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【RPG旅】 クエストを受けたら ご利益6倍の開運旅になった話 【熱海編】

なぜだか旅先で、知らない人によく話しかけられる。行くべき場所を指示する人、アイテムを授ける人、土地の歴史を教える人、頼み事をする人。それはさながら、RPGで街や村を歩いている時のようだ。年々増えていく冒険の書の中から、特に思い出深いシナリオの旅をnoteに綴ろうと思う。

冒険の書  #001

2017年の9月。
お世話になっている方から、誕生日プレゼントに青春18きっぷをもらった。

「ふたりで行き先を決めるところから旅だよ」

愛情たっぷりの言葉と共に、同じ夏生まれの友人と私に渡されたのは、1枚の切符と数冊の旅行雑誌。

青春18きっぷは、1枚につき、1日乗り放題の枠が5つある。1人で5日間使っても、5人で1日で使い切ってもかまわないというシステムだ。

今回の旅でいうと、5人で日帰り、もしくは、2人で1泊2日して1枠捨てる、のどちらかとなる。

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しかし、多忙な友人との調整は難しく、合わせられたのは期限最終日の9/9のみ。直前の誘いというのもあって人数も集まらず、5人で行けるはずの旅は、冬生まれの友人を追加した3人だけで決行することになった。

日帰りのため、行き先も片道2時間程度のエリアに絞られた。


冒険のはじまり

何も決まらないまま迎えた前日の夜。

新鮮な魚が食べたい、自然とふれあいたい、温泉入りたい、神社に行きたい、と、各々の意見を集約すると、見えてきたのは熱海エリア

頂いた雑誌とネットで情報を集め、行きたい場所をプレゼン合戦。

「行ってみたいところがあるんです!」

冬生まれの友人が提案したのは、温泉付きの酵素風呂。

二つ返事で最初の目的地が決まったところで、すでに深夜まで及んでいたSNS会議は強制終了。翌朝も早いし、あとはなんとなく、富士宮の神社、おいしい魚料理の店なんかに行ければいいやと、品川駅8:30集合だけを約束し、眠りについた。

〈 翌日 旅の日 〉

駅の売店で簡単な朝食を買い、青春18きっぷのルールに従い、新幹線でも特急列車でもなく、普通の東海道線に乗り込み、のんびりと熱海へ向かう。
天気が良くて気持ちがいい。海も綺麗だ。

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1時間半ほど電車に揺られ、国府津駅、熱海駅と乗り換えて、向かうは伊豆多賀駅。目指すは、酵素風呂のある妙樂湯

到着した赤い電車は、内装もシートもなにもかもが金目鯛
座席が先頭に向かって劇場のように段々に配置され、前方の景色が楽しめる作りになっていた。最前列にかぶりつきで景色を眺めては、テンションが上がっていった。

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ところが、降り立った伊豆多賀駅はまさかの無人駅。駅からタクシーで行けばいいやと高を括っていただけに、何もない駅前に唖然と立ち尽すことになる。

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何分歩いただろうか。
Googleマップ片手に、やっとの思いで海沿いの大通りに辿り着き、なかなか通らないタクシーを必死に捕まえた。

歩いたら途方もなかったであろう道のりをスイスイと走り抜けるタクシー。
ありがたみを噛みしめていると、土地勘ある運転手のおじさんは、趣のある暖簾の前で車を止めた。

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この時すでに11:30。
やっと1つ目の目的地に着いた。

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クエスト発生

中に入ると、しつらえの良い広々とした畳の間が広がっていた。

休憩処のような座敷には、扇風機の傍らでゆったりくつろぐ女性が一人いるだけで、他には誰もいない。

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受付でタオルと酵素風呂用の肌着をもらう。

順番を待つ間、お土産を見たり、健康器具を漕いだりしていたが、なかなか声がかからないので、座敷に上ることにした。

窓の外には小川が流れていて、せせらぎが聞こえる。久々に触れる畳はひんやりと冷たく、藺草の香りがふわっと鼻をかすめる。やわらかにそそぐ扇風機の風が、心地良くてたまらない。横になったら天に召されてしまいそう…

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と思った頃にお呼びがかかる。

専用の肌着に着替え、いざ、酵素風呂へ。

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米ぬか、ヒノキ、おがくずを混ぜた大きなプールに、せっせと埋められる。
60℃に包まれて、とめどなく噴き出す汗。
キンキンに冷えた手拭いで額を丁寧に拭いてもらい、なんとか15分耐え、しっかり蒸されたあとは、隣の温泉にドボン

