見出し画像

これから起業する方に知って欲しい会計の話② 〜資金繰り管理の仕方(直近の予定管理編)〜

前回(①)は、まず資金繰りの管理から始めましょう、という話をしました。
今回は、具体的にどういった管理をすれば良いのか、ご説明したいと思います。管理の中でも、どちらかというと来月・再来月くらいまでの近い将来の資金管理をメインに解説します。
来月の支払いに余裕があるか、どれくらい資金の余剰を確保できているか、といったことを見える化していきます。

資金繰り管理は、ただお金を記録するだけではない

資金繰りの管理は、ただお金の流れを記録するだけではありません。
実際の業務プロセスをあらかじめ整理して管理しやすくすることが大切です。具体的には下記のようなポイントを意識すると良いでしょう。

・入金、支払いのタイミングを極力一致させる
 もしくは入金のタイミングを早める
 →資金繰りに余裕ができ、支払い業務もまとめて一回で終わる
・支払日はなるべくまとめる(月1回〜2回にする)
 →バラバラと支払っていては管理が大変です
・業務のスケジュールを決めて管理する
・発行した請求リストを適切に管理する
・受領した請求書を適切に管理する(支払日ごとに)
・請求書が来ない支払い(口座振替など)の把握漏れがないよう
 リスト作成等の管理を行う

業務の流れとお金の流れを理解しましょう

さて、次は実際のお金の流れを記録していく作業を見て行きましょう。
まず収入ですが、普段の営業活動で発生する業務を簡単にまとめると下記のようになるかと思います。

・請求書を作成する
・請求書を送る
・入金予定日を把握する
・入金されたか確認する

次に支出です。

・請求書をもらう
・支払日を確認する
・支払日に支払う
・請求書がない、契約に基づく支払い(定額の顧問料など)
・定期的な口座引き落とし(リース、家賃など)
・小口現金

上記以外にも、銀行からお金を借りた場合は、借入額の入金や返済による支出などが発生します。
このように、普段の活動の中でのお金の流れを把握し、どのタイミングでお金をもらう権利・支払う義務が発生するのか、そしてそれがいつ実行されるのかを把握することが必要です。

資金繰りの管理の仕方(直近の予定の把握)

では、入出金を資金繰り管理にどのようにつなげていくか見て行きましょう。

記録していくポイントは、どれくらいの期間で区切るかです。一連の取引に関する決済が全て完了するようなタイミングとするなど、入金と出金を記録する期間を決めておくと良いでしょう。
個人的には、収入はより確実性の高い予定だけ、支出は不確実なものも含めて記録し資金の減少リスクをなるべく可視化するようにすることをオススメします。
ここでは一番簡単な方法の例をご説明したいと思います。

資金繰りの管理は、入金と出金の金額両方を表に記載し、残高の推移を管理することが基本となります。

<収入>
①請求書を作成し送付した段階で、入金予定日を記録する
(プラスの予定)
②自ら請求書を発行しない収入がないか確認する
③未確定だが、契約上確実な収入があれば記録する
④実際の入金予定日に入金されているか確認する
⑤未入金を踏まえて入金予定の記録を修正する
<支出>
①請求書がこない口座引き落としの支出を把握し、記録する
②請求書を受領した段階で、支払い予定日に記録する
③確実な支払いについては請求書受領前に概算を記録する
④予定通り支払いが完了できたか確認する
⑤何らかの理由で支払いができていないものについて修正する

上記のような内容を管理表に記録していき、残高の推移を確かめ、支払日に支払えない場合は支払日をずらす、自己資金で補填するといった判断が必要になります。
また、支払い口座が複数ある場合などは、引き落とし前に残高不足とならないよう、口座別に資金の管理も必要となるでしょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか。
一言で資金繰り管理と言っても、様々なことをケアしていかなければ正しく管理できません。
「頭の中で把握できている」なんてたまに聞きますが、そんな簡単なものではないとお分かりいただけたのではないでしょうか。

なお、今後資金繰り管理セミナーの開催も予定しておりますので、ご興味があれば是非ご参加ください!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?