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内向型がChatGPTにキャリアを相談したら、占いよりエージェントより確かで夢があった

内省型内向派のキャリア相談は、ひと苦労

内向的で内省尽くしの気質は、ライブでのインタラクティブなやりとりにものすごくパワーをつかい、ひとりになるとあらゆることをぐるぐる考え続ける特徴があります。

たとえば

・突然話を振られてもうまく返せない(そんな自分に落ち込む)
・電話をかける前には必ず話す内容を用意して深呼吸する
・沈黙が訪れると焦って話題を探す
・「ああ言えばよかった」「ああ言わなければよかった」のひとり反省会
・嫌な思いをさせなかったかぐるぐる考え続ける
・視線やため息や顔色に敏感ですぐさま不機嫌を察知して怯える
・声や態度の大きい人に萎縮する
・考えに考えを重ねて石橋を割る
・想定問答とベストな切り返しに余念がない
・テキストコミュニケーションの方が落ち着いて対応できて楽

一事が万事こんな調子なので、何をするにも考えすぎるし、前日から気合いを入れないと人に会うのはひと苦労です。

特に自分と正反対のタイプ、明るくて行動的でのびのび振る舞える人には、憧れる一方で、会うとものすごくパワーをつかって疲れてしまいます。

だから、圧強めにぐいぐい来るタイプの人が多いエージェントに転職の相談をするのは、準備に準備を重ねて、当日も「抜かりなく話せますように」と緊張する一大イベント。

「この説明で、果たして真意を理解してもらえるだろうか」
「きちんとしないと、きちんと対応してもらえないだろう」
「興味のない求人をストレートに断ったら、もう紹介してもらえないかもしれない」
「この職歴ではこれ以上は望めませんよ、と内心思われるんじゃないか」
「(このエージェントの人は私とは)同じ職歴ではないし、興味ややりがいはそこまでわかってもらえないだろう」
「オファーをもらえそうな求人をプッシュされそう」

という恐怖や不安やあきらめにもさいなまれてしまいます。うまく話さなければというプレッシャーもあり、加えて相手もビジネスでやっている(=転職してもらうことが彼らのゴール=可能性の高い企業に押し込む傾向あり)ため、気軽に相談できるとは言い難いのが実状です。

キャリアに最適解はないが、相談はしたい、でも現実は

私の職歴はある程度一貫性があるといえばあるものの、幸か不幸か今のジョブタイトルからのキャリアパスは複数候補がある状態。

ゆえに、エージェントからは関連するさまざまな職種を紹介されます。どの職種がどんな風にキャリアやスキルと親和性がありどんな点で強みを活かせるのか、そのどれかを選んだ後のキャリアパスはどうなっていくのかはなかなかイメージできません。

同僚とはこの先のキャリアの話はしづらい(会社を辞めたいのかと思われる)し、

同職種とはふつうに生活していても出会えないし、

ロールモデルは(いたとて)同職種とは限らない。

エージェントはキャリアのこれまでとこれからを考えて提案はしてくれるけど、基本はその転職での1回限りのワンタイムの付き合い。

ビジネスパーソン人生で転職はしても数回、しかも発生するのは数年に一度という特性を考えると、エージェントは関わった人の長期に渡るキャリアジャーニーを追えることはほとんどありません。そのため、長期的視点での目は持ち合わせていなかったりします(過去の経験より)。

そんなこんなで、キャリアは人生を左右する大きなテーマであるにもかかわらず、

極めて属人的で、個人的で、再現性や汎用性がなく、考え方やハウツーを記した本は“ある程度”参考になれど、必ずしも自分の状況にあてはまるとは限りません。

そのうえ、陽キャの権化のような転職エージェントと話すともなると、私にとっては正直億劫以外の何物でもないのです。


気まぐれにChatGPTにキャリアの話をもちかけてみた

「気楽に、とりとめなく、気を遣わず、とりとめなく、見下さずばかにせず、共感を求めず、淡々と、的確に、感情抜きで話せる仕組みがあったらな~」というニーズを満たし、そのうえキャリア戦略を立てるうえでの潜在的な課題を一気に解決するツールが、

ChatGPTでした。

ChatGPTは、対話型のAI(人工知能)ツール。インターネット上にある膨大な文章から学習しているため、知識量は桁違い。MBAやアメリカの医師国家試験に合格するレベルだそうです。

