見出し画像

アウシュヴィッツ・レポート

観てきた(2021/8/1)



画像2




わたしの夏の始まり


去年の夏もアウシュヴィッツやホロコーストについてばかり読んだり観たりしてたな


画像1

左が今回観たアウシュヴィッツ・レポート、右が前回観た復讐者たち





画像8


サービスデーでお得







1942年にアウシュヴィッツに強制収容された二人の若いスロバキア系ユダヤ人は、1944年4月10日に実際に収容所を脱走し、アウシュヴィッツの内情を描いた32ページにも渡るレポートを完成させた。収容所のレイアウトやガス室の詳細などが書かれたレポートは、非常に説得力のある内容で、このレポートは「ヴルバ=ヴェツラー・レポート(通称アウシュヴィッツ・レポート)」として連合軍に報告され、12万人以上のハンガリー系ユダヤ人がアウシュヴィッツに強制移送されるのを免れた。本作の監督は、スロバキア人のペテル・ベブヤクが務め、本年度アカデミー賞®国際長編映画賞のスロバキア代表に選出された。脱走する二人のスロバキア人は、『オフィーリア 奪われた王国』のノエル・ツツォル、新人のペテル・オンドレイチカが熱演。二人を救済する赤十字職員ウォレンには『ハムナプトラ』シリーズのジョン・ハナーが好演している。




感想。ネタバレ









“Hitler was a great man".



これ映画の最後の最後に流れる言葉なの。実際の言葉




どう思う?









“Those who do not remember the past are condemned to repeat it” .



ジョージ・サンタナの有名な引用から始まる






過去を忘れちゃいけないって言うけど、忘れる人の方が、忘れられるものの方が多い気がする


ふとした瞬間に思い出すことだけでも「忘れていない」と言えるのかな






画像3



冒頭で男性が首から『イェーイ、帰ってきた!』って書かれた板を下げて吊るされてる姿


怖くならずちゃんと観ていられるように事前にメイキング観たけどそれでも怖くて





ナチスの惨い行動が描かれているんだけど、SSがブロック長を25回殴った時の映像、そのまま繋がってあの森の中の描写へ

頭蓋を割る



画像4




そこでSSが、息子が死んだ、ハンサムだった、許せない って

息子の写真を首だけ土から出してる囚人に よく見ろ って見せて




善悪がぐちゃぐちゃな世界





これもちゃんと観ていられるようにメイキングみて、どうやって俳優さんたちが埋まったのか、あと真ん中の割れてる頭蓋は偽物って知っててもやっぱり目を背けたくなった





実際の収容所でも、逃げ出したら連帯責任で立たされたり銃殺されたりしていて、有名な話が身代わりになった神父



9号棟の囚人たちの耐え忍ぶ姿寒くて怖くて辛くて震えてて、映画ってわかっていても目をそらしたくなる



画像6



戻っていいって言われた時に囚人たちが宿舎へ走って行って、地面に残された数人がリアル

倒れてる人、膝から力尽きて落ちた人








パンを与えて「善人」って呼ばれた(嫌味だろうけど)囚人を見て、収容所では囚人にも上下関係ができるよう考えられていたって読んだことを思い出した。そうしたらみんな敵になる






何回もnoteに書いてる気がするけど、惨い描写とかも文章なら大丈夫で、映像や音はダメなの。だから映画の中での緊急事態を知らせるサイレンと銃声でビビり散らかした

縮こまってた






収容所に着いて列車から降りると、聴こえてくるのは陽気な音楽

オーケストラの一員だった方の本も読んだことあるけど、騙している気分になったり、でも少しの希望を与えたいと思ったりでやっぱり葛藤がすごいよね

「逃げろ!」って叫んだところで自分が撃たれて終わりって思っちゃうし






立って伏せてを繰り返させる嫌がらせも、娘のことを思い出させて目の前で処刑させるのも(ポーランドじゃなくてスロバキアの子だったから娘じゃないかもだけど)SSは本当に絶望の底に落とすのを楽しんでいる感じがした

希望をなくして生きていけるのかな


画像5


でも森の中で「息子が死んだ」って嘆いているSSも家族がいて、父だったわけでしょ。収容所では「仕事」としてこんな酷いことをして、家ではいい父親とか夫っていうのがもう怖い

アイヒマンだって命令に従っただけ、って







映画の話に戻って


二人が最後の有刺鉄線を超えた時の感極まった感じでわたしもつられてウルウルした、自由を身体で感じている表情




でも国境を目指して逃げて逃げて、ついに到着してアウシュヴィッツビルケナウについて話そうとしたとき


レポートを渡した時の信じて貰えない感じ、関わりたくない感じ


画像7




目で見ないとわからないというか



SSだって囚人たちを「シャワー」送りにさせても、何が起こっているか知っていても直接自分たちの目で見たわけじゃないから




アイヒマンの「百人の死は天災だが、一万人の死は統計にすぎない。」の言葉とか











アルフレート目線で画面が横になったときのぶれる感じと息遣いがリアルだった、やっぱり音楽があって変に怖がらせよう脅かそうとするよりはこういう方がリアルに伝わる








最初の方に人助けしてた「善人」の彼、ベルリンに移動して走ってて

左 って言われて

(右は死、左は労働で死までの猶予があるだけ)






映画の最後は、選別の声と彼の息遣いだけになるんだけどそれがもう言葉にならない




そして


エンドロールは音楽じゃなくて多分実際にあった、ドイツやアメリカ、オランダとか色んな国の政治の人の言葉なの。移民やホモセクシュアルについて反対意見を述べて国民からの拍手を受けて


自然と生まれる差別と偏見


多数派の勝ち

少数派が追いやられ








強すぎたな

わたしには




観終わったあと吐き気すらしてた









やっぱりナチスやホロコースト関連の映画はドイツ語でやって欲しい。臨場感が違う

ナイン、ナインだけ聞き取れてそれだけでも伝わった

ドイツ語勉強したいな








観る価値はあるし観てほしいし観た人と語り合いたいけど、個人的にもう二回目はない

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?