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【夫婦旅】伊豆でなんにもしない旅


7月に夫と二人で伊豆旅行に行きました。
(2ヶ月も前だけど遡る)


わたしは数年間、伊豆の旅館で仲居をしていたので伊豆にはたくさんの思い出がある。
うれしかったり楽しかった思い出はもちろん、
つらかったり苦しかった思い出も。

そんな20代の思い出が色濃く残る伊豆へ結婚した夫と行くことは、なんだか感慨深いものがあって不思議な気持ちでした。


初めての旅行記、綴ります。



今回行き先を伊豆にしたのは
オーシャンビューのホテルに泊まりたいのと
乗ってみたい電車があったから。
それはサフィール踊り子号!

東京から伊豆の最南端、下田まで走る列車で、
車内にはカフェテリアや個室客室なんかがある
リッチな列車だ。

プレミアム車両
公式ホームページから
カフェテリア
公式ホームページから


ああ…なんて夢のある列車なの!
いつか乗ってみたい!

伊豆で仲居をしていた頃から
ずっとずーっと恋焦がれていた、サフィール踊り子号。


夫と行き先について話していて
「どこに行きたい?」と聞かれたとき
行き先よりも
「サフィールに乗りたい!」
その言葉が真っ先にでて
行き先は伊豆に決まった。

サフィール踊り子号
かっこいい…


今回プレミアム車両は満席で予約が取れなかったため、乗った車両は普通車両。
それでも充分すぎるくらい快適だった。

高い天井は電車特有の閉塞感を感じさせず、広々とした開放感がある。
ふかふかな椅子にゆったりと座り、
夫とじゃがりこを食べながら車窓の景色を眺めるのは至福のひとときだった。

東京の都会の景色
だんだんと緑が濃くなってくる


車内にはカフェテリアがあったり、個室車両があったりと号車ごとにタイプが異なるので見ていて楽しい。

個室車両


人が多かったので他の車両の写真は撮れなかったけど、どの車両もとっても素敵だった。


景色を眺めたり探検していたら、目的地の伊東に到着するアナウンスが流れる。

「ああ〜もう伊東に着いちゃうね。」
二人で残念がる。

目的地に着いてしまうのが惜しくなるくらい
優雅で快適な列車だった。



伊東に到着して、
ひとまず温泉街をぶらぶらと散歩。

わたしたちは散歩が好きでよく歩くけど
計画もあてもなく、ただぶらぶらと歩くので
ぶらぶらするという言葉がよく似合う。

伊東はレトロな雰囲気が楽しい町
(ちょっとカッコつけてる夫)
むかし旅館として運営していた東海館
いまは日帰り入浴や見学ができる。



ぶらぶらと川沿いを歩いていると鴨を見つけた。


わたしも夫も、のんびり泳ぐ鯉や鴨を眺めるのが好きなので
見かけるとついつい近寄ってしまう。

夫「のんびり泳いでるね」
妻「ほんとだ。気持ちよさそう」
夫「あの子はちょっとマイペースだね」
妻「ほんとだ。夫くんみたい」
夫「😊」

そんな会話をしながら夫と二人で鴨を眺める。
レースを繰り広げる鴨たちを眺めながら
どの鴨が一番かとお互いに予想し合ったりして
飽きずにずっと眺めていた。
平和だなあ…

鴨レース
競馬ならぬ競鴨、あったら行くだろうなあ。


ひと通り鴨レースを楽しんだあとに向かったのは
今回の旅の目的でもある宿泊先
【星野リゾート 界アンジン】

結婚祝いに友人が星野リゾートの宿泊券をプレゼントしてくれたのだ。(感謝でいっぱい!)

