ちょっと高級なビールにしようか_小栗旬さんのプレミアムモルツのCMの良さを分析してみた
気になったPRコミュニケーションやクリエイティブを、自分の感性や思考を磨くトレーニングのために、勝手に自由研究していきます。お手柔らかにご覧下さいm(__)m
【勝手に自由研究_NO1】
ザ・プレミアム・モルツ『ちょっと高級なビールにしようか・小栗』篇 30秒 小栗旬 サントリー CM
ふと、土曜日の夜に目を向けたCMで幸せになった。それからすぐにYOUTUBEでリピートして、気付けばプレモルを買いにいった。めちゃくちゃ幸せな気持ちになったこのCMを第一回の自由研究にしたいと思う。
まずはCM内セリフ全文
世界が変わって分かったことがある。
平凡な今日の中にこそ、世界一幸せな時間を作れるんだ。
「ちょっと高級なビールにしようか」
その一言から始まる、この時間が宝物。
「最高の時間」
サントリー ザ・プレミアムモルツ
1:小栗旬
キャスティングが最高・・・(すみません私が大好きなだけです。w) この小栗旬さんにやられてこんなnoteを書きたい衝動に駆られました。あのアップはずるい。
でも客観的に見ても特に30~40代の男女に支持が熱い俳優(だと思う。ランキングとかファクト調べたほうがいいのですがいったん進みます)
2:BGMも良い
BGMも最高。Another Day of Sun。「お?久しぶりの曲が。」と思って思わずTV画面を見た。映画ラ・ラ・ランドを見た人なら「はじまり」とか「新しいor特別な一日」を感じさせる曲。
ラ・ラ・ランドを知らなくても高揚感を感じられる曲かと。良い選曲。
2:メッセンジャーという役割
小栗旬さんと柴咲コウさんの組み合わせは信長協奏曲以来。大好き・・・映画泣いたなぁ・・・
そんなお二人は「メッセンジャー」という役割として起用されている。商品やブランドの「アンバサダー」とかはよく聞くけど、「メッセンジャー」という呼び方は私は初めて聞きました。
調べてみたら、メッセンジャーとして有名人を起用しているブランド・会社が他にもあった。(ウィルキンソン:アサヒ飲料、三井ダイレクト損保:MS&ADインシュアランス グループ、doda:パーソルキャリア)簡単に調べただけだけどあまり多くなさそう。
なので「メッセンジャー」という役割にもこだわりがあるのだと思う。ということに気付いてから見直してみたら、やっぱりしっかりこのCMで二人のセリフにはメッセージがあった。(以下に続く
3:世界が変わっても「平凡な今日」
「世界が変わって分かったことがある。」というセリフのあとに、「平凡な今日の中にこそ」というセリフが続き、街が映る。
世界が変わったと言いながら、世界の変化(人の少ない交差点とか)はあえて感じさせず。
あくまでも「平凡な今日」として俯瞰した「街」。車が走り、何気なく回っている社会を表現している。
世界は変わったのだけど、結局それが「平凡な今日」に少しずつなりつつある。という多くの人がなんとなく無意識に共感するような前提のもとで組み立てられている自然な映像とセリフ。
街に映るのは高層ビルなので、「仕事」とか「働く」感があり、住宅街とか公園とかじゃないので「働く人の平凡な今日」を表現したのかなと思う。
少しずつ、人々が変化した世界を日常だと感じはじめているからこそ、そんな変化した新しい日常の中での幸せを提案する、というのが今回のCMかなと感じた。
4:世界一幸せな時間を「作れる」
平凡な今日の中にこそ、世界一幸せな時間が「作れる」。私は今回、ここがこのCMのキーメッセ―シだと思った。幸せな時間が「ある」とか「見つけられる」とかではなく、「作れる」。
平凡な今日の中でも、ちょっと高級なビールを選択することで、最高の時間は自ら「作れる」というポジティブなメッセージだ。
5:服装はあえて曖昧に
「襟付きシャツ」を着てるけどスーツやジャケットではないというのがポイントかなと。
平日仕事帰りを明確に表現したかったらジャケット着るだろうし、休日を表現したかったらトレーナーとかで良さそうなので、平日でも一応休日でも解釈できそうな襟付きシャツにしたのかなと。
しかも柴咲コウさんも含めて二人とも服装のディティールはほぼ分からないくらい黒い。というか服装には意識を向けさせないようにあえてハッキリ映していないという感じ。顔とビールをとにかく際立たせたかったのだと思う。
そう思って見るとめちゃくちゃビールがくっきりと浮かび上がっている。
服装を曖昧にすることで、平日に見ても休日に見ても違和感なく「飲みたい」と共感できる感じにしているのがすごい。
6:絶妙な時間帯
自宅でビールをゴクリと飲む瞬間が、ちょうど日没前の夕焼けが綺麗なマジックアワーという設定。(マジックアワーに泡をかけてたりしない・・・か)
特に平日、「まだ明るいうちに飲み始められたら最高だよね」という働く人の気持ちをよくわかってるなと思う。「絶妙にあと少しで沈みそうな夕陽」にギリギリ間に合ってビールを飲む瞬間は確実に「最高の時間」だと思う。
多くの人が共感できるのではなかろうか。
