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【ドラマ感想】今、別れの途中です

ソンヘギョが好きで新しいドラマを楽しみにしていた。
このタイトルを聞いたときには「なんつうタイトルなんだよ」と内心思っていた。
「なんつうタイトルだよ」はまあありがちだけれど…
ところが、どっこい、
観始めると、やはりそこは納得させられるわけで…

そこに描かれるのは、恋人との別れだけではなく、
友人との別れ、夫との別れ、熟年夫婦の別れ、娘との別れ、
これまでのキャリアとの別れ、昔の恋人との思い出との別れ…
いろんな「別れ」を含んでいて、
それは、奥深い。

ソンヘギョが演じるのは、国内ブランドのデザイナー。
数年前の失恋を機に、恋に本気にならないと決めている彼女は
仕事に対しても恋に対してもクール。
偶然出会った年下カメラマンと恋に落ちる…という展開に
「はいはい、ありがちな展開ね」と思いがちだけれど、
国内ブランドのデザイナーとしての意地だとかが描かれていて、
相変わらず韓国ドラマの「お仕事」の描き方が深い、と思う。

惹かれあっていく二人が例によって、
両方の親から反対され、別れを選ぶ、という過程はあるのだけれど、
昔は「親の反対なんてぶっちぎっちゃえよ」と思っていたのに、
年々「親の反対」というものの重さを感じるようになる。
韓国のそれと日本のそれは重みが違う、という理解もあるけれど、
年と共に「親」という存在の重みがそれぞれ違うのだということも
理解できてきたのかもしれない。
幸い私は親から反対もされず結婚できたけれど、
人生の選択の中で親から反対されることを突っ切って行動する、
ということが後々、確かにしんどいことだろうなあと
ヨンウンの母親の言葉を聴きながら思う。
それでも若さがあったなら、突っ切るのも一つかもしれないが、
ヨンウンはもう四十手前。
愛だ、情熱だ!という年齢でもない。
そして、彼女の友人の病気。
「別れ」というものを強く意識する。
物語には始めから終わりまで、強く「別れ」を意識している。
「別れ」とは、何なのか。
その「別れ」は本当に必要なものなのか。
別れたくない、と心の内で叫んでも別れざるを得ない状況があり、
じゃあ、「別れ」とはどうあるべきか、を考える。

永遠の愛とは一緒にいることではない
その愛によって変化し
その愛が教えてくれた通りに、
残りの人生を生きていくこと

第15話より

ある日は雨が降り
ある日は晴れるように
またある日に私という存在が消える
あなたの人生に
しばし悲しみが訪れて
寂しさが風のように吹き抜けるだけ
これまで通りに生きて
ある日風が吹いたら
少しだけ私を思い出して
そして また日々を生きて

第15話より

恋愛ドラマだけれど、ヨンウンの友人が重なることで、
こうした言葉から思い浮かべるのは当然、父のこと。
父からは何も言葉を残してもらえなかったけれど、
「そうなのかな」
「そういうものなのかな」と思い、
空に問いかけてみる。
そうかもね、と自分で返事をする。
そして、少し癒される。


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