食事の時間が書かれたチケットと部屋の鍵



楽しみにしていたオーシャンビューの部屋に入りひと息つく。
外を見ると海辺で踊っている人がいて、こちらまで楽しい気持ちになった。
海も、歩いてる人も、みんなキラキラしていて
しばらく二人で眺めてた。


のんびり寛いでからは館内探検。
まずは1階のロビーでお茶を飲む。

ロビーにある紅茶は
いろんな国のフレーバーが楽しめる
海や船の本が多く並ぶ



そしてテラスのある最上階へ。
ここから見る海や空は大きくて、どこまでも広がっていて、いくら見てても飽きなかった。

写真を撮り忘れたけどアイスやジュースもあって、時間を忘れてしまうくらい心地よかった。

屋上デッキ



部屋に戻ると、少し暗くなっていた。

日が暮れた薄暗い海もロマンチックでいいね



部屋も館内も探検して、
そろそろ夕食…の前にちょっとした催し物が。

施設名の由来にもなっている
【三浦按針】の生涯をショートムービーで上映しているらしく、せっかくならと見てみることに。


三浦按針、ことウィリアムアダムスは
江戸時代に日本に漂着したイギリス人だ。
長い航海の末に日本に漂着し、徳川家康に気に入られ外交顧問として活躍する。
ウィリアムアダムス本人は母国へ帰りたいと願っていたそうだが、
家康がその願いを聞き入れることはなかった。
結局故郷のイギリスに帰ることはなく、日本でその生涯を終えたそうだ。

そんな人がいたんだ…

わたしは恥ずかしながらウィリアムアダムスという人も、その生涯もここで初めて知った。

遠い遠い異国の地から、日本まで流れ着いたウィリアムアダムス。
最後までイギリスへ帰りたいと願った彼は
この海を、どんな気持ちで見ていたんだろう…

故郷が恋しかっただろうな…
家族に会いたかっただろうな…


何百年も前に生きた彼に思いを馳せていると
果てしなく壮大な気持ちになった。




ショートムービーのあとは食事会場へ向かう。

しばらくウィリアムアダムスのことを考えていたが席につき、料理をだされたら
もう頭の中は食べることでいっぱいだ。

アフターヌーンティーを模した前菜

でてくるお料理がどれもこれも繊細で美しく、
とにかく美味しかった。

夕食を食べたばかりなのに、もう朝食が楽しみだね。なんて会話をした。
わたしたちは食いしんぼうだ。

お風呂に入り、幸せな気持ちで眠りについた。



翌朝。
朝食のために頑張って早起きをした。


朝食もそれはそれは美味しくて、
すべてが身体に良さそうな、やさしい味付けだった。

食後はお腹がいっぱいになって動けず、
部屋に戻ってから二度寝したりなどして、ひたすらにのんびり過ごしてからチェックアウト。


海沿いを歩いて、ウィリアムアダムス像の前で写真を撮った。


ホテルを出てからは喫茶店でメロンソーダを飲み、伊東駅からバスで大室山まで行った。



本当はリフトで山のてっぺんまで行く予定だったけど、リフト乗り場はすごい行列で
このまま並んでリフトに乗ってると、帰りの電車に間に合わない…
ということで
結局またすぐバスに乗って、伊東駅まで引き返した。


せっかく大室山まで行ったのに、何もせず5分ほど山を見ただけ。
何やってんだか…と思うし
夫も「何やってんだか…」とぼやいていたが
この計画性のなさがわたしたちらしい。

仕方がないので電車の時間まで
お土産選びを楽しむことに全振りした。



帰りはサフィールではなく
特急踊り子号で東京まで。

「踊り子号もいいけど、またサフィールに乗りたいなあ。」
そうつぶやくと夫が
「もっと長く乗りたいから、今度は終点の下田まで行ってみよう。」
と言ってくれて
うれしい約束に思わず笑顔になった。


伊東まで行ったものの
特別なことは何もしてないわたしたちの旅。
ちゃんと見たものといったら
海と鴨くらい。

でもこんな風に何にもしない旅も、またいいね。
のんびりやの夫につられて
わたしもだいぶのんびりしてきた気がする。




伊豆は苦い思い出もたくさんある場所で
歩いていると伊豆の旅館に住み込み、仲居をしていた頃の家も家族もお金もなく、各地を転々として未来に不安でいっぱいの
ひとりぼっちだった自分のことを思い出した。
(この頃のこともいずれnoteに書きたいな〜と思ってる)

だけど隣を見るとやさしく微笑む夫がいて
なんだかあの頃の自分に
「大丈夫だよ。」と言ってあげたくなった。

「大丈夫。あなたはこの先大好きな人と結婚するし、夢だったサフィールにも乗れるから!」

だから泣かないで。負けないで。
絶対大丈夫だから。


あの頃の自分に
そう言ってあげたくなる旅だった。




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