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小学5年生が理解する「誤り訂正符号」(デジタル社会を支えるテクノロジー:誤り訂正符号って何?その37)

私:「良い調子だね!『誤り訂正符号』の基本が身に付いてきたね。どんなに難しそうに感じることでも、最初の発想、考え方は簡単なんだ。その考え方を正確に表したり、表すのに便利なように使う数学が慣れない数学だったりするだけなんだ。」

息子:「うん。何となく分かってきた気がする。」

私:「逆に数学が得意だと思ってる人が陥り易いのが、数式の変形を本質だと勘違いしてしまうことだ。『誤り訂正符号』に限らず、無線通信の理論を取り扱っていると、数式が沢山出てくるが、背景に有る基本の考え方が理解できてないと、間違った使い方をしてしまう。昔、仕事をしていて、そういう間違った使い方をしてしまって恥ずかしい思いをするばかりか周りに迷惑をかけた人を何人か見たことが有る。」

息子:「基本が大切だってことだね。」

私:「そういうこと。話しを『木符号』に戻そう。『木符号』はレシート毎の合計金額ではなく、何日か分のレシートの商品の合計と考えることができる。」

息子:「でも、実際にはどうやって『木符号』を作るの?」

私:「『木符号』は、これまで扱ってきた『ブロック符号』とは考え方が違うから一緒に考えていこうか。まず、何日か分のレシートを用意して店の名前とか、合計金額や支払い金額、おつりの金額を折って隠して商品とその値段だけ残して縦に並べてみよう。」

息子:「こうすれば良いのかな?」

私:「うん。良いね。それから左側には、連続した3つの商品の価格の合計を次々と計算して書いていこう。但し、3つの商品の合計は1つずつ下にずらして次々と計算して書いていく。次に右側には、左側で計算した連続した3つの商品の真ん中の1つを抜いた合計を計算して書いていく。右側の合計もやはり1つずつ下にずらして次々と計算していく。」

息子:「おっ…おぅ…これは結構、面倒だね。でも、計算は簡単だけど。…できたよ。」

私:「良いね。毎日買い物したレシートをこうして次々と付け足していって、同じパターンで合計を左側と右側とで計算していくんだ。」

息子:「そうなると、終わりが無いじゃん。困らないの?」

私「良いところに気がついたね。そうなんだ。このままだと終わりが分からないから、例えば最後はいくつか連続した商品が無し、つまり0円にしておくんだ。これを『終結(しゅうけつ)』と言う。今、作っている『木符号』の例だけど、実は『畳込み符号』と言う『誤り訂正符号』の考え方を実際の生活の中での例にしたものだけど、ここでは合計を求める長さが3だから3つ連続して0円にする『終結』をすれば良い。」

息子:「『終結』って、凄い言葉だね。」

私:「そうだね。『終結』は英語では"Terminate"(ターミネイト)だ。昔の映画で『ターミネーター』ってあったのは知ってるだろ?」

息子:「古っ!!まーテレビでやってるの観たけどね。」

私:「ターミネイトもターミネイターも終わりにすることを意味してるんだ。そうやって、データを受けた方で終わりが分かるようにしてやるんだ。」

息子:「それは分かったけど、データを受けた方でどうやって誤り訂正するのかがよく分からない。」

私:「そこは時間がかかるので次回にしよう。」

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