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(連載小説)パーク〜小さなお話5

見つけた瞬間
息が詰まるぐらいのドキドキと
過呼吸なぐらいのセカセカが襲う

トキメキとは全然違うベクトルでも
人ってこんなに心、はやるんだ!?

何だろう、これは、、アレに近いかも
ほら、黒ひげ危機一発とかのゲームで
剣をドキドキしながら刺す感じ。

わぁ、居た!
は~びっくりした(笑)

自ら望んで、出くわしたいと
ちゃんと抜かり無く
いつもの帰り道、いつもの時間
間違いなく向かったんだもの
居たっておかしくないでしょう。

確かにそこに居た
ひとりボール操る青年は
ついぞ見かけた姿かたちのまんま

やはり華麗に白いボールを
いくつも高く投げては受けてを繰り返す。

どうしたって
まるで絵のような光景なんだもの。
ため息が出てしまうな。

夕闇に素直に染まる茜空とは反対に
頑なにボールの白は、白のまま。

鑑賞、静観、応援、、
どれも何だか当てはまらないような
通りすがりの今の私は
どんな顔をしている?

きっと年甲斐もなくワクワクして
頬なんか紅潮してたりするならば
ちょっとかなり恥ずかしい。

しかもずっと同じ場所で不動の如く
佇んでるなんて
不審じゃない?大丈夫、私?

出くわしたいとそればかり考えて
立ち居振る舞いの、スマートに構える術
自然にそこに居合わせたような顔
用意するのをすっかり忘れた迂闊な私。

面識の無い同士(それと白いボール)
小さな公園の内と外。

たまたま見かけた素敵な樣に
も1度ありつけた小さな喜び覚えたら
仕事の疲れも彼方に飛んで

これが、ちまたに伝わる
推し活によってしか得られない
謎の充足感のようなモノなのかも?
まるで憶測(笑)
良く分からない定義を当てはめて 
ひとり納得したりした。

しかし、なんの変哲もない公園に
これ程までに
絵になるジャグリングとは一体!?
シンプルに不思議な現象
ああ、つまりは奇妙なマッチング。

どうせなら、このまましばらく
私のささやかな楽しみに
なりますように、と小さく留めて

いつもの公園を、そっと後にした。

帰宅の道すがら適当に買って済ます
味気の無い晩ごはん(お弁当)すらも
多分、丁寧に頂けそうな気がして
何だか色々不思議で笑ってしまった。

6へ続く。















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