電話対応の極意4選【教員】
「ぷるるるるる・・・・」
職員室で電話が鳴ると、ドキっとします。
担任の先生は1度はこのような気持ちになったことがあるはず。
また、たまーに、とんでもない電話がかかってきます。
20分間、おじさんと電話しました。理屈が意味分からん。
早く電話を切りたいからと言って「分かりました。校門に花を置きます。」と自分の判断だけで安易に答えるわけにはいかない。
20分間、おじさんの怒りを鎮めていき、最終的に「子供のためを思ってのご意見とご指導ありがとうございます。この件は私の方から管理職の方に伝え、検討させていただきます。」と言って、なんとか電話を切りました。
■教員必須のスキル
電話対応は全教員必須のスキルです。全員が受話器をとる環境で勤務するからです。受話器をとる先生、とらない先生といった役割はありません。
2年間僕の席の後ろに電話がありました。自分自身電話に出続けたり、電話対応を上手にする先輩方を見たりして、電話対応の極意を学びました。
この記事では、その極意を紹介します。
初任者の方へ。はじめは受話器を取ることにビビりますが、何度も受話器を取るうちに慣れます。いつの日か、お花おじさんのような強者と電話をすることになるかも。この記事が少しでも電話対応のヒントになれば嬉しいです。
極意❶ 自分の名前を名乗る
「はい、〇〇中学校です。」
と自分の名前を名乗らず、学校名だけ答える先生がいます。99%問題ありませんが、たまに噛みつかれることがあります。
電話口でイラっとしましたが、自分の名前を先手で名乗っておけばよかったと気付きました。一言目に自分の名前を伏せて電話をかけてくる保護者はいます。先にこちらが名前を言わないと、はじめから対応の流れが悪くなるのです。
極意❷「少々お待ちください」と言わない。
電話を出た先生とは別の先生に用事のある保護者が電話をかけてきたとき。
用事のある先生を電話口まで呼ぶために、保護者に「少々お待ちください。」と伝えて保留します。
この対応で、電話をうまく引き継げないことがあるのです。
電話を代ってほしい先生が近くにいれば、問題ありませんが、その先生が教室に上がっていたり、グラウンドにいたりすると、職員室まで戻るのに時間がかかります。
つまり、”保留”の時間が長くなり、保護者は電話口で待つのです。不満や怒りの電話の場合は、保留音が1秒1秒流れるごとに、怒りゲージが上がっていきます。
そして、電話を代った先生は、保護者に、こう言われます。
”少々”という言葉を使うと、はじめから対応の流れが悪くなる可能性があります。それは電話を代った先生に申し訳ない。
なので、「少々」ではなく、「しばらくお待ちください」と答えて保留ボタンを押しましょう。
のように、丁寧に答えて電話を引き継ぐこと、または「一度電話を切って、折り返させます」と伝えるのが得策です。
極意❸ 聴く時間と話す時間の配分を考える
「子供にどう接したらよいか分からない。子供の様子がおかしい」という不安と悩みを持っている保護者から電話を受け取ることがあります。
そのような保護者と話をするときは、担任の先生は”聞く時間と話す時間の配分”を考えなければいけません。
電話は言葉のキャッチボールです。しかし、担任の先生の聴く時間、話す時間を同じ時間だけ交互に配分することはNGです。
担任の先生は、保護者から話をきいて、子どもに関してのアドバイスを言いたくなります。
でも、ヒートアップしている保護者に、話やアドバイスをしたところで、中々、保護者の頭に入りません。
まずは、保護者の思いを聴くことに徹することが大切です。
保護者の言葉にうなずき、想いに共感することで、保護者は「分かってもらえた」と感じます。保護者自身が人に話すことで、保護者の思考の整理にもつながります。
保護者の言葉数が減ってきたと思ったら、こちらが伝えたいことを話しはじめましょう。まずは聴く時間を長くとることです。対子供の生徒指導でも同じことが言えますね。
最終的に「親と先生で一緒に子供を見てきましょう」と結論づけて電話を切ることができたら、大人にとっても子供にとっても一番良い形となるでしょう。
極意❹ 飛車角は出さない
いきなり、1年1組の担任を飛び越えて、教頭先生に電話をしたいと言う保護者がいます。
我が子伝えの情報で、担任の先生に不満を思っている保護者は、担任と話したがりません。街のお店の中での「店長呼んで来い!」と同じような現象でしょうか。
ただ、電話をとった先生は、いきなり教頭先生に電話を代ってはいけません。あくまで窓口は担任です。
担任の対応が厳しそう(または電話しているうちに厳しくなった)なら、学年主任と代わります。次に生徒指導担当の先生 ➞ 教頭 ➞ 校長 の順番で対応します。
飛車角はいきなり出しません。将棋の駒のように、「歩」→「銀」→「金」→「飛車角」→「王」の順番で話を聴きます。
人間は長い時間怒り続けることはできません。対応する人を変えて保護者の思いを聴き、怒りまかせではなく、冷静に話ができる状態にしていきます。
と言って、担任と電話を代わりることを1度提案しましょう。
■電話には限界がある
事務的な連絡は電話で大丈夫です。
ただ、電話では上手く伝わらないことがあります。ふみこんだ話はできません。人間は人と話をするとき、単純に言葉と声色だけでやりとりをしているわけではありません。
「保護者がどんな表情で話しているか」や「保護者の発する言葉の裏にどんな思いがあるのか」を読み取ろうとすることが、教師にとって、ものすごく大切なことです。
担任である僕が、保護者から電話をもらい、話が長くなりそうだったり、こじれそうだったり、子供と親を交えて話をした方がいいと感じた場合、顔を合わせてコミニケーションをとる手段を提案します。
「信頼は足で稼ぐ」、「教育は今日行く」という教師の格言通り、家庭訪問に行くのが、長い目で見たときに、最も問題解決につながる対応だと感じています。(地域にもよりけりです。家庭訪問を嫌がる保護者もいます。)
初任者の方へ。電話が鳴れば、自ら受話器をとりにいきましょう。電話対応の経験値が教員のスキルをあげます。また職員室で、電話が上手な先生の電話対応に耳を傾け、”便利なフレーズ”を盗みましょう。
正直、職員室には受話器をとりたがらない先生もいます。
ただ職員はチームで働いているので、人任せの働き方は、僕はしたくない。
自分自身、いくつになってもフットワーク軽く、受話器をとる先生でありたいと思っています。
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