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No.231 僕の本棚より(11)思い出の美術展図録63冊一覧

No.231 僕の本棚より(11)思い出の美術展図録63冊一覧

No.230 の続きです)

連れ合いの由理くんとの新しい生活も2年、3年と時を刻み、共に励んできた酒屋商売にもいささかの余裕ができ、映画鑑賞の他に、コンサートやライブハウスでの音楽鑑賞、食べ歩きなどを通して、活動範囲もぐんぐんと広がっていった。西武美術館訪問を端緒とした美術の世界もまた、新たな温もりのある光を灯してくれる場所となった。

1975年(昭和50年)西武美術館が開館、その成功を受けて伊勢丹百貨店も新宿店内に美術館を設け、三越百貨店本店や京王百貨店なども店内ギャラリーで、公営の美術館に比する企画展を催したものである。世の中の変化に伴い、西武美術館をはじめ、幾つもの民営美術館が姿を消した今、振り返ってみると、高度経済成長の名残りと変動為替相場制の導入による円高がもたらした産物の一つが、商業施設内の美術展示の充実だったと言えるのだろう。

そして、公営の美術館と比較すると「敷居の低さ」と「宣伝活動の巧みさ」が、一般大衆の「美術鑑賞」の広がりに繋がり、僕自身もデパート内の美術館を当たり前の施設と捉え、世界からの著名な画家や芸術家の作品に、気軽に触れる幸運な機会を得た。そして、大都会東京には、名称は知るも、僕が足を踏み入れていない美の館がまだまだあった。

上野公園内に点在する「国立西洋美術館」「東京都美術館」「上野の森美術館」、北の丸公園隣接の「東京国立近代美術館」、東京駅八重洲口近くにあった「ブリヂストン美術館(現・アーティゾン美術館)」、港区白金台・旧朝香宮邸宅「東京都庭園美術館」、株式取引の街・兜町(かぶとちょう)の隣、茅場町のビル内に隠れ家のようにあった日本画の宝庫「山種美術館(現在は渋谷区広尾に移転)」・・・これらの美術館の思い出もいずれ触れていきたいものだ。

若き日より今に至る時の中で増え、本棚に収まる63冊の美術館図録を久しぶりに見返した。図録にうっすらとついた埃をはらうと、昔日の思い出も新しい光に照らされる。心の中にぽっと灯りを灯されたり、訪れたこともない地の香りを感じさせてくれたり、額縁を越えた景色を見せてくれたり、抽象の筆で肺腑をざらっとついてきたりした作品との記憶に浸っていると、瞬く間に時間が過ぎてゆく。「ワイエス展」「ピカソ・子供の世界展」「円空展」など、チケットは残っているものの、なぜ図録を購入しなかったのかと、当時の自分の心情を慮ったりしてもみた。

note記事 No.199, No.228, No.229, No230 で触れたものも含め、本棚に収まる美術館図録の一覧表を作成していくと、鑑賞した展覧会の順番や場所など、自分の記憶と違っていたこともあり、そんな発見も妙に新鮮で楽しかった。思い出の共有と言うわけでもないが、開催期間・展示場の他にサブタイトルなどを加えた一覧を記す。いくつかの図録については、今後のnote記事として新たな思い出にしても良さそうだな、と。

