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薬樹山・延命寺 ~奥河内の山の中に潜む紅葉の名所~

 先日旧鬼住村についての紹介記事を書きました。そしてこの鬼住橋と鬼の盥(たらい)の先を歩くと、同じく旧鬼住村内にもみじの名所としても有名な延命寺があります。

 このときはまだ紅葉をしていない青々とした状態でしたが、せっかく近くまできたので立ち寄ってみました。

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 ここは河内長野市内にいくつかある長野公園の構成要素のひとつになっています。

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 入口だけ見ると京都にありそうな山寺の佇まいがします。延命寺は京都の仁和寺が総本山になっている真言宗御室派の寺院。寺の歴史としては弘法大師・空海が地蔵の石仏を刻み、それを本尊としたことからスタートしました。

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 その後江戸時代の1639(寛永16)年に、この場所(鬼住村)に生まれて高野山で出家した浄厳(じょうごん)という僧が、薬樹山延命寺(最初は伽羅山)に、寺号を改めて中興したそうです。この人は元禄のころに、当時の将軍徳川綱吉と柳沢吉保の援助で江戸湯島に霊雲寺を建立するほど活躍した人。 

 でもこのときは、個人的にある物に苦しめられていました。それは虫の存在で、雨上がりで獲物が来たとばかりに次々と襲ってきます。それを払いのけながらの撮影。

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薬樹山延命寺由来

弘法大師が諸国巡化の錫 この地に薬樹系草多く霊水の湧出するをみて仏法弘霊の霊地と考え、一寺を建立して地蔵の石仏を刻み本尊としたのが、当寺の起りであると伝えられる。寛永十六年高僧浄厳和尚この地に誕生し地蔵尊の衰退を嘆き伽羅山延命寺の寺号をつけて中興したのち、延宝五年再び御堂仁和寺の宮の令旨を受けて薬樹山延命寺と改称し本尊も四意輪観音に改め、西代藩主本多伊予守忠垣公より山林田畑の寄進を受けて名実ともに真言密教の同情とした。以来当山は真言宗御室仁和寺末に属して現在に至る。

浄厳和尚は、江戸仏教界の革新者で如法真言律を提唱して僧風の刷新を計り儀軌と悉雲の研究を復古して批判的仏教研究を行い、新安流の流祖となった。その学風は国学者契沖にに影響を与えている。その門徒帰依者は関西より関東に及び将軍綱吉を始め幕閣諸大名の帰依を得て江戸湯島に霊雲寺を創建し、幕府の祈願所となした。

第二世蓮体和尚は天性文才に恵まれて多くの仏教説話書を著述刊行し真言念仏を勧化して民衆教化に偉大な足跡を残し 又神戸藩主本多忠統公と親交があった。

第六世法瑞和尚も、本多忠永公の帰依を受け真俗二諦にわたり寺門を興隆し第七世莫常和尚は、当山秘蔵の聖教を集大成して浄厳和尚の学風を霊場した。

明治の廃仏毀釈時代に第十三世に晋住した照遍和尚は、●法運動に身を挺しその学徳兼備の声望天下に高く世人称して鬼住の活仏といった。
その資第十四世覚●和尚は伽藍の荘厳 寺域の美観に尽力し、殊に前山を開いて楓樹林となし西国観音の石仏を奉安して今日の「もみじの名所 延命寺」をきづいた。

第十五世雲威和尚は最も長く住職を務め浄巌和尚の顕彰と法流の広霊にその生涯を傾けた。

令和三年●月当山執事誠

 いつものように由来を引用しました。どうやら歴代の和尚(住職)は仏教の学問に相当励んでいたような感じですね。

 中興の祖・浄厳は、将軍綱吉らの支援を受けるほどの人と言うこともあり、仏教の梵学(梵語=サンスクリット語の学問)を、江戸時代に復興させたとかあります。そんなすごい人が生まれ故郷に仏教の拠点を持っていたというのは中々のもの。

 日本の仏教と言えば葬式に登場してとかそういうイメージが強いですから、浄厳以降の歴代和尚を含め、延命寺の宗教としての仏教に対して真摯に学ぶ姿勢は、すごく良い気がしました。

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 歴史を感じる山門から中に入ってみましょう。

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門の横に寺の中を詳細に書いています。わかりやすい。

薬樹山延命寺沿革
所属 真言宗大本山仁和寺別院
創立 弘仁年間弘法大師(空海)
中興 承應三年(1655年)浄厳大和尚
本堂 聖如意輪観音
護摩堂 毘沙門天
地蔵堂 地蔵尊
布教場 薬師如来
霊宝殿 釈迦如来 國寶(現:重要文化財)
史蹟 和田正速公菩提所
霊場 新西國三十三所観音
老楓 天然記念物
以上

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 こういう物があります。村上春樹とか突然出てきたのでちょっと驚きました。

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鐘堂が見えます。中は閉じられていました。

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 こちらは毘沙門堂で、護摩堂でもあります。

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 境内にはいろんな石仏が並んでいました。こちらは六地蔵だとか。

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 こちらにも石仏や石の小橋の先に弁財天があります。もっと奥もあるようですが、とにかく虫がすごかったので断念。

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 こちらが本堂です。聖如意輪観世音菩薩(せいにょいりんかんぜおんぼさつ)を安置。

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 ここは寺ヶ池公園同様に、新河内長野八景にも指定されています。紅葉山なので秋が深まったときにもう一度行こうかと思いました。

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薬樹山延命寺
住所:大阪府河内長野市神ガ丘492
電話番号:0721-62-2261
拝観料:無料
寺務所営業時間:9:00~17:00
アクセス:延命寺口または神ヶ丘口バス停から徒歩

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