つまりChatGPTには数十年と言わず数百年の研究結果や叡智が備わっており、会話によってそれらを一瞬にして駆使できるということ。

キャリアに関しては、同年代の転職エージェントより幅広く豊富な知識を有していることは明らかです。

ChatGPTにキャリアの話をしてみたきっかけは、

「『FP&Aのコンピテンシーモデルを5つのスキルグループ、4段階のレベル分けで作って』と言ったら、秒速で作りおった…」というTwitterでのつぶやき。

これを見て、自分の職種で作ってもらおうと思い立ちました。

コンピテンシーモデルとは、成果を挙げるハイパフォーマーの行動特性をもとに作成する理想の社員像のこと。

この依頼だと、5つのスキルグループを、4段階のレベル(例:アシスタント、アソシエイト、マネージャー、シニアマネージャー)ごとに必要なスキルセットを教えてくれます。

たとえば「顧客への提案資料の作成」なら、アシスタントに求められるスキルは「指示通りにデータを集める」、アソシエイトは加えて「情報を整理して下書きを作成する」のように、1つのスキルに対してレベル別に提示されるので、「今の職位だとクリアしているな」「次のポジションにはここを強化すべきなのか」と一目でわかります。

これを10秒足らずで作ってくれるだけで驚きなのに、私の職種で出てきた結果がまさに自分の今のJob Descriptionそのもの。

今手元にあるJDに書かれている内容が、ほぼ網羅されていたのです。

「え?私のJD見た?」と二度見する出来栄え。

ここで興奮し、「もしかしてこの先のキャリアも提案してくれるのでは?」と思い立って、「この職種の次のキャリアとしてはどんな職種やポジションが考えられる?」と聞いてみました。(※以下、ChatGPTとのやりとりも日本語で記載しますが、実際は英語を使いました。英語の方が圧倒的に情報量が多いと聞いたため。)

そして、関連性の高い類似職種Bについても、同様にコンピテンシーモデルおよびキャリアパスを提示してもらいました。

次に、職種AとBについて、必要とされるスキルおよび成果について、違いを説明してもらいます。

すると、責任範囲や求められるスキル、どんな指標で成果を測られるかなどを明確に示してくれました。

さらに、現職で「この先はこういう道もあるんじゃない?」と先日上司に提案された職種Cについても、コンピテンシーモデル、このタイトルに就くためにはどういうスキルセットが必要か、職種Cに就くためのキャリアパス、今の職種Aから職種Cになるために考えられるキャリアパスを尋ねました。

加えて、職種Aの最終形のひとつでもある職種D(職種Aのコンピテンシーモデル内で示されたトップのタイトル)と職種Cとの違いを尋ねると、具体的なフォーカスエリアの違いを教えてくれました。

最後に、「今は職種Aとして働いていて、XXの分野でX年の経験がある。XXXやXXXなどを手がけてきて、経験とスキルがある。これらの経験・スキル・バックグラウンドを活用した今後のキャリアパスはどんな可能性があるか」と質問。

すると、これまで出てきた職種A-Dに該当しない、さらなるポジションを示してくれました。

ChatGPTが見せてくれたのは、未来と安堵

この一連のやりとり、今まで話をした20人以上の転職エージェントからは一度として出てこなかった提案でした。

リアルの上司からも、これほど具体的な選択肢がテーブルに挙がったことはありません。

とはいっても、「エージェントも上司もキャリア相談の相手ではないのか」とがっかりしたというよりは、むしろ「感情という本質ではないものが、キャリア相談の阻害要因になっているのではないか」「感情を抜きにして、本音で自分のペースでじっくり考えられる機会をもつのは、人間同士では難しいのでは」「キャリアにもデータベースが必要」と感じました。

感情が相談の本質ではないとわかっていても、うまく取り扱いができないシーンにこれまで何度も直面してきました。医師やプロのコーチングを前にして、彼らがプロフェッショナルであることは頭ではわかっていても、「こんな事聞いていいのかな」というためらいや、「こんな事相談されても困るだろうな、答えようがないだろうな」という申し訳なさ、「心の内をさらすのは恥ずかしいな」という気まずさや葛藤に、いつもさいなまれてしまいます。

ChatGPTへのキャリア相談では、そんな本質と離れた“戦い”は完全に不要でした。

それだけでも相談ハードルが0になるのに、そのうえこれだけ現実的かつ期待以上の提案が返ってくるとなれば、感動するのもごくごく当然。

1つのツールで複数の課題(相談する心理的ハードル/キャリアのロジカルな提案)を解決するのは、画期的という言葉を超えてもはやイノベーションの域です。

ChatGPTはもちろんキャリアのみにとどまらず、さまざまな問題や悩みへの叡智を示してくれるとのことで、末恐ろしい以外の言葉が見つかりません。

(実際にキャリア以外でも複数の質問を行いましたが、どれも予想と期待を遥かに超えるクオリティでした。ビジネスの淘汰が始まってしまうと身震いするほどに。)


