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あなたの色に染まらない花嫁と王子様役の成人式

成人式が中止になったことで悲喜こもごもの反応をあちこちで見かける。レンタルサービス業の悲劇。ひきこもり軍団の喝采。それぞれの立場と趣向と主張がある。

私が成人式で着たのはエメラルドグリーンの振り袖と海老茶色の袴。花紋のついた鮮やかな単色着物は、華やかな柄の晴着集団の中ではひときわ目立つ姿だった。

並んで写真を撮ると映えるから、懐かしい友人達は隣に立っての撮影をとても喜んでいた様子。エスコート役の王子様だった。

記念撮影をした写真屋のショーウィンドウにはしばらくの間、私の袴姿が並んでいた。珍しい写真なのでアピールするにはもってこいの素材だったのだろう。

そういえば高校の修学旅行にてレンタル衣装での記念写真をグループ撮影したときも王子様。男装した私を囲むドレス姿の友人達。

イタリアで結婚式をあげたときは、お気に入りの浴衣を着た。濃紺・銀・緑の大きな花柄。暑い日だったので素足にぞうり。純白どころか自分の色をまとった結婚式。

ちなみに成人式の正絹の着物はレンタルではなく購入品。留学か着物購入かの選択肢だった。束縛の強い当時の彼は留学に絶対反対。記念写真の中の袴姿の私は、ストレス太りで顔がぱんぱん。

とても懐かしい思い出話。時の経過という魔法はどんな出来事もアルバム写真のように、静かにそこにあるだけのエネルギーに変容させる。

週末に太陽が顔を出したら、美しい発色の着物に涼しい風を通してあげよう。

(はてなブログ「アレコレ楽書きessay」2021.1.13 加筆修正転載)

Grazie 🎶