作り方は昨日と同じで、データを縦に並べたとしたら左側には3つの連続したデータの合計、つまり足し算を、右側には3つの連続したデータのうち真ん中を除いた2つの足し算を計算す

          小学5年生が理解する「誤り訂正符号」(デジタル社会を支えるテクノロジー:誤り訂正符号って何?その38)

          小学5年生が理解する「誤り訂正符号」(デジタル社会を支えるテクノロジー:誤り訂正符号って何?その37)

          私:「良い調子だね!『誤り訂正符号』の基本が身に付いてきたね。どんなに難しそうに感じることでも、最初の発想、考え方は簡単なんだ。その考え方を正確に表したり、表すのに便利なように使う数学が慣れない数学だったりするだけなんだ。」 息子:「うん。何となく分かってきた気がする。」 私:「逆に数学が得意だと思ってる人が陥り易いのが、数式の変形を本質だと勘違いしてしまうことだ。『誤り訂正符号』に限らず、無線通信の理論を取り扱っていると、数式が沢山出てくるが、背景に有る基本の考え方が理

          小学5年生が理解する「誤り訂正符号」(デジタル社会を支えるテクノロジー:誤り訂正符号って何?その37)

          小学5年生が理解する「誤り訂正符号」(デジタル社会を支えるテクノロジー:誤り訂正符号って何?その36)

          私:「『ブロック符号』が、長いデータをある一定の長さのブロックに区切って、その区切りのブロック毎に独立に、つまり別々に『誤り訂正符号』を作るのに対して、『木符号』ではその区切りのブロックだけでなく、そのブロックの前の幾つかのブロックも使って『誤り訂正符号』を作る。」 息子:「最初の頃に話していた、芋づる式とかって言ってなのが『木符号』のことなんだね。」 私:「おっ!良く覚えてるねー。いろいろとすぐ忘れるのに。」 息子:「うるさいなー。せっかく覚えていたんだから良いでしょ

          小学5年生が理解する「誤り訂正符号」(デジタル社会を支えるテクノロジー:誤り訂正符号って何?その36)

          小学5年生が理解する「誤り訂正符号」(デジタル社会を支えるテクノロジー:誤り訂正符号って何?その35)

          私:「『連接符号(れんせつふごう)』は、前に紹介した『積符号』にも似てるけど少し違う。」 息子:「何が違うの?」 私:「『積符号』の場合は横に並べる『誤り訂正符号』と、縦に並べる『誤り訂正符号』のどちらも同じ『有限体』GF(2)で表されていたのに対して、『連接符号』では横(または縦)に並べる『誤り訂正符号』を表す『有限体』がGF(2^8)などの『有限体』GF(2)の『拡大体』で、縦(または横)に並べる『誤り訂正符号』はGF(2)で表される。ここで肝心なのは、横(または縦)

          小学5年生が理解する「誤り訂正符号」(デジタル社会を支えるテクノロジー:誤り訂正符号って何?その35)

          小学5年生が理解する「誤り訂正符号」(デジタル社会を支えるテクノロジー:誤り訂正符号って何?その34)

          息子:「テレビ番組を録画するために付けてるハードディスクの録画時間を決めてる2TBのBはバイトで、1バイトは8ビットの固まりのことを言ってるんだね。それにしてもテレビ番組の録画って、もの凄いデータの量なんだね。」 私:「そうだね。音声だけと比べると、テレビ番組は音声に加えて、音声よりもデータ量が凄く大きいからね。それを何100時間も録画するんだから、ハードディスクドライブ(HDD)に記憶できるデータ量が多くないとね。」 息子:「そうなると、確かに『リード・ソロモン符号』み

          小学5年生が理解する「誤り訂正符号」(デジタル社会を支えるテクノロジー:誤り訂正符号って何?その34)

          小学5年生が理解する「誤り訂正符号」(デジタル社会を支えるテクノロジー:誤り訂正符号って何?その33)

