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これから起業する方に知って欲しい会計の話④ 〜会計事務所との付き合い方〜

前回までは、起業前・起業当初における必要な会計は資金繰り管理であるとの話をしてきました。
今回は、それを踏まえて会計事務所との付き合い方について書きたいと思います。

みなさんは、会計事務所と契約するとした場合どのような業務を思い浮かべるでしょうか?
具体的には下記のような業務を委嘱することになることが多いと思います。

①決算及び申告の代理
②会計帳簿の記帳
③税務会計のアドバイス
④その他経営に関するアドバイス

上記の①と②については業務代行の要素が強く、特に②についてはほぼ事務代行業務と言ってもいいでしょう。

①の決算及び申告については、会計税務に詳しい人でなければなかなか正しく行うことは難しいです。
②は会計ソフトを利用すれば、あまり詳しくない人でも会計記帳はできると思いますが、知識が伴っていない状態で会計ソフトを使うと、その後の①の決算及び申告の内容に大きく影響してしまいますから、記帳する段階で会計の知識のある人にチェックしてもらうなどの注意が必要です。

そのようなこともあり、①と②を両方頼んで「会計事務所に全てお任せ」している中小企業も多いと思います。
この場合、会計事務所としては②の業務量が必然的に多くなる上、会社側での資料等の整理整頓ができていないとさらに時間がかかることになり、結果工数が増え顧問報酬が高くなるケースがあります。
なぜ時間がかかることになるかというと、会計事務所もその会社の人間ではありませんので、事業のことを詳細まで理解することはできないことから、誰が見てもわかる状態のものを提示してもらえていないと会計処理に時間を要してしまいます。

したがって、実はすべてお任せするというのは双方にとって非効率となってしまっていることもあるのです。

一方で、すべて会計事務所にお任せしたとしても、お金の管理は自分たちについて回ります。
お金の管理とは、前回以前のブログにも書いたように、

・請求書を発行し売上金を回収すること
・請求書を受領し支払い期日までに支払うこと
・それらのお金が滞りなく回せるように管理すること
など、、、

すなわち資金繰り管理です。

この資金繰りの記録は現金や預金の動きを追いかけることですので、これを記録することで会計記帳業務の大半が完了していると言っても過言ではありません。
そして、そのエビデンスを整理整頓すれば第三者が見ても容易に取引の内容を確認し理解することができるようになります。

もうお分かりですよね?

そのデータと整理されたエビデンスがあれば、会計事務所での対応業務もかなり軽減されることになります。

会計事務所での対応業務が軽減されると、それに対する会社が支払う報酬の負担が軽減できるだけでなく、ただ報酬を減らさず同じ報酬の中でより多くの付加的なサービスを受けることが可能となります。

結局は、会計事務所もかけられる時間は報酬の範囲内となりますので、会計記帳に関する業務が軽減できるのであれば、日々のコミュニケーションを増やして事業をより深く把握し、税務的なケアの提案をより迅速に行うことや資金繰りに関するアドバイス、その他専門家としてのアドバイスのために時間をかけることが可能となります。

そして、このような関係こそが、本来の会社と会計事務所のあるべき姿ではないかと思います。
すでに会計事務所とお付き合いのある方も、今一度、その付き合い方を考えてみてはいかがでしょうか。

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