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短編

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詩やあまり長くない散文など。
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記事一覧

捨てられない。

五年くらい着ているコートがいよいよ寿命を迎えている。あちこちが破け始めていて、染み込んだタバコの臭いが毎朝僕を包む。
「さすがに今年はコートを買おうかな」ともう二年くらい言っているのに、中々出会いがなくて-出会おうとしていないのかもしれないけど-寒さを凌ぐために今日も同じコートを羽織る。

新しいコートを買えないのには他の理由もある。意外と思い出が詰まっている気がして、中々別れを告げられない。

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Know where you exactly are.

「手前(てめぇ)の立ち位置」を見誤る事が多々ある。「もっとできるはずだ」と思うのは純粋に自分の実力が足りていない時。
「ま、こんなもんでしょう」と思う時はほどほど実力に見合っている時。
そして「お、案外いけてるんじゃない?」と思うのは自分に力がなさすぎてもはや何が足りていないのかすら分かっていない時。

高すぎる山を遠くから眺めている時、具体的にどれくらい遠いのかが分かっていない。
だからなんとな

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Sweetness

強さに裏付けられた優しさが欲しい。人にも甘く、自分にも甘いのらりくらりとした日々は甘美な香りを放って僕を誘惑する。

朝起きて布団から出るのがめんどくさい。本当なら早めに起きてゆっくりコーヒーでも淹れたいのに、ダラダラYouTubeを観てたせいで夜更かししてしまった。
時間があれば髪を整えるくらいはしたいのに、シャワーから出てドライヤーもそこそこに雑に縛ってキャップの中に突っ込んでしまう。
混んで

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今緊急でnote書いてるんですけど

めちゃくちゃトイレ行きたいのにこの時間の渋谷ってトイレ全然なくない!?

ってのはどうでもいいんですけど、この1週間はnoteを更新できてないので慌てて書いているところでございます。
10/29は友達の学祭で完全部外者の僕がギターとベースを弾き倒しました。
ハロウィンの日はもう完全に家から出るのが嫌になってしまい、休みだったのもあってめちゃくちゃ韓ドラを観た。もう、めちゃくちゃ観た。

1日はセッ

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悲しみの一口

急に。あまりにも急に冬がやってきて、体がかなり驚いているのが分かる。普通にしんどいす。

霧雨が体を打つ。明日明後日久々の休みなのでめちゃくちゃ曲作るぞ〜!と意気込んでいる。今日は多分早く寝る。

マジで書くことがないな。「書くことがない」というのを書くのももう何回目か分からないのでもうそれも書けない。

すまん!今週はこんくらいです!

だせぇこと言ってんなよ

昨日からずっともやもやしてる。
コンビニのレジでタバコの番号を探している僕に「銘柄でいいですよ〜」と3回くらいしつこく言ってくるおばちゃんにやけに腹が立ってしまいめちゃくちゃ早口で「キャメルクラフトメンソール5ミリカプセルなしで」と言ったこと。

もっと大人な対応できたよな〜、と思う。確かにあのおばちゃんはかなりしつこかったけど。
ちなみに「あー、5ミリはないですね〜」と言われた。目の前にあるのに

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ぢっと手を見る

久しぶりに久しぶりの銭湯へ。最近は帰りが遅くて中々寄り道ができなかったことに加え、サウナがある銭湯を好んで行っていたこともあって実に一年ぶり?くらいに某〇〇湯へ。
駅を降りるとその周辺もそれなりに変わっていてどれだけ自分がこの街に来ていなかったのかを感じる。

軽く街を散歩して銭湯へ。すっかり秋の匂いに包まれた東京を歩く。入浴料が少し値上がりしていることに気づいて驚いた。こんなところまで値上げか…

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家に帰るまでが飲み会です

久々に大きめな飲み会。全員飲むわけではないから素面の人もいる。
年齢層は結構バラバラで、上も下もいる感じ。

そんなにめちゃくちゃ仲がいいわけでもない(学生時代の友人でもないから逆に仲良すぎたら怖いかも)ので、落ち着いた飲み会になるかなと思ってたら予想以上に盛り上がってしまった。
それはそれで面白かったからいいけど。かなりアツい議論が飛び交ってたし。

最終的には「クソでかいミラーボールがほしい」

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まだマシ

もう純粋な気持ちで作品を評価することができない。
音楽を聴いてても「〜のミックスが…」とか「〜のコード進行が…」とか「〇〇のコンプの処理が…」とか余計な情報がたくさん入ってきて、純粋に受け止めることができない。
最近は写真を見ても「なるほどこういう現象もアリか」とか「このボケ感だとF値は…」とか、目に見たものをそのまま判断できなくなってる。

色んなことをやってるせいで、世の中の広告とかも変な受け

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吸い込んだ分だけ吐き出した

言わなくていい方が良いことを息を吸い込んで誤魔化す。たまりに溜まった日々のかたまりが、ふとした時に飛び出してくる。

久しぶりに飲み会に参加。友達は、友達だ。これから先いつまでできるのか分からないけど、鬱屈としか日々のモヤモヤの中にポッと息を抜ける瞬間が現れるとそれがとても愛しくて、できれば離れたくなくなってしまう。

でも、もう朝までは辛いかな…。中々歳をとったと実感する。

なんかみんなめちゃ

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夏は今日も近づいている。

22時をすぎて、外に出ると恐ろしい湿気が体を包んだ。「まるで東南アジアだ」と弟が呟く。「スコールの後みたいだね」と返す。

次の日、車窓からは遠くに入道雲が見えて、「夏だな」と思った。
半袖どころでは太刀打ちのできない暑さが、もうそこまで来ている。

酷く汗をかいて、それを拭う間にもまた汗が噴き出てくる。
太陽は容赦を知らずに照りつけてくる。

さっきまでの雨が嘘のように、午後になると空は暑く晴れ

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散文的に笑え

・いよいよ本格的に痩せようと思ってはいるのだが、ついつい食品に手が伸びてしまう自分の弱さを、どこか愛している自分もいる。

・固い決意も、完成した料理の前では星の数ほどの言い訳によって解かれてしまう。タチの悪いことに、罪悪感は満腹感に埋もれてどこかにいってしまう。

・いよいよ大型連休を明日に控えた電車はいつもより騒がしい。ニュースは連日の混雑を報道しているが、実際のところ家でゴロゴロしてる人々も

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Dream a dream.

焦って家を飛び出す。腕時計はかなりギリギリの時間を指してる。
そこで目が覚めてそれが夢だったことに気づく。眠い目をこすりながらシャワーを浴びる。ふと、「もしかしてこれも夢なんじゃないか?」と思う。
その瞬間にアラームが鳴った。残念ながら予想は的中。余裕を持って準備をする時間はもうない。

足が痛い。昨日の夜、終電に乗ろうとしたら人身事故で電車が止まっていたせいでどうにか遠回りをして二駅手前の駅まで

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春眠

眠すぎるのだ
日差しは日に日に暖かくなる
春の陽気に包まれて
今日も瞼が重い

今年は桜を見る暇もなく
あっという間に葉っぱに変わってしまった木を
恨めしそうに眺めている

毎日服装を間違えていて
寒かったり暑かったり
小学生の頃はそんなことどうでも良かった気がするのに
今では毎朝天気予報を見たりして
大人のふりをしている

今週はどうにも頭がすっきりとしないまま
木曜までやってきてしまった
爆音

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