めちゃくちゃに気持ち良くデトックスした3人は、脱衣所で、やいのやいのと、決めていなかった次の行き先話に花が咲いていた。

「とりあえず富士宮に向かって、神社とやきそばかな〜。」

すると、

「皆さん、どちらからいらしたの?」

ひとりの女性が話しかけてきた。
あの時、休憩処でくつろいでいた女性だ。

「東京からです!」

そう答えると、次はどこへ行くのかと尋ねてくる。どうやら熱海在住で、この辺りには詳しいようだ。

富士宮の神社に行く予定だと話すと、いやいやそれは遠すぎる、近くに良い神社が二つあるから行ってみてはどうかと提案をしてきた。しかも、今から行けば二件ハシゴできるかもと言うものだから、それも楽しそうだねと、あっさり行き先を変えることにした。お言葉に甘えて、近隣のオススメ寿司屋まで教えてもらった。

思いもよらぬ出会いがうれしくて、なんだかまた会えるような気がして、忘れないように、一緒に写真を撮ってもらうことにした。

休憩処で記念の集合写真。

所作が美しく、上品で素敵な女性だった。


クエスト進行

気持ちも身体もホカホカになったところで、教えてもらった、寿司「初川」へ向かい、“う〜んとぜいたく”なランチ寿司をいただく。

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すんなり入れて良かったものの、あっという間に満席。並びも出ていた。
きっと人気店なのだろう。新鮮なお魚が丁寧に握られていて、おいしくて満たされた。

再び電車に揺られ、一つ目の神社、来宮神社へと向かう。

真っ赤に輝く大きな鳥居に迎えられ、樹齢二千年の大楠にご挨拶。

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どっしりとした大楠は、全てを見透かしたような佇まいで私たちを出迎えてくれた。願い事のある人は、思うことを誰にも云わず一廻りすると願い事がまとまると伝えられているらしい。各々黙って、ぐるりと一周させていただいた。

歴史ある神社でありながら、スイーツ満載のカフェが併設していたり、アロマの香るモダンな社務所だったりと、なかなか斬新だった。新しく作り込まれたであろう施設には、たくさんの参拝客が溢れていた。

誕生日プレゼントのお礼にと、御守りを買った。
「むし除け」「酒難除け」なんて、なかなか良い感じ。デザインもかわいい。

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日が暮れぬうちにと、次の神社へ急ぐ。


神の気配

熱海駅まで戻り、バスで10分ほど。
伊豆山神社に向かう階段前に到着した。
時間は既に15:30を回っている。

急がねば。

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息を切らして180段の階段を登ると、そこには、絶景が広がっていた。
遠くに初島も見える。

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清々しく見晴らしの良い境内は、時を忘れるほど、ゆったりとした時間が流れていた。来宮神社の賑わいとは打って変わって、静けさに心が和む。

社務所には、黒背景に赤と白の龍が絡み合っている御朱印帳が売られていた。御守りにも金糸で「強運」と大きく刺繍されている。

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これは強い。そして、かっこいい。欲しい。


華やかな本殿にお詣りをし、ホッと一息ついたところで、案内図の看板が立っていることに気づく。

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看板によると、山の上に、あと2つの神社と、本宮があることが示されていた。

せっかくだし、本宮にきちんとお詣りしたい。
幸いまだ陽もある。

よし、登るか。

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勢いで奥へ奥へと進んでみたものの、白い鳥居をくぐると突然の本格的な山。鬱蒼とした山道は、土を整えたくらいで舗装はされていない。足を滑らせたら簡単に滑落できそうな深い谷を横目に見ながら、想定外の山道を登っていく。