          私:「『リード・ソロモン符号』の『生成多項式』はg(X)=(X-α)(X-(α^2))、つまり連続な『零点』だけ持つ、ことを紹介したけど、『BCH符号』との違いはそれだけじゃないんだ。」 息子:「他にも何か違うの?」 私:「その前に『生成多項式』は、どんな『有限体』で表されてるかな?」 息子:「えっ!えーと・・・そっか!!0と1だけのGF(2)じゃなくて、αがそのまま残るから『生成多項式』はGF(2^4)で表されるんだね!」 私:「そうなると、『符号語』はどんな『有限

          小学5年生が理解する「誤り訂正符号」(デジタル社会を支えるテクノロジー:誤り訂正符号って何?その33)

          小学5年生が理解する「誤り訂正符号」(デジタル社会を支えるテクノロジー:誤り訂正符号って何?その32)

          息子:「ねー。他の『誤り訂正符号』を紹介してくれる前にさー『リード・ソロモン符号』って良く出てくるけど、『BCH符号』と何か違うの?』 私:「そういえば、きちんと紹介したなかったね。『リード・ソロモン符号』も『BCH符号』と同じで『巡回符号』の1種なんだけど、『BCH符号』が『生成多項式』に連続した『零点』を持つのと同時に、『零点』に『共役』な『零点』を持つのに対して、『リード・ソロモン符号』は『生成多項式』に連続した『零点』しか持たないんだ。」 息子:「どういうこと?」

          小学5年生が理解する「誤り訂正符号」(デジタル社会を支えるテクノロジー:誤り訂正符号って何?その32)

          小学5年生が理解する「誤り訂正符号」(デジタル社会を支えるテクノロジー:誤り訂正符号って何?その31)

          息子:「何か長かったね。」 私:「そうだね。『巡回符号』はいろいろと覚えることが多いからね。でも、『誤り訂正符号』が様々な所で使われるようになった最初の『誤り訂正符号』なんだ。スマホ決済で使われてるQRコードで使われてる『BCH符号』と『リード・ソロモン符号』はどちらも『巡回符号』の1種だ。民生品で初めて『誤り訂正符号』が使われたコンパクト・ディスク(CD)でも『リード・ソロモン符号』が使われてる。」 息子:「知らないうちに使ってたんだね。知らなかった。」 私:「そんな

          小学5年生が理解する「誤り訂正符号」(デジタル社会を支えるテクノロジー:誤り訂正符号って何?その31)

          小学5年生が理解する「誤り訂正符号」(デジタル社会を支えるテクノロジー:誤り訂正符号って何?その30)

          私:「次は、(X +(α ^3))(X +(α ^12))=(X^2) +(α ^3)X +(α ^12)X +(α ^15)=(X^2) +((α ^3)+(α ^12))X +1となる。ここで、(α ^3)+(α ^12)はどうなるかな?」 息子:「(α ^12)=(α ^3)+(α ^2) +α+1だから(α ^3)+(α ^12)=(α ^3)+(α ^3)+(α ^2) +α+1=(α ^2) +α+1=(α ^10)。」 私:「良いね。(X +(α ^3))(

          小学5年生が理解する「誤り訂正符号」(デジタル社会を支えるテクノロジー:誤り訂正符号って何?その30)

          小学5年生が理解する「誤り訂正符号」(デジタル社会を支えるテクノロジー:誤り訂正符号って何?その29)

          私:「そうだね。そして、今度は(X +α)(X +(α ^2) )(X+(α ^4))(X +(α ^8))=((X^2) +X +(α ^5))((X^2) +X +(α ^10))=(X^4) +(X^3) +(X^3) +(X^2) +(α ^5)(X^2) +(α^10)(X^2)+(α ^5)X +(α ^10)X +(α ^15)=(X^4) +(1 +(α ^5) +(α^10))(X^2)+((α ^5) +(α ^10))X +1となる。この後の計算はタク

          小学5年生が理解する「誤り訂正符号」(デジタル社会を支えるテクノロジー:誤り訂正符号って何?その29)