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大道路 冬の日差しを もろ受けし 見えしクジラは 逆光の時

実際には環状になっていないのに、外環状線と呼ばれている道を冬空を見ながら歩く。町で一番の広い道は車がとにかく飛ばしている。

といっても古い道と違い歩道があって、途中に並木があるからよほど無謀な運転をしない限り歩くのは安全だ。
「しかし、歩いてみるいろんな店があるな」この道は普通は車で通るが、初めて長距離を歩いて正解だと思った。速度のある車なら見落としそうな店や会社が歩くと、ずっとその看板が見えるので嫌と言うほど目に焼き付く。

「あ!」このとき太陽の位置がちょうど正面にきたのか、視線が直射日光を直撃、すぐに目をそらす。少し目に変なものが映った状態で後ろを見た。これは太陽を背にした逆行だ。
「あれ?」その時にクジラが正面のビルの前に見えた。
「クジラの看板、何の店?」と思っていたら、ちょうど雲が太陽を覆って日影になる。
「これでまた歩ける」と、前にを向いて歩き始めた。数秒ほどで先ほどのクジラの看板が気になり、もう一度振り返る。ところが先ほどのは気のせいか?見えたはずのクジラの看板など見えなかった。

「逆光クジラ?」逆光による影のようなものか、それとも太陽の光を直接見たために目の前に映った怪しげなものかはもうわからない。もう何度見てもクジラが見えないからだ。「ま、いいか」首をかしげながら歩くことを再開。ふと短歌をつぶやきたくなった。

 大道路 冬の日差しを もろ受けし 見えしクジラは 逆光の時
(おおどうろ ふゆのひざしを もろうけし みえしくじらは ぎゃっこうのとき)

今回は、毎週ショートショートnoteの企画に参加して短編小説を書きました。(お題:逆光のみクジラ

ちなみに今日はこちらの記事「河内長野市内の大阪外環状線を歩いてみました」をモチーフにしています。

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