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もらって迷惑な贈り物なんてない!

もらって迷惑な贈り物

このような言葉が普通に使われてる…。
そうかなあ、と思う。

もらっちゃった方の人の気持ちもとても良くわかるんだけど、少し疑問に感じる。

なんか悲しい言葉

どうも自分では使いたくない言葉があります。
例えばこんな言葉です。

「プレゼントハラスメント」
「プレゼントブス」

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相手が自分の美意識と価値観で判断して、頓珍漢なプレゼントをもらっちゃっうことは時々あります。なんだか困っちゃうという事態ですね。

いわゆるあるあるネタかもしれません。

言いたいことはわかりますが、とてもやるせない気持ち感じます。

「相手のことを考えずに自分の価値観ばかり押し付けて……」

確かにそれは困りますよね。

でも…それが価値観の押しつけではなくて、趣味の食い違いだったら許してあげたら、と思います。現実は違うと思う。このプレゼントを贈った人は、多分…

相手のことばかりぐるぐる考えて、結果的にちょっとずれたものを贈っちゃって……

真相はこっちなんではないでしょうか、といつも思うのです。例えばこんな例はどうでしょう。

あなたのことが大好きな小学生の甥っ子が、一生懸命になってあなたにプレゼントを選んでくれました。幼い子供だから、親戚のお姉ちゃんにも異性としてのあこがれもあるような、あの淡い少年期の時代ですね。

「どうしたらいいんだろこれ」と思ってしまうよなプレゼントを贈られたら、本当に迷惑ですか? 小学生だからいくらかっこいい将来のイケメン男性間違いなしであっても、女性へのプレゼントという経験自体がおそらくほとんどありません。

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えてして、頓珍漢なものになりがちです。

その時、百歩譲って”困った”はあるかもしれません。でも”迷惑”っていうのは言い過ぎでは?

プレゼントを選ぶ時のドキドキ感を思い出してください。相手が喜ぶかなというポジティブなドキドキ感とともに、迷惑になったらどうしようというドキドキ感、自分の審美眼を疑われたらどうしようというドキドキ感がないまぜになっています。


プレゼントなんて、最後は相手のことなんて考えなくていい

これが私の持論です。

気に入らなかったら迷惑だなんて…自分で欲しいものは、自分で貯金おろして買えばいいじゃないですか。

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「それもなんだかさびしい」のであれば、好きな友達、好きな彼氏からもらったものなら「え?こ……これは」であってもいいじゃないですか。

フランスの哲学者、美術批評家、作家。主に美学、芸術の研究で有名な、フランスのマダムにモテモテだったインテリさんのディドロさん。彼ににちなんだ心理学の言葉に「ディドロ効果」というのがあります。

「ディドロ効果」はこんなおはなしです。

プレゼントくれた人をブス呼ばわりする ブスに喧嘩を売るわたし

ディドロ効果の定義の前に、忘れられない思い出を一つ。

小学生の頃に、友達と花火大会に行くというイベントがありました。
みんな浴衣を着ていくという。
でも私はごくごく小さい頃のしかなくて、成長期でどんどん体型の変わっていく自分には合わない。

そこで、父が一緒にお店に行って選んで買ってくれることになりました。

私はそれまで黒が大好きで、人前に出るときのおしゃれは黒か、せいぜいグレーでした。
たまに濃紺もあったくらいですか。

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いろいろ選んでいる中で父からは、こう言われました。

「お前はけっこう食わず嫌いなところがあるけど、実はこういうのが似合うよきっと」

実際、父の選んだ浴衣は確かに良かった。

でもなんと、色があでやかな赤だったのです。
冒険すぎるぞこれは…
軽いパニック状態です。

――軽いパニック状態ではありましたが私は父のことを、迷惑ともブスとも思いませんでした。

それを買ってもらい着ていくと、友達は「それ似合うう、イメージ変わったあ」と絶賛してくれました。

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以来、私の身の回りには赤の洋服や、小物が増えていきました。

ディドロ効果を見直そう

ディドロ効果とはこんな心理学の考え方です。

ディドロ効果とは「自分が気に入った商品を購入すると、その商品に合わせた雰囲気の物で統一したくなる」という心理現象のことです。
フランスの思想家、ドゥニ・ディドロが書いたエッセイにちなんで文化人類学者、グラント・マクラッケンによって定義付けられました。


エッセイでは、友人からおしゃれな洋服をもらった筆者が、その服に見合う空間を整えようとかつてのものを手放し、新しいものを新調していったという例が紹介されています。

ディドロ効果は、ファッションブランド、家具などのインテリア、スマホゲームなど多くのビジネスシーンで利用されています。ファッションやインテリア雑貨などは、ブランド全体で世界観を構築され統一感があります。
そのため、ファッションやインテリアブランドのファンになったユーザーはその世界観をより表現するために、よりたくさんの商品を集めようとします。


参考:G. マクラッケン・小池 和子(1990).文化と消費とシンボルと  勁草書房

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ディドロ効果が分かれば、プレゼントを贈ってくれた人の痛いほどの気持ちがわかる

みんな「自分」を表現する時に、自分を表すための様々なもので身の回りを固めたり、いろどったりするかと思います。

それは”色”であったり、デザインであったり、抽象的な言い方をすればイメージそのものかもしれません。

そして感覚的に自分に近いものを心地よく感じ、自分のそれまでの趣味から遠く離れたものに対して、居心地を悪く感じたりするかもしれません。

ですが、別の言い方をすれば、それはあなたが自分で考える「あなたらしさ」の一つに過ぎないのかもしれません。

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たとえば、録音した自分の声、というものを聞いて恥ずかしく思った経験はありませんか?