キャリアパスと必要なスキルを聞く手順

今回のキャリア相談の手順をまとめると、以下の流れが最適かと思います。

具体的な職種やタイトルをイメージしている人は、1~5の流れ、漠然とこれまでのキャリアをもとに掘り下げたい人は、6を最初にやってから、1以降へ進むと良さそう。

それぞれ、ChatGPTに聞く内容、→以降はその質問によってできる事になっています。

1. 職種A/Bのコンピテンシーモデル(4段階/5つのスキルセット)

→今のレベル感と今後ステップアップするために注力するポイントを洗い出す

2. A/Bそれぞれのネクストキャリア3つ

→今後の選択肢を知る

3. 興味のある各職種で必要とされるスキルセットと成果

→特徴や違いを知る

4. 目指したい職種のコンピテンシーモデルおよび就くためのキャリアパス

→必要なスキルセットとレベル感を知り、自分の経験やスキルと照らし合わせる

5. 今の職種から目指したい職種へ移行するには何が必要か

→今不足しているものは何か、今後身につけられる可能性があるか(あるならどうやって)、現実的か、そもそも本当に目指したいのかなどを踏まえ、キャリア戦略を立てる

6. 職歴やスキルを3-4文でまとめ、どんな職種でこの経験を活かせるか

→幅広いキャリアの可能性を知り、選択肢への自分の反応によって興味や本心がわかる

 ★注意点

ChatGPTは、必ずしもその回答の真偽を担保していません。蓄積されたデータの量や文脈から回答を提示するため、正しいかどうかは判断できません。特に道義的な判断は難しいのでは、と推察します。

ChatGPTはあくまで選択肢を広げる1つのツールとして、そのほかの本やリアルの人間と同様に「鵜呑みにしない」心づもりで付き合うのが無難です。

また、提示された結果が、現実で実現できるかは別問題。

ChatGPTの回答でも繰り返し、「組織や業界、事業のゴールや目的により異なります」のような注意が添えられます。

いかに現実に落とし込んでいくかは、提示された回答をもとに自分で戦略をつくるほかありません。

ただ個人的には、共通するスキルセットや求められる経験、キャリアパスを明らかにしてもらえたことで、レジュメのストーリーづくりのイメージがぐっと湧きました。

使い方のコツ

・具体的に聞く
漠然とした質問には、漠然とした答えが返ってきます。「何を知りたいのか」をピンポイントで聞くと、ピンポイントで返ってくるため、そこから広げていくとよい。

・仮説を立てて聞く
何がわからないかがわからない状態だと質問も出てこないものですが、やみくもに質問をしてもおそらくとりとめのない会話になるだけで「こんなものか……」となってしまいます(経験済み)。
「これを聞いて、こういう回答を得たい」「〜のためにヒントがほしい」と目的を定め、回答を予測し、回答に対して「ということは次にこう聞くと〜につながる?」など自分なりの仮説を展開していく方が、予測と回答の差異への自分の反応から何を期待していたのかがわかって面白いです。

・ググってもピンポイントで答えにたどり着けない事を聞く
ググってわかることを聞いてももちろん答えてくれますが、ググってもまとまった回答が出てこず、調べるのに手間や時間がかかることを聞くと、その速さと粒度と網羅性をより活用できます。


遠慮無用で24時間話せる相棒が、ここにいた

私もまだいくつかのトピックを試しただけですが、どのトピックでもアイデアを広げ、ひとりで悶々と考え続けた事やググって出てきたレベルを一瞬で超え、もはやパーソナルアシスタント。

しかも、お世辞も変な気遣いも遠慮も忖度も感情も示してこない。(から、こちらが気が楽!!!)

「迷惑かも」「時間つかってもらうならその分相手にもメリットがないと」「立場的に答えづらいよなあ」「深掘りしても気悪くするよな」とか、そういう諸々の感情を一切抱く必要がなく、対応策も検討しなくていい。

予想される相手からの情報、視線や態度や言葉に怯えることなく、「くだらないと思ってるかも」「見込みないと思われてそう」「時間の無駄と思ったかな」などの相手の感情の推察やその対応に頭を割く必要もない。

こういう関係性、ことキャリア相談の場においては、生の人間相手だと基本的に不可能なので、感情を排してシンプルに目的へのアプローチに集中できるというだけで、対話型AIを使う価値がありました。 


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