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秋が好き ピアノ音色が 似合うとこ ベートーベンの 想いは指に

秋が好きと彼女はいつも言っている。まだ暑いが季節は確実に秋めいてきた。今日は彼女のリクエストで僕の得意ではない分野に付き合うことになったのだ。それはピアノのフェスティバルの鑑賞だ。「クラシック、あんまり聞かないんだが」ベートーベンの関係するピアノの演奏会が、彼女の住んでいる富田林のすばるホールというところで行われるという。もう彼女は僕の分のチケットも用意してくれるから断るわけにもいかない。

こうして当日すばるホールというところの入り口で彼女と待ち合わせた。「ここプラネタリウムもあるんだ。そっちがいいなあ」僕は星を見るのが好きだ。昔の人が星座というものを空に浮かんでいる星で考えたというのが本当に驚いている。だけどとにかく見上げていると目が吸い込まれるように次々と小さな星が見えるさまが好きなのだ。
「とりあえず、今日はピアノのクラシック、プラネタリウムはまた今度ね」と彼女に手を握ら羅れて、会場のホールの中に入った。

「中々良かったよ」僕の正直な感想だ。彼女と付き合うまでピアノの演奏なんて聞くことなんて想像もできなかった、だけど彼女は小さいときにピアノを習っていて、しばらく休んでいたけどまたやりたくなったと3か月くらい前に言いだしてからこういう世界に巻き込まれたのかもしれない。
「あんなに指を動かすなんて絶対に無理だけど」彼女はそう言いながらも少しでおあんな音色に近い演奏ができたらいいと僕に言うのだ。

僕はただ応援するしかないが、彼女がそんな夢を語るときの表情が嬉しそうだからそれでよかった。

こうして演奏からの帰り道、彼女と共に富田林から大阪市内に向かう電車に乗った。デートは始まったばかり、これからは僕のペースで彼女と楽しもうと思った時、ふと次のような短歌が頭の中に浮かんだ。 

秋が好き ピアノ音色が 似合うとこ ベートーベンの 想いは指に
(あきがすき ぴあのねいろが にあうとこ べーとーべんの おもいはゆびに)

今日は、こちら小牧幸助さんのシロクマ文芸部という企画に参加しました。

こちらの本日の記事、富田林のすばるホールでベートーベンピアノフェスティバルの模様を紹介したものをモチーフに創作しています。

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