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これから起業する方に知って欲しい会計の話⑤ 〜資金繰り管理の仕方(中長期的な計画管理)〜

こんにちは、株式会社HIFASです。
このシリーズの「②」で資金繰りの仕方の直近の予定管理についてご説明しました。
今回は、中長期的な視点での資金繰り管理について書きたいと思います。

まずおさらいですが、直近の予定管理とは来月の支払いにお金が十分にあるか、引き落としの口座に残高はあるか、貯蓄に回せるお金がどれほどあるかなど、(ほぼ)確実な入出金の予定を把握して直近の資金の残高を管理することを意味します。

中長期的な視点の資金繰り管理の仕方

さて今回は中長期的な計画管理についてです。

事業をしていく以上、その事業を成長・発展させていくことを目的に経営をすることになります。
直近の資金を回すことも重要ですが、数ヶ月先や1年先、3年先にどのようにスケールしていくのかを計画することも重要です。そうすることにより事業発展のイメージが具体化し、経営のアクセルの踏みどころがはっきりとしてきます。

では具体的にどのように計画を立てるのか見て行きましょう。

・売上の計画(営業収入の計画)
 →売上の回収時期が遅い事業(請求後2ヶ月ご入金など)は要注意です
 →事業別や得意先別などの細分化をしていきます
 →事業によっては、下記の原価と合わせてプロジェクト単位で計画する
  ことも必要です
・原価の計画(営業支出の計画)
 →単純に売上×原価率で計画すると資金の動きとズレるので要注意です
 →仕入れたものが必ず同時期に販売できるわけではありません
 →小売業の場合は、別途売上の計画に即した仕入れ計画が必要です
 →その他事業でも、外注費が発生するタイミングと売上のタイミングは
  別です。計画するプロジェクト単位や物件単位でどのような形で原価
  が発生するのかを把握します
 →必要な場合は人件費もこちらの計画に加味します
 ・販管費の計画(営業支出の計画)
  →人件費(給与・賞与・社保・労保など)を支給時期ごとに計画します
  →家賃、支払報酬、リース料、光熱費、通信費など定期的に発生
   する経費を計画します
  →その他諸経費について、月ごとの発生を予測し計画します
 ・財務・納税支出の計画
  →借入金の返済がある場合は、その返済額を全て把握します
  →税金の支払い時期を把握し、その見積額を計画します

ここまで計画した数値を資金繰り管理表に落とし込むと、収支の結果で資金残高の推移も同時に把握できるようになります。
その情報を踏まえた上で、次は設備投資等について計画します。

 ・設備投資含む高額な支出(広告費やシステム導入など)の計画
  →今後の事業発展に必要な設備投資等の計画を立てます
  →営業収支、財務収支を踏まえた上で、設備投資等が可能な時期を把握
  →事業計画上必要な設備投資等が適切な時期に行えるか判断します
  →場合によっては、追加の資金調達の計画をします

このように自社の営業活動と財務的な支出を把握した上で、自己資金のみではスピード感ある投資が難しいようであれば、必要に応じて金融機関等から資金調達をして事業を加速する方法を模索します。
その場合、資金調達することによる新たな財務支出の把握や、その設備投資による売上・原価・その他経費の増加計画も立てる必要があります。

金融機関等からの資金調達を望む場合、上述の計画をきっちり立て管理していると格段に信頼性が高まります。
それだけでなく作成した資金計画を、自身が事業をしていく中でのベンチマークとして利用することでお金に対する不安がなくなるとともに、視野が広がり不測の事態にも冷静に判断することが可能となります。

まとめ

いかがでしたでしょうか。
直近の予定の資金繰り管理とはまた違った視点での管理方法をご理解いただけたのではないかと思います。
大切なのは、こういった計画も絵に描いた餅にならないように活かしていくことです。
計画は作って終わりではなく、それを利用しなければ意味がありません。継続的に利用できるよう、計画の作成にはツールも含めてしっかり検討が必要かと思います。
次回は、この中長期的な視点の発展系として、ファイナンス的な視点について書きたいと思います。

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