栁澤靖明

著書 学校財務がよくわかる本、学校事務職員の基礎知識、学校徴収金は絶対に減らせます。、…

栁澤靖明

著書 学校財務がよくわかる本、学校事務職員の基礎知識、学校徴収金は絶対に減らせます。、隠れ教育費、本当の学校事務の話をしよう他 ■http://amazon.co.jp/-/e/B07XLT8VD6 --- □http://researchmap.jp/yanagisawa.y/

最近の記事

ちょっと長めの図書紹介㉑

本書のキャッチコピーは、 「いじめの『わからない』を突き止める!」 一見すると 「わからない」(?)  なにが、わからない……? ──ようにも思えてくるコピーである。 教育現場の内で働いているひとなら その意味もなんとなく理解できると思うが、 保護者や地域住民など 外から教育現場を みているようなひとたちには このコピーがどのように映るだろうか。 一般的にいう「いじめ」という言葉 それが示す意味なら だれにでも説明できるだろう。 そのため、 「わからない」とされること自体が

    • ちょっと長めの図書紹介⑳

      「膨大なフィードバックをもとに、  〈教育格差〉と現代教育の諸側面との  関わりを解説した、  現場のための教育社会学テキスト」 ──出版社ウェブサイトより引用 さて、 本書について何を語ればよいか…… 悩むこともない それは至極当然に「はじめに」であろう。 「格差に焦点を置く教科書」(p.ⅱ) その価値はもちろん第1章以下にある。 しかし、 全15章で構成された本文はもちろん、 コラムとして置かれた3本の視点、 その質を支えたのは、 本書を作成していく工程にあった。 想

      • ちょっと長めの図書紹介⑲

        Dog-ear(ドッグ-イア)30ヵ所── 約300ページの本で30回も端を折り曲げた。 読書のしかたはいろいろある。 〈ただ読む〉を含めて、 ノートにメモをとるひと、 本に書き込みを入れたり、線を引いたりする。 付箋を貼るひともいるだろう。 わたしもいろいろな方法を試し、 落ち着いたのが〈ドッグ-イア〉である。 付箋だと キレイに貼りたくなったり、 作業が多かったりする(トル-ハガス-ハル)。 さらに本の「天」や 「小口」に付箋が飛び出てしまう。 その点〈ドッグ-イア〉

        • ちょっと長めの図書紹介⑱

          「ゆっくりでいいんだよ」──。 お言葉に甘えていたら 発売日から1年以上も経過してしまった。 書斎の積読スペースに手を伸ばすと 「ゆっくりでいいんだよ」 「あせらなくていいんだよ」──と 言われているようで、 甘えっぱなしの日々、いや月々であった。 ……そんな反省の意味も込めて レビューしてみる。 本書のテーマは、 不登校と子どもの権利で貫徹されている。 理論本ではなく実践本であることから 体験記が多く読みやすい。 しかし、そのスケールは大きい。 序章から 「国連(スイス・

        ちょっと長めの図書紹介㉑

          ちょっと長めの図書紹介⑰

          2023年7月19日(水)── 第169回(同年上半期)の芥川賞が 市川沙央『ハンチバック』に授与された。 その記者会見で市川氏は、 「読みたい本を読めないのは、  かなり権利侵害だと思います。  障害者対応をもっと真剣に早く  進めていただきたいと思います」と、 読書バリアフリーへの環境整備を訴えた。 ■https://hochi.news/articles/20230720-OHT1T51166.html?page=1 市川氏については以下が詳しい。 「『なにか職業が

          ちょっと長めの図書紹介⑰

          ちょっと長めの図書紹介⑯

          めがね旦那さまとの出会いはTwitter── あ、いまでは「X」か。 もちろん一方的な出会いである。 当時の固定ツイート、 「X」では固定……なんていうんだろう? そんなことはどうでもいい。 「学校の本質は工場」(2019年03月26日) この文章を読んで動揺した──だが、 言い得て妙、とも思った記憶がある。 以下、当時のツイートを引用しよう。 (「X」ではツイート=ポストと呼ぶらしい) ────   炎上覚悟で言います   【学校の本質は工場】です   均質の子どもを6

          ちょっと長めの図書紹介⑯

          ちょっと長めの図書紹介⑮

          増田真由美さま 第20回学事出版「教育文化賞優秀賞」受賞 おめでとうございます。 受賞論文 「子どもの学びを広げる事業  マネジメントモデルの構築」(pp.10-26) その全文が本書には収録され、 それに加えて増田さまの貴重な実践 「財務マネジメントと  地域協働による学校図書館  リニューアルの実践」(pp.26-41) も掲載されている(第1章)。 増田さまは、 公立小学校の事務職員であり 学校運営主査という職にも充てられている。 事務主事や事務主査という補職名、

          ちょっと長めの図書紹介⑮

          ちょっと長めの図書紹介⑭

          本書の著者は、 「学校づくりのヒント」(スマートスクール) ──子どもたちとの “あったかい”関係のつくり方──を連載中 わたしも ──ヤナギサワ事務主査と考える 学校とお金の話──を連載中の【スマ友】 ■https://www.smartschool.jp/contents/school-build-hint/index.php?sear さらに著書も 『隠れ学級崩壊』と拙著『隠れ教育費』という 【隠れ友】でもある(一方的だがw) ■http://www.tarojiro

