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2020年ブックレビュー『いけない』(道尾秀介著)

道尾秀介さんの『いけない』は、テレビ番組で「体験型ミステリ―」として紹介されたらしい。なるほど、受け身では面白さが半減してしまう。文章を流し読みしないで、隅々まで読み込まないと、作者の意図するところに近づかない。

2度読み、必須。こういう「知的遊戯的な」作品を書いてしまう道尾さんに、憧れてしまう。

『いけない』は連作短編集だ。収録してある4話とも、白蝦蟇シーライン沿いにある自殺の名所「弓投げの崖」と、その近辺の街が舞台。1話では、その「弓投げの崖」で起こった交通事故が発端となり、2話、3話と連鎖的に殺人事件が起こる。

考え込んでしまうのが、1話ずつ最後のページに付いている地図や絵。ここに真実が隠されているらしい。短編の結末を読む度に、必ず「??」という感情に包まれ、図や絵の中に何かが隠されていると知る。そして、読者自身が謎解きに挑戦しなければいけないのだ。成功すれば、伏線を回収していく面白さが待っている。

それに、1話で気に留めなかった脇役のエピソードが2話、3話で大きな意味を持ってくるので気が抜けない。…と、こう書きながら、何か見落とした気になってもう1度読みたくなり、ウズウズする!

これ以上書くと、ネタバレになってしまって面白くない。ごめんなさい!




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