7:ちょっと高級なビールにしよう「か」
このセリフこそ、このCMが「見る人を幸せにするCM」になった決め手だと思う。
この最後の「か」の一文字。
この一文字があることで、自宅でプレモルを飲む時間が、小栗旬さんと一緒に共有できる「最高の時間」になるのだ。ちなみに小栗旬さんは最後までCMの中で一人なのだけど、この一文字があるだけで、語りかけられている「相手」がぼんやりと存在していて、仮想的に「誰かと飲んでいる」ように見える。
さらにポイントなのがその「相手」が最後まで登場しない事!これにより、CMを見ている自分が「相手」になれるwww
だけど最初に何度か見たときは「一人なの?誰かと飲んでるの?どっちなんだろう?」とちょっと解釈に迷った。ただ、柴咲コウさんの場合はビールを飲む「相手」がちらっと映っているので、やっぱりコンセプトとしては小栗旬さんんも「誰か」と飲んでいる設定ではあるよう。
8:「最高の時間」という呟き
とはいえサクッと見ただけでは、やっぱり「1人で飲んでいる」ようにも見える。
でも小栗旬さんの場合は完全に最後まで1人で、かつ、あえて「相手」に語り掛けない思わず口に出てしまった「呟き」によって、一人で飲んでも最高だと思うこともできる印象を残している。
2人とも同じように一人で呟いている。
この呟きによって、小栗旬さんも、相手が映っている柴崎コウさんバージョンさえも、相手がいなくても噛み締められる「最高の時間」を表現していると思う。
さらに、最後の「最高の時間」という呟きでは、目線もビールに向けられていて、その瞬間目の前の相手は意識されない。プレモルと自分だけ。という演出が目線だけでも伝わるように出来ている。
誰かとの乾杯の時間でもあり、一人で噛み締める時間でもある。この「解釈の幅」を持たせているところがこのCMのすごいところだと思う。
9:誰に向けてのCMなのか
ということで、色々な要素を見てみたのだけど、これはどんな人をターゲットにして作ったCMなのかもう少し具体的に考えてみた。
6で述べた「日没前に家で飲む」って、夏なら頑張れば実現できそうだけど、まだ17:45頃に陽が沈む今の季節だとオフィスから帰宅してというのはちょっと厳しそう。(ただ、3末~4月になれば東京の日没が18:00超えるので時期的にこれからちょうどいいのかもしれない)CMってどれくらいの期間流れるのだろう?
でも「世界が変わった」と最初に言ってあるので、テレワークもかなり普及して家で働く人が増えたという前提で、在宅勤務している人達なら、頑張れば明日にでもこの「最高の時間」が実現出来るかも、と思わせられる(私もそう)
そして柴咲コウさんのバージョンを見ると、明らかに「私たちの毎日には、スイッチが必要だ」と言ってる。これはテレワークで家で仕事をするようになって、多くの人が仕事とプライベートの「オン・オフ」がつきにくくなっているという状況に対して「スイッチ」が必要というメッセージだと受け取れる。
なのでこのCM は、テレワークで在宅勤務している働く人達に対して、平日の最高の時間を提案してるというのがメインなのかなと。そう思うとドンピシャで刺さる。
ただ、その人達だけでなく、服装からも平日か休日かあまり明確にはせず「明るいうちから飲めるって最高」と共感できるような「働く人たち」に広めに訴求出来る感じにもなっている。
それから8で述べたように、メインは「相手」がいて誰かと飲むビールなのだけど、一人でも味わえる印象になっているので、誰かと暮らしている人も、そうでなく一人で飲む人も「いいな」と思えるようになっているのがやっぱりすごい。
(このへんはやっぱり最後まで何度も見て、ほんとの意図はどうなんだろう?と思ったのだけど、最後のカットで「乾杯」している缶ビールが出てくるしWEBサイトにも乾杯イメージがあるので、誰かと飲むというのがメインの設定のようだ、という結論。)
あとは、「家」が生活感なく素敵すぎてリアリティが無いのだけど、高級感のある贅沢さを演出してるかなとは思う。(とても分析不足です。。)
あと、ほんとは他社のCMとの比較とか、過去のプレモルCMとの比較とかもやった方がいいと思ったけど今回はここまで。偉そうに研究させてもらいましたが、ビールCMじゃ当たり前だよ~!なんてこともけっこうあるのかも、と思います。汗 またトライしてみます。
おわりに
多分2日間で30回以上このCMを見た。
直観的に「めちゃくちゃ幸せな気持ちになるなこのCM、、プレモル飲みたい、、、!」と衝動に駆られたのがきっかけで深掘りしてみたら、想像以上に色んな気づきがあって自分でもびっくりでした。
こういう「見る人を幸せにするクリエイティブ」を作れる人達はほんとにすごい。そしてブランドメッセージからどうやってここまで形にされていくのかがほんとに気になるところ。
遅くなってしまったので今日はここまでで。
しばらく冷蔵庫中はプレモルになりそう。
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