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【思考法】演繹的思考とは何か?その特徴や効果的な用い方、注意点について

 演繹的思考については、既に多くの情報が出ていますが、改めて自分で整理するために、その特徴や効果的な用い方、注意点や帰納法との違いについてリサーチしてまとめてみました。
 演繹(えんえき)的思考とは、一般的に知られている事実や事例をいくつも関連付けて必然的な結論を導き出す考え方です。
 演繹的思考は、論理学や数学などの分野でよく用いられる方法で、前提が正しいと認められれば、結論も正しいとなります。


演繹的思考の特徴

演繹的思考は、以下のような特徴を持っています。

  • 一般的・普遍的な前提から、より個別的・特殊的な結論を得る

  • 前提が真であれば、結論も真となる

  • 結論は前提に依存しており、前提を仮に認めるとすれば、必然的に導かれる

  • 三段論法が代表的な演繹の形式である

 例えば、「人は必ず死ぬ」という大前提、「ソクラテスは人である」という小前提から「ソクラテスは必ず死ぬ」という結論を導くのが三段論法です。この場合、「人は必ず死ぬ」という前提が正しいと認められれば、「ソクラテスは必ず死ぬ」という結論も正しいとなります。
 また、「ソクラテス」の代わりに「私」や「あなた」を入れても正しい演繹となります。このように、演繹的思考では、一般的な事実や法則を適用して個別的な事象について推論することができます。

演繹的思考の効果的な用い方

演繹的思考は、以下のような場面で効果的に用いることができます。

  • 既知の事実や法則から新たな知識や発見を得たいとき

  • 物事の原因や理由を明らかにしたいとき

  • 物事の帰結や予測を立てたいとき

  • 物事の一貫性や妥当性を検証したいとき

 例えば、物理学ではニュートンの運動法則や万有引力の法則などの一般的・普遍的な法則から、物体の運動や重力に関する個別的・特殊的な現象を説明したり予測したりすることができます。これは演繹的思考の応用例です。また、数学では公理や定理と呼ばれる一般的・普遍的な命題から、新たな命題や証明を導き出すことができます。これも演繹的思考の応用例です。

演繹的思考の注意点

演繹的思考は、以下のような注意点があります。

  • 前提が間違っていたり不適切だったりすると、誤った結論が導かれる

  • 前提が不十分だったり曖昧だったりすると、結論が不確かになる

  • 前提が偏っていたり狭かったりすると、結論が一面的になる

  • 前提が多すぎたり複雑だったりすると、結論が分かりにくくなる

 例えば、「鳥は飛ぶ」という前提から「ペンギンは飛ぶ」という結論を導くのは誤った演繹です。この場合、「鳥は飛ぶ」という前提が間違っているからです。
 また、「人は死ぬ」という前提から「人は死ぬことを恐れる」という結論を導くのは不確かな演繹です。この場合、「人は死ぬことを恐れる」という結論は必然的ではなく、個人や文化によって異なるからです。
 さらに、「日本人はお茶が好きだ」という前提から「日本人はコーヒーが嫌いだ」という結論を導くのは一面的な演繹です。この場合、「日本人はお茶が好きだ」という前提が偏っているからです。もっとも、「日本人はお茶が好きだ」という前提自体も一般化しすぎていると言えます。
 最後に、「AならばBであり、BならばCであり、CならばDである」という前提から「AならばDである」という結論を導くのは分かりにくい演繹です。この場合、「AならばBであり、BならばCであり、CならばDである」という前提が多すぎて複雑になっているからです。

帰納法との違い

 帰納法とは、個別的・特殊的な事実や事例から、より一般的・普遍的な法則や原理を見出す考え方です。帰納法と演繹法の違いは、以下のようにまとめられます。

  • 帰納法は個別から一般へ、演繹法は一般から個別へ推論する

  • 帰納法は経験や観察に基づく、演繹法は論理や理性に基づく

  • 帰納法は確実性よりも妥当性を重視する、演繹法は妥当性よりも確実性を重視する

  • 帰納法は新しい知識や発見を生み出す、演繹法は既存の知識や発見を検証する

 例えば、ガリレオ・ガリレイが物体の落下速度について実験した際に用いたのは帰納法です。彼は様々な質量の物体を落下させて観察し、物体の落下速度は質量に関係しないことを発見しました。これは個別的・特殊的な事実や事例から一般的・普遍的な法則を見出した例です。

 一方、ニュートンが万有引力の法則や運動の法則を設定した際に用いたのは演繹法です。彼は既知の事実や法則から新たな事実や法則を導き出しました。これは一般的・普遍的な前提から個別的・特殊的な事象について推論する例です。一般的・普遍的な前提から個別的・特殊的な結論を導き出しました。演繹法は、物事の原因や理由を明らかにしたり、物事の帰結や予測を立てたりするのに有効です。

 演繹的思考は、物事の一貫性や妥当性を検証するのにも有効です。例えば、ある人が「私は日本人だからお茶が好きだ」と言ったとします。この場合、「日本人はお茶が好きだ」という前提から「私はお茶が好きだ」という結論を導くのは演繹法です。しかし、この演繹法は正しいと言えるでしょうか?実際には、「日本人はお茶が好きだ」という前提は偏っていたり狭かったりする可能性があります。

 例えば、日本人でもお茶が嫌いな人や、お茶以外の飲み物も好きな人がいるかもしれません。また、「私は日本人だからお茶が好きだ」という主張は、自分の好みを国籍によって決められているということになりますが、それは本当に自分の意志といえるかは疑問です。
 このように、演繹的思考を用いるときは、前提が間違っていないか、不適切でないか、不十分でないか、曖昧でないか、偏っていないか、狭くないか、多すぎないか、複雑でないかなどを注意深く再確認する必要があります。

演繹的思考のまとめ

演繹的思考とは、一般的・普遍的な前提から個別的・特殊的な結論を導き出す考え方です。演繹的思考は、既知の事実や法則から新たな知識や発見を得たり、物事の原因や理由を明らかにしたり、物事の帰結や予測を立てたり、物事の一貫性や妥当性を検証したりするのに有効です。しかし、演繹的思考を用いるときは、前提が正しいかどうかを注意深く検討する必要があります。

また、演繹的思考と対照的な帰納法という考え方もあります。帰納法とは、個別的・特殊的な事実や事例から一般的・普遍的な法則や原理を見出す考え方です。帰納法と演繹法は相補的な関係にあります。帰納法で見出した法則や原理を演繹法で検証したり、演繹法で導き出した結論を帰納法で裏付けしたりすることができます。演繹的思考と帰納的思考をバランスよく使うことで、より正確で豊かな知識や発見を得ることができるでしょう。

参照リンク

(1) 帰納法と演繹法とは?違いや注意点をわかりやすく解説

(2) 演繹 - Wikipedia

(3) 演繹とは?効果的に用いる方法や注意点・帰納法との違い

(4) 帰納的思考と演繹的思考|物事の本質をシンプル捉える考え方

(5) ピアジェの認知発達理論とは?4つの発達段階とシェマの概念は…


 



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