1976 4/16-5/5 「エッシャー展」
不可能なかたち/絵言葉の世界   西武美術館

1978 7/22-9/3 「佐伯祐三展」
没後50年記念  東京国立近代美術館

1978 10/7-11/7 「デュフイ展」
フランスの抒情・色彩の音楽  西武美術館

1978 10/21-10/27 「藪野健展」
日動画廊

1979 3/8-4/18 「フランス美術栄光の300年」
パリからの贈りもの   東京都美術館

1979 4/24-513 「ロシアロマン派の風景画展」
クインジの名作を初公開  日本橋三越ギャラリー

1979 7/28-9/18 「フランス絵画の巨匠たちボストン美術館秘蔵展」
西武美術館

1979 9/29-11/6 「ルノアール展」
伊勢丹美術館

1979 12/7-12/19 「辻まことの世界展」
地球の居候 / 醒めた自由人の諷刺と笑い  西武美術館

1980 3/15-4/14 「ミレー、コロー展 」
バルビゾン派とその仲間たち  西武美術館

1980 7/18-8/6 「佐伯祐三・ヴラマンク展」
東急百貨店本店特設会場

1980 8/15-9/15 「ミケランジェロのヴァチカン壁画・ 岡村 崔写真展」
西武美術館

1980 8/15-915 「ブールデルのレダ展」
詩情あふれるギリシャ神話の世界  西武美術館

1981 3/20-4/19 「ジャポニスムとアール・ヌーボー」
世紀末ヨーロッパに開花した日本美  西武美術館

1984 4/25-5/15 「福田繁雄の視覚からくり展」
伊勢丹美術館

1984 7/12-8/11 「ドゥエン・ハンセン展 」
”新しい彫刻”のスーパースター   伊勢丹美術館

1985 9/1-10/13 「スペイン美術展 I 」
16・17世紀エル・グレコ、ベラスケスの時代   西武美術館

1985 10/18-12/17 「シカゴ美術館・印象派展 」
日本初公開美のコレクション  西武美術館

1985 10/27-12/8 「ゴッホ展」
国立西洋美術館

1986 8/16-10/1 「ターナー展」
国立西洋美術館

1986 10/18-12/14 「エル・グレコ展」
国立西洋美術館

1987 3/6-5/17 「ゴーギャン展」
楽園を求めて  東京国立近代美術館

1987 3/28-6/14 「西洋の美術 欧州評議会特別展」
その空間表現の流れ  国立西洋美術館

1987 7/25-8/31 「モンドリアン展」
純粋抽象への展開  西武美術館

1988 2/25-3/27 「牧野虎雄・曽宮一念展」
庭園美術館

1988 3/11-5/8 「梅原龍三郎遺作展」
東京国立近代美術館

1988 6/7-7/17 「石垣栄太郎展」
渋谷区松濤美術館

1988 9/23-12/11 「ジャポニスム展」
19世紀西洋美術への日本の影響  国立西洋美術館

1988 10/22 11/20 「狩野芳崖展」
その人と芸術 没後100年記念  山種美術館

1988 11/23-12/6 「ディマシオ展」
フランス幻想絵画の偉才  小田急グランドギャラリー

1989 1/10-1/22 「横山大観『海山十題』展
生誕120年記念  日本橋三越ギャラリー

1989 2/28-3/12 「奥村土牛展」
百寿記念  山種美術館

1992 5/23-7/12 「ルネ・ラリック」
東京国立近代美術館

1993 4/13-5/23 「大和古寺の仏たち」
東京国立博物館

1993 7/31-9/21 「パウル・クレーの芸術」
Bunkamura ザ・ミュージアム

1993 9/15-10/12 「トム・ウェッセルマン展」
伊勢丹美術館

1994 1/6-2/6 「山口華楊と晨鳥社の人びと」
東武美術館

1994 1/22-4/3 「バーンズ・コレクション展」
世界初公開 巨匠たちの殿堂  国立西洋美術館

1995 7/28-8/22 「東山魁夷展」
日本橋高島屋8階ホール

1995 10/26-12/10 「大写楽展」
東武美術館

1996 4/13-5/19 「上村松園回顧展」
生誕百二十年記念 Bunkamura ザ・ミュージアム

1996 9/18-9/29 「加山又造の世界展」
全版画と屏風による1953−1996  三越美術館・新宿

1997 4/12-5/18 「ヴラマンク展 」
Bunkamura ザ・ミュージアム

1997 5/17-6/5 「ロシア美術館名作展」
「第九の怒涛」を中心とする  日本橋三越ギャラリー

2001 6/2-7/22 「メルツバッハー・コレクション展」
安田火災東郷青児美術館

2003 6/24-8/3 「江戸大博覧会」
モノづくり日本  国立科学博物館

2005 1/12-3/6 「唐招提寺展 」
国宝鑑真和上像と盧舎那仏  東京国立博物館平成館

2005 3/23-5/22 「ゴッホ展 」
孤高の画家の原風景  東京国立近代美術館

2005 6/28-9/19 「ドレスデン国立新美術館展」  
国立西洋美術館

2005 10/22-12/13 「プーシキン美術館展」
東京都美術館

2006 3/28-5/21 「藤田嗣治展」
生誕120年パリを魅了した異邦人  東京国立近代美術館

2007 1/27-4/8 「オルセー美術館展 」
19世紀美術家たちの楽園  東京都美術館

2010 1/20-4/5 「ルノアール展」
伝統と革新  国立新美術館

2010 4/17-6/20 「ボストン美術館展」
西洋絵画の巨匠たち  森アーツセンターギャラリー

2010 5/26-8/16 「オルセー美術館展2010」
「ポスト印象派」 国立新美術館

2011 6/8-9/5 「ワシントンナショナルギャラリー展」
印象派・ポスト印象派 奇跡のコレクション  国立新美術館

2012 3/28-6/11 「セザンヌ」
パリとプロヴァンス  国立新美術館

2013 2/9-5/26 「奇跡のクラークコレクション」
ルノワールとフランス絵画の傑作  三菱一号館美術館

2014 9/25-12/15 「チューリヒ美術館展 」
印象派からシュルレアリスムまで  国立新美術館

2014 12/13-12/5 「17th DOMANI・明日展」
国立新美術館

2015 3/25-6/29 「マグリット展」
国立新美術館

2016 7/22-9/25 「LOUVRE NO.9 漫画、9番目の芸術ルーブル美術館特別展」
国立新美術館

2022 10/18-12/28 「展覧会・岡本太郎」
本職?人間だ。史上最大のTARO展がやってくる!  東京都美術館


図録はなくて、チケットのみの展覧会の一部

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