ケーキの切れない非行少年たち(新潮新書) Kindle版【本の感想】
昨年に発刊されてから気になっていた「ケーキの切れない非行少年たち」という本ですが、お昼にTwitterで少し話題になっていました。
「ケーキの切れない非行少年たち」、タイトルと例の図から
— Zirconia😎VRChat (@ZirconiaVRChat) July 6, 2020
「非行少年は阿呆である」と思ってる人も多そうだけど
中身を読むと
「医療少年院の少年達に認知行動療法は効果がない。認知機能に問題があるためだ。認知能力が乏しい彼らは犯行に対して反省することもできない。」というえっぐい内容だった
このあとも「えっぐい、えっぐい」と追加説明を投稿されていて、これだけえっぐい内容だったと繰り返されると気になってしかたありません。Kindle版で読んでみました。
ケーキを切れないだけでなく認知力の弱い少年院の非行少年たちをどう導くか、という問題提起の本
児童精神科医である筆者は、多くの非行少年たちと出会う中で、「反省以前の子ども」が沢山いるという事実に気づく。少年院には、認知力が弱く、「ケーキを等分に切る」ことすら出来ない非行少年が大勢いたが、問題の根深さは普通の学校でも同じなのだ。人口の十数%いるとされる「境界知能」の人々に焦点を当て、困っている彼らを学校・社会生活で困らないように導く超実践的なメソッドを公開する。
「ケーキの切れない非行少年たち」のレビュー
『ケーキの切れない非行少年たち』読了。本来なら何らかの支援が必要なのに、それが見過ごされて犯罪に手を染めてしまった少年たち。例えば、形を認識することが難しい子が漢字を覚えらず、教師から何十回も書取りを命ぜられても書けず、やがてくさって勉強嫌いになっていく。こんな子らが一定数いる。 pic.twitter.com/jDD43k22MM
— ミスターK (@arapanman) February 29, 2020
ハードカバーの表紙はインパクトがありますよね。印鑑ではなく三等分できないケーキの図です。認知に問題があることを想像せずにいられません。
著者の宮口幸治さんが提唱するコグトレとは
著者の宮口幸治さんは「コグトレ」の開発者です。医療少年院での経験を元に認知能力のトレーニングの必要性を説いています。小中学校における朝の会で1日5分「コグトレ」を行うことで学習の土台である認知機能を養うことが、結果的に少年犯罪を回避することにつながると訴えています。
「コグトレ」はコグニティブトレーニング(認知機能トレーニング・認知機能の訓練)
「コグトレ」とはコグニティブトレーニング(認知機能の訓練)のこと。困っている子どもたちの支援を目的として開発した認知トレーニングです。宮口幸治さんは、大学教員・児童精神科医として活躍されています。
1日5分のコグトレの積み重ねで何かが変わる
コグトレは「覚える」「数える」「写す」「見つける」「想像する」の5つの能力分野を1日5分で簡単に鍛えるよう工夫されたプログラム。このコグトレの積み重ねで何が変わるのか、については本書でご覧ください。教育現場や教育行政にかかわる皆さんに一読していただきたい内容でした。
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