Know where you exactly are.

「手前(てめぇ)の立ち位置」を見誤る事が多々ある。「もっとできるはずだ」と思うのは純粋に自分の実力が足りていない時。
「ま、こんなもんでしょう」と思う時はほどほど実力に見合っている時。
そして「お、案外いけてるんじゃない?」と思うのは自分に力がなさすぎてもはや何が足りていないのかすら分かっていない時。

高すぎる山を遠くから眺めている時、具体的にどれくらい遠いのかが分かっていない。
だからなんとなく「高いな〜」くらいにしか思えない。でも、いざ登り始めるとその道のりは長く、時に苦しい。森を越えて、開けた場所まで来た時に目に入る山頂はとんでもなく遠くて、「まだこんなにあるのか…」と心が折れそうになる。

『千里の道も一歩から』と言われても、目の前の雪渓はまるでどこまでも続いているようで、その場に座り込んでしまいたくなる。登りきった時の事はまだ何にも見えなくて、まるで靄がかかったように不明瞭だ。
それでも、登りかけた山はただそこに存在している。どんなに山頂が遠く見えても、進まなくてはいけない道が目の前にある。

見誤っていた自分の力が、登り始めてやっと分かる。これから先の険しい道を想像すると途端に天を仰ぎたくなる。
無知でいられた時は良かった。何も考えず巨大な山を見つめて「でかいな」と思っていればいいだけだったから。
具体的な方法なんて考える必要も、打算的になる必要もなく、ただその巨大さに憧れているだけで良かった。

ようやく自分の居場所が分かった。あとは歩くだけだ。

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