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短編小説作品集1

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初期の短編小説集。物語の中の日常を伝えられますように。
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#番外編

『茜空に待っているのは君のこと。』(3)

『茜空に待っているのは君のこと。』(3)

帰り際、少女に名前を尋ねられた。

僕は、名字をなんて言ったら良いのか決めかねて、「章大(あきひろ)。」とだけ答えた。

ここは、自然公園と名前はついていても、森の中も同然だ。

「じゃあね、テラシマ アカリさん。気をつけて帰ってね。」
そう声をかけて、僕は家路を急いだ。

少し駆け足で進んでいると、後方から「ありがとう!」と少女の言葉が聞こえた。

くるりと振り返ると、
「僕こそありがとう。」の

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『茜空に待っているのは君のこと。』(2)

『茜空に待っているのは君のこと。』(2)

あの夏のあの日、あまりの暑さに、近所のコンビニエンスストアまでアイスを買いに行き、
帰りは自然公園を通り、近道をすることにした。

その道中、道端のベンチの上に立ち、背伸びをしながら腕を伸ばしている少女がいた。

風が吹いたら、見てはいけないものを見てしまう気がして、地面に目を逸らす。

さっさと通り過ぎてしまおうかと思ったが、
白いワンピースを着て、麦わら帽子を被っている後ろ姿を見て、
僕は妹を

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『茜空に待っているのは君のこと』(1) (『夏の終わりに思い出すのは君のこと』番外編)

『茜空に待っているのは君のこと』(1) (『夏の終わりに思い出すのは君のこと』番外編)

僕は花の勉強をしていて、別の花屋でバイトしていたけれど、
その日は母が急に熱を出したので、ピンチヒッターとして、母の店で店番することになった。

閉店間際の夜 8時、最後にやって来た客が朱莉だった。

中学1年の夏休み、一度だけ会った女の子。
彼女がその女の子だとは、すぐに気が付かなかった。

当時、背中の半ば位まであった髪は、肩くらいの長さになっていたし、
黒くて艷やかだった髪も、明るいブラウン

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