それは普段あなた自身が聞いている「あなた自身の声」ではないです。でも周りの人には、そんなあなたの声が聞こえているのです。

これは声に限りません。

その人なりに、あなたに何が似合うのかを考えて、あるいはあなたに何を知ってほしいのかを考えてくれた。

それを身に着けたり、試してみれば、それはあなた自身の角度からは見えなかった、また別角度からの「新しいあなた」に気づかせてくれている、こう考えてみてはいかがでしょうか?

贈る方からすれば「君はこれだよ!新しい自分を知ってほしい」という、ちょっとしたでしゃばりなプライドなんかも、そこにはあったりするかもしれません(男性から女性への勝負をかけたプレゼントにあるかもね)。

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プレゼントを受け取った時の、あなたの反応を楽しみにしているからこそ、あれこれ考えて贈ってくれたとも言えましょう。

その心意気に飛び込んでみるのも、悪くはないかなとも思います。

ディドロ効果が分かれば、心に余裕も出て贈ってくれた人の優しくも可愛らしい気持ちがわかる。

これだけだと、まだ抽象的な言い方ですね。
それでは、世間で「プレゼントハラスメント」だなんて言われているような商品について、ちょっと具体的に見てみましょう。

微笑ましく笑おうよ(声あげて)がははは~の例

行くよー!
いいじゃねえか
ブスでも
あばたもえくぼだよ(^o^)

事例1 贈った人の趣味全開のもの

外国語だああ@@
しかも西田幾多郎の解説まで載ってる。
しかしなんでフランス語じゃなくて英訳なのか( U_U)。
デカルトってたしかフランス人…。

はい、いきなりですがこうしたものを本気で贈っちゃう人もいます。
全く知らない分野だったり、それまでの人生で触れたことも考えたこともないようなものだと、確かにちょっとびっくりしてしまうかもしれませんね。

でもいい機会です(^^)。こうして渡されたことをキッカケに、軽く調べてみると意外とハマるかもしれません。内容がよくわからなくても、持っていれば、実はそれが趣味だという別の友人から話を聞く機会があるかもしれません。

普段の自分であればまったく触れることの無かったジャンルへの、ただでの招待キップみたいなものと思いましょう。のぞいてみて、やっぱり合わなければ引き返せばそれでよし。

生涯の趣味というものは、意外とこういうところから見つかったりするものです。

哲学議論して鼻っ柱の強い彼氏をギャフンと言わせましょう!(^~^)

事例2 百本の薔薇(バラ)

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キターーー!

ドラマや漫画で「愛の告白」として定番の、お花の贈り物。それも一本二本ではなくどっさり100本も――そこに込められた相手の好意は好意として、あとでかさばることが気になるかもしれませんね。

でも、全部を保管しなきゃ、と焦る必要はありません。


置く場所に困るなら花瓶を一緒に選べば良いでしょう。飾る用の数本を取っておいて、あとは一旦預かっておいてもらうなどの工夫は様々にできますからね。押し花にしても良し、近所に配っても良し、職場や学校に持っていって飾るも良し。

ひとのことブス呼ばわりするくせに、おすそわけできる友達少ないことに気がついたりしてね。がははは。

贈ってもらったものを、そんな風にどうしようか、と考えることを前向きに考えてみると、自分自身の意外な応用力に気づくかもしれません。

友人や親戚に一部を引き取ってもらうのも、その贈り物が無ければ無かったであろう、コミュニケーションの種となるかもしれません。

ま、ハプニングを楽しもう系解決で(笑)。

事例3 アメリカのふるーい古代の遺跡のレプリカ

\(^o^)/ さすがにどうすんだべかあああ

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アメリカ土産だそうですが、いくらなんでもこれはディドロ効果を超越しておるぞおお!

ウケねらいも入ってるのはわかるけれども、かろうじて趣味ともいいがたく――どう反応したら良いか、困るようなものを贈られることもあるかもしれませんね。

そんな時は笑い飛ばしましょう。大げさにびっくりして、なんだこれは、どうしてそれを贈ろうと思ったのか、ということを根掘り葉掘り聞き出すと良いかもしれません。

贈ってくれた相手の、ちょっと意外な一面や、新しい表情がその中から見えてくるかもしれませんよ。

仲良くなれるってば、かえってそれでたくさん笑って。仲良くなったらこんな手もあるよ。家に遊びに来たら言ってやんな。

「おれのあげたアメリカの古代遺跡どこぉ?」
「ん?ああ、あれね、押し入れの中に大事に飾ってある」
(爆)

きゃははは。
彼氏なんでしょ、好きなんでしょ、お互い。
このくらいの冗談通じないとね(^o^)。

真っ赤な浴衣は青だった

小さい頃、青い鳥の話を読み聞かせてもらったことがあると思います。
自分が探し求めていたものは、実は自分では気が付かない。それどころか自分の家にありました。

あなたを大切に思ってくれる人が選んでくれたプレゼント。
たとえ趣味に合わないものでも、それがきっかけとなって、新しい自分に気が付くかもしれません。

そんなチャンスを鼻で笑って、「ブス」とかいうのはやめましょうよ。
どうか、あなたを信頼してドキドキ冒険ツアーした彼氏、友達、親兄弟、おじいちゃん、おばあちゃんの期待を裏切らないでください。

身の回りの赤増やしてみよう!

贈り物って、そういうものじゃないですか?
好きな人からの贈り物は青い鳥だあ。

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