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楽曲化されました! ✴︎✴︎✴︎ 夏のざわめきは遠くに 星の囁きが聞こえる 窓辺の写真は色褪せて 恋しくて 会いたくて 今でも忘れられなくて あの時の恋は終わってはいない 淋しさに触れた瞬間 あなたの言葉が回り続ける 伝えたい想い 胸に抱えていたこと 今 気づいたの 涙はもう流さない 明日の予定を埋める 最後の着信はあなたの番号 抱きしめた未来は 幻しだったと気づいても あの時の恋は終わってはいない 淋しさに触れた瞬間 吐息を重ねた夜が恋しい 伝えたい想い 胸に
1. 夕立が二人を近づける 雨宿りのキス 濡れないように 抱き寄せられて ギュッとあなたの シャツを握った 思い出のあなたは いつも笑っている 戻らないmemory 花が咲くように恋をした 精一杯私らしく 一粒の恋が終わっただけ もう一度咲かせようFlower 2. 映画を見ながらポップコーン 同じタイミング 触れた手止まり 視線感じた キスの場面で 重なる二人 恋はシネマ エンドロールに あなたの名前はない 花が咲くように恋をした 裸の心のまま 一粒の恋が終わった
まあるいまあるいお月様 今宵は満月 優しく明るい光が君の横顔を照らす 僕は、吸い込まれるように、君の細い手をとる 手をつないで歩こう いろんな話をしよう どこまでも続く散歩道 ふたりで過ごせる幸せを、まあるい月が優しく照らす ちょうど半分お月様 今宵は半月 あなたの声を聴きたくてドキドキしながら電話をするの こんなに長く一緒にいても、不思議ね、少し緊張する そんな私に気づかぬあたなは電話の向こうでおどけてる つられて笑う私をお月様も笑ってみてる カミソリみたいに細い月 今
私が小学五年生の時、父と母と私の三人家族でY県の山奥にある村に引越しした。 コンビニでお菓子を買うことも、休みの日に映画に行くこともできない、田んぼと山ばかりの村だったけれど、新しい小学校は小学二年生から六年生までの八人の生徒だけで、転入生の私を優しく受け入れてくれたから、私はすぐにそこでの暮らしもそんなに嫌ではなくなった。 特に、同い年のカズキくんとチハヤちゃんとは仲良しで、カズキくんのふたつ年下の妹・ミヤちゃんを加えた私たち四人は、学校が終わればいつも一緒に遊ん
「でも、狸(たぬき)川って大きいんでしょ? どうやって渡るの? どこかに橋でもあるの?」 チハヤやカズキがいくら楽観的とは言え、橋がなければ小学生だけで狸川を渡ることなど不可能に思えた。 「橋はあかんな。ずーーっと川下らなあかん。でも、大丈夫や。カズキがおるから」 「せや! 兄ちゃんの出番や!」 「お前らが威張んなや!」 私が「何のこと?」と不思議な顔をしていると、カズキがポンと肩をたたいた。 「アンちゃん、安心し。うちは『亀』の家やからな」 カズキはそう言うと、野
チハヤの口笛で鳥たちが光の道を作る。この光は、「彦星様人形」のいる「きのみや神社」に続いているらしい。 私はポケットにしまった人形を優しく触りながら、「きっと、あなたは『織姫様』なのよね。チハヤちゃんたちが言うんだもん、間違いない。もうすぐ、『彦星様』に会えるからね」と心の中で話しかけた。人形はうんともすんとも言わないけれど、喜んでいるような気がした。 暫く山の中を進むと、突然ぽっかりと空が開けた。もう夜になっているけれど、空は厚い雨雲に覆われたまま月さえ見えない。
「三途の川」と聞いて、私はどきりとした。 子どもの私は「三途の川」が何か詳しくは知からなかったけれど、亡くなった人たちが渡る川だということをどこかで聞いていた。三人と一緒にいると不思議なことが起きてわくわくしていたけれど、そんなところへ連れて行かれるのだとしたら話は別だ。急に背筋に冷たいものが流れていく。 カズキが足を止めたのは、祠(ほこら)のすぐ近くにある山から流れる湧き水でできたような細く小さな川だった。狸川がゴーという音だとしたら、こちらはチョロチョロだ。ただの