          ちょっと長めの図書紹介⑭

          ちょっと長めの図書紹介⑬

          #臨時的任用 #非常勤 #会計年度任用 #再任用 #任期付採用 #期限付任用 ──どれも いま存在する教員の任用形態である。 「教員不足」その「クライシス」とは、 たんに教員が足りないという 〈危機〉だけではなく、 正規採用以外の教員が増えてきているという 〈危機〉も含まれている。 この現象には、 正規教員の代替(休業等)としての非正規と 政策(定数崩し等)による非正規化がある。 さらに、 非正規ですら配置できない未配置状態という 〈危機〉も起きている。 その問題を明らかに

          ちょっと長めの図書紹介⑬

          ちょっと長めの図書紹介⑫

          「ウェルビーイング追求時代における  教師の仕事」──という サブタイトルを新たに付加し、 生まれ変わった四訂版である。 教育制度や経営を中心に扱った 教職課程(教育行政論)のテキストとして 2015(平成27)年に初版 2017(平成29)年に新訂版、 2020(令和02)年に三訂版と続き、 2023(令和05)年3月に四訂版が刊行された。 各章立ては、 教育基本法の条文と リンクしているため、 「日本国憲法の精神にのっとり、  我が国の未来を切り拓く教育の基本を確立し

          ちょっと長めの図書紹介⑫

          ちょっと長めの図書紹介⑪

          「片づけの学校」──のように 片づけを学ぶ本はそれなりにあるが、 「学校の片づけ」を学ぶ本は多くない。 検索してみたところ ヒットしたのは本書のほかに、 「職員室」と「保健室」の片づけ、 それに関係する本が1冊ずつだけだった。 (「お金の学校」本は多いが、  「学校のお金」本は少ない現象と同様) 本書では 「片づけ」について 不要なモノを取り除き(整理) 乱れているモノを整え(整頓) 使うモノを使いやすくしまう(収納) ──という一連で定義している(p.30) そのなかでも

          ちょっと長めの図書紹介⑪

          ちょっと長めの図書紹介⑩

          2022(令和04)年12月、 「生徒指導提要」が改訂された。 12年ぶり──ということも話題を集めたが、 それに加えて 「デジタルテキスト」という形式も 新鮮である。 全面改訂から2ヵ月少々で 「第1.0.1 版」(2/23)がリリースされた。 今後もタイムリーな改訂が期待できるだろう。 本稿は、 「生徒指導提要」の紹介ではあるが、 「生徒指導提要」自体の紹介ではない。 学事出版から発刊された 『生徒指導提要(改訂版)全文と解説』の 紹介である(以下、本書)。 文部科学

          ちょっと長めの図書紹介⑩

          ちょっと長めの図書紹介⑨

          15年前の2007(平成19)年、 長男が誕生し、わたしは育児休業を取得した。 それから4年後、次男のときも同様に── 当時は、男性の育児休業取得率が 1%にも満たない時代であり、 休業の申請や代員の配置、引継ぎ手続きなど 「前代未聞」扱いを受けた厳しい時代だった。 現在、やっと取得率が二桁に届いた。 さらに、休暇・休業制度も大幅に改善され、 さまざまな環境に対応した取得が 可能となっている。 どちらの本にも収録されている 第6章「教員の産休・育休制度」は、 制度周辺がコ

          ちょっと長めの図書紹介⑨

          ちょっと長めの図書紹介⑧

          わたしは「不登校」とは 無縁といえる子ども時代を過ごした。 皆勤賞にも何度か該当し、表彰された。 学校が好きだったわけではないが、 特に嫌いだったというわけでもなく、 ただ学校に行くことだけでも それがひとつの価値だった時代を生きていた。 「大丈夫? 登校。」と疑うこともなかった。 別にそれはそれでもよかったし、 後悔することでも、もちろんない。 そんな子ども時代を過ごした人間による 『大丈夫! 不登校。』の図書紹介 であることだけ最初に伝えておこう。 まず、冒頭から驚き

          ちょっと長めの図書紹介⑧

          ちょっと長めの図書紹介⑦

          表紙をめくり数ページ開くと 「坂本秀夫」が目に飛び込んできた(p.ⅵ)。 校則研究といえば、 名著『「校則」の研究』(1986年)が浮かぶ。 また、それと合わせて、 個人的に懐かしい同氏の著書を思い出した。 『生徒会の話』(1994年)である。 2006年に中学校へ異動し、 当時から興味関心があった〈子どもの権利〉、 特に〈意見表面権〉の実現に関して 生徒会とのかかわりを楽しみにしていたのだ。 そのとき出会ったのが 「生徒参加の知識と方法」という 副題にひかれた『生徒会の

          ちょっと長めの図書紹介⑦

          ちょっと長めの図書紹介⑥

          ──2001(平成13)年6月事件は起きた。 附属池田小で発生した無差別殺傷事件である。 事件の概要は説明不要だろう。 この事件をきっかけに、 学校安全に求められる「レベルのステージ」は 上がったと著者は考察している(p.02) たしかに……当時の記憶をたどると、 「警察官立寄所」というような プレートが学校に貼られたり、 「防犯ブザー」の携帯が騒がれたりした時期は この頃からだったかもしれない。 「開かれた学校」への全面アピールも消極化し、 「閉ざされた学校」的な閉鎖的防

          ちょっと長めの図書紹介⑥