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少なくとも、旅行気分の服装で登るような場所ではない。

木の節につまづきそうになり、落ち葉が滑りまくって、なかなかに怖い。素足にスリッポンで来ていた友人は命の危険を感じたので、靴下を貸して凌いだ。

20分ほど登ると、細い丸太でできた簡素な鳥居と小さな祠が見えてきた。左側には大きく開けた広場のような場所がある。

残暑の折、あまりの勢いで登って来たせいで汗が止めどなく、こちらで一休みさせてもらうことにした。

よく見ると、沢山の木の根っこが入り組んで地盤を作っている。こんな山の斜面なのに、これだけ根が平らに張り巡らされているのが不思議だ。

人工的なものだろうか、はたまた自然の産物か。
周りの木々はそれを包み込むように、周囲から高々と枝葉を傾け、天をぐるりと覆っていた。

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神様がいるような気がする…

ジブリの世界観と言えばわかりやすいだろうか。
シシガミさまかもしれないし、こだまかもしれないし、トトロかもしれないけれど、ここなら会えそうな気がする。

誰も霊感が強いわけでもなく、スピリチュアルに傾倒しているわけでもない。ただ、なぜだか、神様のような何者かがいる気がしたのだ。

汗も落ち着いたところで小さな御社にお詣り。白山神社と書かれたその神社は山に溶け込んで荘厳な気配を漂わせていた。

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そこから更に登り続け、源頼朝と北条政子の恋の舞台となった、縁結びの「結 神明社」をお詣りしたところで、タイムリミット。

本宮にお詣りできなかったのは、また来てねの意味と捉え、落ち葉で滑りまくる暮れかけの薄暗い山道を、勢いと根性だけで駆け抜けて山を降りた。追いかけてくる蚊の量が物凄く、いろんな意味で恐怖すぎて、速さに拍車がかかった。

あと数分遅かったら真っ暗になっていたかと思うと、とてもあの山道を降りられない。ギリギリの時間だったが、お参りできたことが何よりも大切な思い出になった。


クエスト完了

再びバスで熱海駅へ戻り、仲見世名店街で蒸し立ての温泉まんじゅうをほうばる。

教えてもらった3箇所を無事廻り終え、クエスト完了。思いがけず充実した一日の余韻に浸りながら、帰路につく。

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あの女性のおかげで、素晴らしく良い旅になったねと、伊豆の国ビール伊豆柑橘ゼリーで乾杯。再び会えることを願いながら、遠くなっていく熱海駅を眺めていた。

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シナリオは続いていた

それから数日後。

フィガロジャポンなどで占い記事も担当されている青木良文さんのSNSが目に止まる。

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おや...これは......

記事内容を読み進めてみると、こんなことが書いてある。

・この9月は2017年に1度しかない「ご利益6倍の開運月」
来宮神社は風水師 李家幽竹さんご指定
9/7~10/7の間に吉方位へ旅すると、開運旅へ6回行った分の運気がチャージできる
・2017年は「水」の気を持つ年。きれいな水辺が最強パワースポット


意図せず、きれいな水辺の熱海をセレクトしたところから始まり、あの女性のオススメを含めると、私たちの旅は、なぜかことごとく狙って行ったかのような内容になっている。

→実際の記事はこちら

しかも、調べてみれば、伊豆山神社も言わずと知れたパワースポット。

おぅ... なんというミラクル…

まったくのノープランのはずが、あの女性のお陰で「御利益6倍デーに吉方位の最強パワースポットにある二大神社に招かれる」という、まさに神がかった旅になっていたことを知ったのである。

これぞ神の思し召しか…

あの人はそれを知っていて伝えてくれたんだろうか…
どうしてわざわざ話しかけてくれたんだろうか…

あの人のことが気になって仕方がなかった。


神の存在

すぐさまこの事実を旅メンバーに共有する。
どちらからも「驚いて鳥肌ものどころじゃない...」と震える返事が来た。
そして、思いがけない御利益旅と知り、テンションが上がる。

よくわからないけど なにかしらの願いが叶うかもしれない

あまりの顛末と、魅力溢れる熱海の素晴らしさが胸に刻まれてからというもの、友人知人問わず、熱海と二つの神社巡る旅を推しまくり。

不思議なシナリオの旅話は、すべらない話となって知れ渡っていった。


そんな、熱海の伝道師になりかけていたある日。

いつものように、仲の良い友人たちに、撮り貯めた旅の写真を見せながら、神社がこんな山道でさ、温泉にくつろいでいる女性がいてさ、と話していたところ...

ふと、あることに気づく...

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あれ...... 神......?

そう。

休憩処で撮ってもらった集合写真に「神」と書かれているではないか。それも、ちょうどあの女性の真後ろに掛け軸で...。

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あぁ... なんだ...
あの人が神で、私たちを導いていたのか...


もしこの記事が、どこかであの女性(神)に届くのならば、ぜひともお会いしてお礼が言いたい。あの日、あんなに素敵な旅にしてくれたことを、今でも心から感謝している。

神はまたきっと熱海のどこかで、誰かをパワースポットにいざなっているかもしれない。

この一年後、再び訪れた伊豆山神社で不思議なことが起こるけど、その話はまた今度。

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