すると突然、小川の「あっち側」の山の中から、冷たい突風が私たちを強く吹き付けた。 「わあ!」「きゃあ!」「うわあ!」 あまりの強い風に、私たちは全員、声を上げて一斉に尻もちをついてしまう。 突風は私たちを倒した後、木の葉や土埃を巻き込んで、勢いよく空に昇って行った。 「何や、今のは! 皆、大丈夫か?」 カズキは一番にミヤの手を取ってから、私たちの安全を確認した。ミヤは、尻もちをついたまま、ぽかーんと口を大きく開けている。私とチハヤは、地面に倒れたものの怪我はなく、「
その時、ミヤが空に向かって大きく口を開けていることに、カズキが気が付いた。 「ミヤ、何やっとねんや。わけわからんもん、口に入れたらあかんで」 カズキが声を掛けると、ミヤは「らって、おいひいんよ。兄やんも食へてもえーよ」と、口を開けたままもごもご話した。 「──おいしい?」 不思議に思った私とカズキとチハヤは、降り続ける小さな「何か」をてのひらで受け止めようと、両手でコップの形を作る。 こつん、こつん、こつん。降り続ける小さな「何か」は、やがて五粒ほど私のてのひら
『そんなあなたの国防システム』を読んで 甘利真里 著者はTUさん。 タツミユウだという人もいれば、辰田由衣だという人も、内田十緒子だという人もいて、正体はいまいちわからないのだが、そのかたが言うには、わが国の防衛は、とある組織が担っているらしい。 簡単に言ってしまえば超能力少年・少女を飼い殺して、常時国防を担わせているらしいのだ。 こどもたちはみなしごの中から選ばれるが、そんなに都合よく、超能力を持つこどもがみなみなしごなわけはないので、親はひそかに処分されたりとかもし
はじまりじゃない朔空には闇だけが浮かんでいる。 裏には広々と田んぼが広がるだけの駅の周辺は何もなく、改札機と券売機、点滅する信号機、そして申し訳程度についた街灯だけが光源である。 田舎の朔の夜は音を吸収して、本当に静かで真っ暗だ。 ちなみにここがどのくらい田舎かというと、22時には閉まってしまうあまりコンビニエンスじゃない最寄りのコンビニまで自動車がないと辿り着けず、それでもコンビニができたと住民が浮かれるくらい。 日本には自宅の前に住民の名前がついたバス停ができる土地もある
日常の上弦「ちょっと太った?」 「美晴は本当に失礼がすぎる。僕は太ったんやないの、大きくなったんよ。月は日が経つに連れて満月に近づくの知らんの?空見てみ?」 月は知らぬ間に私の名前を呼び捨てにするようになっていたし、私は私で彼の形がこんなに大きくなるまで気が付かないほど、彼は私の生活に馴染んでいた。 「もうすぐ上弦やけんね。」 「上弦?」 「ざっくり言うと半月のことやね。この前までが三日月、今が上弦、次が満月、その次が下弦、もっかい三日月が終わったらまた新月。その頃には美
別れの予感の三日月「もうすぐ新月や。」 空を見上げて月が言った。 「だいぶ細くなったね。」 「スリムでさらにかっこよくなったやろ?」 「ノーコメント。」 「美晴はほんとに失礼やなあ。」 いつものように軽口を叩き合って笑っていたら、少し黙った月が急に真剣な声になってぽそりと言った。 「無事に月に選ばれて役目を終えたらな、好きなところに行けるらしいんよ。」 そしたら、美晴のところに帰って来てもいいやろうか。 彼は小さな声で私に聞いた。 「ちゃんと立派に月やってきたら、
憧れと現実の上弦と満月の狭間 まだ月の声が少年と大人の間だった頃のこと。 「なあなあ。人は月を見る行事があるんやろ?」 半月をちょっと通り過ぎた月が興味津々に聞いてきた。 「お月見のこと?」 「チュウシュウのメイゲツってやつ。」 「あ、今の意味わからず言ったでしょ。カタカナに聞こえた。」 「気のせいやない?」 「真ん中の中に秋で中秋。有名な月で、名月ね。」 「・・・僕らからしたらいつも名月やもん。そんなん知らん。」 楽しそうだった声がいじけた。 それでもすぐに気を取