深い闇

昨日まではあんなに気分が良かったのに、何故だろう。もうこんな感情は起きないと思っていた。『生かされている』そう思っていたのに、何度も何度も乗り越えてきた筈なのに、また…なにもかもを消したくなってしまった。自分の存在を消してしまいたい。

あたしが消えてしまったら、娘達はどうする。洗濯物も畳めない、料理もできない。いや、やればできるだろう。ネコ達はどうなる。誰がミクちゃんにお薬をあげる。むっちりむぅちゃんは痩せてしまうだろう。染太郎はあたしを探して毎日鳴くだろう。臣ちゃんは遊ぶ相手がいなくなり、また孤独になるだろう。

大切な存在を残して消えるわけにはいかない。あたしにはまだやるべきことが残されている。役目を全うしなければならない。何故だろう。あたしが消えてもなんとかなるだろう…なんて残酷。

やはり眠りが浅い。トータルすると食事もまともに摂っていない。そもそもそれ自体が原因だとわかっているのに、改善されない。気力がないのだ。なんとか改善しようと、できることはしている。ただ、睡眠だけはどうにもならなくて、睡眠薬を飲まないと心底眠れない。

睡眠薬は以前ドクターに相談して減らしてもらった。それも2回程処方を変えてもらっている。それでもぐっすり眠り過ぎてしまい、起きられなくなってしまう。一時は眠れなくても構わない、と気力で耐えてきた。睡眠を摂らないと鬱になりやすい、とドクターに指示されている。また処方を変えてもらうか。これ以上減ることにも不安を覚える。とにかく寝付き寝起きが悪いのだ。

それよりもレキソタン(安定剤)を増やしてもらいたい。それは毎回訴えているのだが、一度増やしてもらってからは、これ以上増やすと1ヶ月の分量を超えてしまう為に出せない、と言われてしまった。前回は、これで様子をみよう、ということになったがこんなにしんどいならば2週間に1回の受診になっても構わないから、増やしてもらおうか。

あたしは一番初めに心療内科を受診している。当時からレキソタンを服用しており、依存症になっている。切らすと禁断症状が出るのだ。その時間帯の幅は短くなる一方で改善されていない。ドクターはレキソタンを抜きたいのだろう。だがあたしはレキソタンがなくなることが恐い。

当時の心療内科ではなに一つ改善はされなかった。あたしは幻聴も幻覚も悪夢も…全て未だ残っている。その後受診した精神科では、とにかくたくさんの薬を処方された。そこで初めて自分は幻聴があり、幻覚を観ていることを知った。少し離れたところに越しても2時間かけて通った。

その2時間は辛い時間となり、電車に乗れなくなってしまった。病院を変えようと色々調べ、転院しようと思っていた矢先にあたしは大量のODで意識不明になり、救急車で運ばれた。数日間意識は戻らなかった。搬送先の総合病院の精神科のドクターが受診してくれた。本当に死ぬところだった、と説明を受けた。ドクターは厳しく優しく、近所の精神科を紹介しようと思ったが、それは無責任だと感じ、自分が面倒を診ると仰ってくれた。

今もその時のドクターにお世話になっている。あたしは自分のことは自分から話さないので、たまに過去の話しをすると、珍しいね、と優しく仰る。ドクターはあまり薬を出さない方で、その点でも信頼している。ドクターは個人の携帯番号を教えてくれた。当時、とにかく常に自殺願望があったので、ドクターにはショートメールをよく送ったものだ。夜中に電話したこともある。それでも怒られたことはない。明日受診してください、と仰る。

あと3日、3日待てば受診日だ。それまではなんとか自分を保とう。もうODも自傷行為もしたくない。娘を哀しませたくない。傷つけたくない。常に一人で乗り越えてきたじゃないか。自分は強い筈だ。死んではいけない。わかっている。

何故、急に堕ちた。わかっている。過去に振り回されてはいけない。なのに深い傷は癒されていなかった。誰にも理解されなくていい。薬で楽になるなら、あたしは薬を飲む。誰も助けてはくれないのだから。期待しても無駄なだけだ。どれだけ経験したことか。嫌という程に刻み込まれているじゃないか。自分にしかどうにもできないのだから。甘えるな。

どうしてこんなにも深く闇に染まったのだろう。


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