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秋の空 腕から見えぬ 空時計 棚田ながめて 何を食べるか

「秋の風景に棚田とは素敵だ」河内長野に遊びに来た友達に見せたのは、市内ある惚代(そしろ)の棚田。これはつなぐ棚田遺産だ。この風景を友達に見せられた俺は少し得意げになった。
「意外に近いところにあるんだ。都会に住んでいたらこんな風景、テレビかネットでしか見ないからな」そう言って持参していた一眼のカメラで撮影を繰り返す友達。

俺は腕を見た。「あ。そっか」と思って慌ててスマホを見る。俺は普段、腕時計をしているが今日は忘れてしまった。時計を見るくらいならスマホを出す必要もなく腕をかざすだけでよいものを、久しぶりの友達と会ったから慌てたのか。

「もうすぐお昼か」スマホは午後11時30分を指していた。「この辺りで美味しいお店は」「う、うん」俺はあまりグルメではない。普段はコンビニやファストフード、牛丼屋の様な所で済ませているから、お店と言われてもピンとこないのだ。

「うーん」と言いながら癖で腕をかざす。「あれ、時計してないのに何してるの?」友達に見られてしまった。俺は恥ずかしさのあまり顔を上げて秋の空を見る。空を見ながら腕をかざすと、気まずい空気を変えようと短歌を詠む。

秋の空 腕から見えぬ 空時計 棚田ながめて 何を食べるか
(あきのそら うでからみえぬ からどけい たなだながめて なにをたべるか)

今回は趣向を変えて、毎週ショートショートnoteの企画に参加して短編小説を書きました。(お題:秋の空時計)

今日はこちらの記事「稲刈り直前の惚代の棚田が見えるスポット」をモチーフにしています。

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