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【Vtuber】大空スバルの「バーチャロン」配信が、エモと投げ銭を根こそぎかっさらう

中年ゲーム好き観戦者がつぎつぎと保護者になっていく

「ホロライブ」所属Vチューバーの大空スバルが、6万もする本格的専用コントローラを買って令和の「バーチャロン」配信で盛り上がった話。

バーチャルユーチューバーの好き嫌いは置いといて、セガ好きとかゲーセン行ってた人は、今このテンションでバーチャロンをやる人がいるのをまず見てほしい。

大空スバルという人がおりまして。

アニメ、ゲームに詳しい人が強い配信者界隈においてはレアな、勢いとガッツでVチューバーデビューをした配信者。

アニメ的文化に詳しくないところがむしろ新鮮なのと、話がハキハキしていてレスポンスがよいので、配信の一部は有志によって外国語に翻訳されて世界中にファンがいるほどの人気配信者。リアルに子供のころは重い病気だったとか、古いドラマのヒロインみたいな過去も明るく話す。

入院生活で小さいころ看護師が嫌いだった話もリアルで、ああこれは「設定」じゃない、重い過去を背負った上に素の性格いい感じがある、いろんな要素のうえに成り立ったキャラクターだ、面白いなあと思って見てます。

たまに、昔遊んだゲームを映画好きの視点でコメントすることがあって、自分が子供のころにはない視点に「む!」とうなる。

「カスタムロボ」というゲームの配信回。
プレイステーションをやってた人にはエアポケットみたいな存在で、全然知らなくて新鮮。

だけど、ニンテンドウ64で遊んだ現在30代?ぐらいの男性は
「これ好きだった!」
って鋭い反応がある、ちょっとおもしろい位置づけのタイトル。

それから「龍が如く」配信も始まる。日本の繁華街を再現して歩き回れるゲームで、SEGAが運営したゲームセンターにも入れる。

ゲーム内のゲーセンに入って、当時行列ができていた「バーチャファイター」とかがそのまんま遊べる。
当時何万円も出して遊ぶ人がいたゲームがオマケで収録されている。
その「オマケ」のラインナップのひとつにあったのが、90年代後半に盛り上がったロボット対戦ゲーム「電脳戦記バーチャロン」だ。

ちょうど「カスタムロボ」の経験で予習してきたような形で、本編はいったん置いてバーチャロンおもしれーおもしれー言い出して進行が止まったあと、6万もする本格的な「バーチャロン」プレイ専用の操縦桿「ツインスティック」購入をツイートし、手探り状態でツインスティック使用のバーチャロン配信が始まった。

実際に使われたやつはこれのもっと本格的なやつ

初代「バーチャロン」が盛り上がってた時期から20年以上。
熱狂的なファンだった人たちがワラワラ集まって見に来るなか、操縦かんをガチャガチャ動かす音が響く。

最初は「スタートボタンどこ?」から始まり、基本移動の習得をして、こんなんでいいのかな、フルボッコじゃねえかな?とオンラインに接続すると、

そこに待っていたのは20年以上ファンやってる人たちの
「総力をあげた接待プレイ」だった。
さすがに笑うんだけど、対戦相手が次から次へ手本っぽい動きをして、あえて棒立ちになって、最後に派手な技を見せて「取れ高」をつくって散っていく。

彼女の所属する「ホロライブ」って、世界配信者ランキングベスト10に入るようなメンバーがいる会社に成長してるから、うまく流行ったら長年動きのなかったバーチャロンシリーズに光が差すかもしれない。
視聴者のあいだに「悪い印象を与えないように立ち回るんだぞ」とテレパシーのように連帯感ができているのだ。

今のオンライン対戦でマナーの悪い人とすれ違うこともあったのか、配信のさいごのほうは
「バーチャロン界隈と、90年代のゲーセンはすごく優しい世界」
と勘違いしていた。
映画「三丁目の夕日」を見ると、昭和はみんな人情があってノスタルジックで暖かい世界だった…と勘違いしてしまうように、実在しないあたたかいゲーセンがスバルの脳内にできてしまった。

当時のゲーセンって、つねに100円玉の奪い合い。卑怯なことをすればリアルファイトのゴングがなる暗い青春の場と聞いているが、当時の少年たちも今や30代40代。
巨大なツインスティックに四苦八苦しながら
「うわー!この技なんだ?そうか!こう動けばいいんだ!」
叫びながら配信してるのが、あのころの自分そのもので泣いたってコメントまである。

国境も世代もこえて、遊ぶ姿を見守るなかの配信で、面白さとファンの交流のなかで、本当にまっすぐな
「バーチャロンおもしれー! ゲーセン行ってみてー!」
と叫ぶシーンがあった。
今やゲーセン自体がなくなっていくんじゃないかって時代で、つらそうな関係者やファンの思い出をたくさん聞いたあとにこんな純粋な「ゲーセン行きたい」を聞けて、嬉しいやら寂しいやら。

20年以上たっても面白いと言わせるバーチャロンの完成度、
気力体力のいる配信を世界中に見られながら上手くなっていく一流ゲームストリーマーとしての大空スバル、中年ゲーマーに思い出を語らせて、喜び、懐かしがらせついでに巨額の投げ銭をかせぐ、バーチャル剛腕キャバ嬢としての大空スバル。いろんな要素がみなぎる配信だった。

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読んでくれてありがとうございます。 これを書いている2020年6月13日の南光裕からお礼を言います。